運命の女神現れる
いきなり声が聞こえたので振り返ると、そこには美少女がいた。
そう、まず現実ではお目にかかれないような美少女。
流れるような漆黒の黒髪、黒目と同じ色のドレスを身に纏った彼女は、人形のように整った顔立ちで、思わず見とれてしまった。
『あのー聞いてる?』
「ハッ!?ご…ごめんなさい」
『そんな固くならなくていいんだよー♪』
(ムリムリ絶対緊張する!)
そう、現実ではあまり女の人と話したことが無いため女性耐性スキル無しの自分には、耐えられない。
だがそんなことお構い無しに、どんどんと近づいてくる。
『だって君は、神の力を持っているんだから♪』
(ん?神?ってまさか、コイツも神様なのか?)
『その通りだよ♪』
『実はボク、運命の女神って呼ばれてるの~♪』
………………………………!?
はいっ驚いてないよ―
ん?驚いてるじゃん?
ナニソレクエルノ?
と、現実逃避した所で現状は何一つ変わらない。
「で、その運命の女神様は俺に何か用ですか?」
運命の女神が、俺になんの用があるのだろうか?
『う~ん…何だっけ?』
と必死に何か考え………
『あっ!そういえば』
思い出したとばかりに、手で掌にポンと叩く。
そして…
『君に、異世界に行ってもらうよ~♪』
「はい!?」
イセカイニイク?
ナニソレク(以下略)
(いやいやいや、いきなり過ぎるだろ!)
いきなり異世界トリップ物の小説の展開になったきた。
俺は、よくネットで異世界トリップ物の小説を読んだりするので、この先の展開は分かる。
だから最初はその異世界について説明して、反則とかも貰ったりすると、思っていた。
たが、この運命の女神は、関係無く問答無用でいい放ちやがってきたのだ。
仕方なく、詳しい説明を聞こうとす『じゃあ、行ってらっしゃい♪』…え?
「ちょ!?待っ『バイバイ♪』
こうして俺は、なんの説明も反則も無しに、異世界に飛ばされてしまったのだった。
彼が異世界に飛ばされた後、女神の彼女は何処と無く呟く。
『頑張ってね♪柊斗……』
そして彼は知らない…、彼が飛ばされた世界は、いずれ『滅ぶ運命』だと言う事を……。