使用済み燃料貯蔵プールを冷却できればいいのだけれど ―― 福島第一原発事故に関して
ただでさえ少なかったくわしい報道が余計に減ってしまった。
肝心の情報が出てこない。
炉心がどうなっているのか、格納容器がどうなっているのか、おとといあたりから、ぱったりと報道が途絶えてしまった。
炉心にかわって浮上したのが使用済み核燃料貯蔵プールの問題だ。
核燃料貯蔵プールの水が、熱によってすさまじく蒸発していると大騒ぎになったのに、今現在プールの水がどうなっているのか、どこを探しても情報がない。プールの水が完全に干上がってしまえば、爆発のおそれがある。爆発してしまえば、もちろん、大量の放射性物質が撒き散らされてしまう。なかがどうなっているのか、もう誰にもわからないのかもしれない。
三月十八日、自衛隊は約四〇トンの水を三号機に向かって放水したそうだ。
三号機は、放射能物質のなかでも非常に毒性の強いプルトニウムを混ぜたプルサーマル燃料を使用しているから、いちばん危険だ。しかも、プルトニウムは一度体内へ摂取されるとなかなか体外へ排出できないのだとか。
さて、三月十八日に自衛隊が放水した水四〇トンの体積は、四〇立方メートル。八トントラックに換算すれば、荷台の約七割の体積だ。プールを満たすためには一〇〇〇トン以上の水が必要だから、危険をかえりみずに放水作業を行なった自衛隊員の方々にはいくら感謝してもしきれないのだけど、これではとても足りない。焼け石に水だ。
もちろん、三号機のほかに、一号機、二号機、四号機も同じ問題を抱えている。こちらもプールへ水を送りこまなければならない。
本格的にプールへ水を入れようとすれば、給水ポンプを使うしかないが、停電状態で電源がない。
そこで、外部電源をつなげる作業が懸命に行なわれている。作業員の方々は決死隊だ。この方々にも深く感謝したい。東京電力の記者会見によれば、十九日の朝には二号機の配電盤へケーブルがつながる見込みだそうだ。
だが、たとえ電源がつながったとしても、いちばん大きな問題がある。
給水ポンプが果たして動くのかどうかということだ。
地震、津波、爆発によって給水ポンプの設備は相当なダメージを受けている。地震によって強い衝撃を受け、津波で海水をもろにかぶり、今は強い放射能を受けている。配管が壊れている可能性もある。給水ポンプが無事に作動する保証はどこにもない。
ただ、ポンプが動いたとしても、まだ問題が残っている。
プールが割れていないかということだ。プールが壊れていれば、いくら水を入れてもだだ漏れになってしまう。
むずかしいハードルがいろいろあるけど、作業の成功を祈るばかりだ。まずは電源さえ確保できれば、最悪の事態を回避するための足がかりができる。
東京消防庁が夜中に放水作業を行なったとのことです。消防隊員の方々にも深く感謝します。