エレベーターの綱の断裂現象を発見しました
僕は今、広州の新都心の近くにある築二十年あまりのマンションに住んでいる。昔はお洒落なマンションだとけっこう評判がよかったのだそうだけど、今はおんぼろだ。
今朝、出勤しようとして、エレベーターに乗ろうとしたら、なかなかこない。二台あるのに、一台はとまったままだ。結局、五分くらいエレベーターを待つはめになった。
一階へ着いた後、隣のエレベーターを見てみた。前に柵がおいてあり、
「定期メンテナンス中に綱の断裂現象を発見しましたので、現在、緊急交換作業を行なっております。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません」
と、扉に張り紙が貼ってあるではないか。
そういえば、そのエレベーターは、時々変な揺れ方をしたり、嫌な音が響いたりしていた。エレベーターの綱は、細くて強いワイヤーをいくつも束ねてあるから、少々切れたところでどうってことはないんだろうけど、やっぱり多少不安になってしまう。かなり古いエレベーターだから寄る年波には勝てないのかもしれない。
僕が今朝乗ったほうのエレベーターは、いちおうまともに動いていたけど、ほんとうに大丈夫なんだろうか? ちょっぴり心配だ。とはいえ、乗っている最中に綱が全部切れてしまってエレベーターが落ちたりしたとしても、その時はその時でしょうがないのだけど。僕がコントロールできることでもないから、運命を甘受するよりほかにない。
歩道に植えてある溶樹の下で本を読みながら通勤車を待った。
この頃、ずいぶん涼しくなった。広州にしてはすがしい朝だった。