繁盛している中国の貸自転車商売
上海の街角のあちらこちらに貸自転車が置いてある。特に地下鉄駅の周りには歩行者通路に乱雑にたくさん置いてあるのを見かける。
利用者がスマホの専用アプリで自転車のQRコードを読み取ると、自転車のロックが外れて走れるようになる。代金は業者にもよるが、一時間当たり五角(角は元の十分の一の単位)から一元あたりが相場といったところのようだ。使い終わればまたQRコードを読み取るだけ。乗り捨ててどこにでも置けばいい。もともと路上に置いてあるので、そのまま別の路上に放置してもかまわない。
この手軽さが受けて、この商売は繁盛している。もちろん上海だけではなく、中国のあちらこちらの都市で展開している。政府も自転車はエコだからとこの商売を支援しているようだ。
街を歩いていると貸自転車をこいでいる人をたくさん見かける。特に通勤や通学の時は便利だろう。駅まで自転車に乗っていって乗り捨てて地下鉄に乗り、降りた地下鉄駅からまた別の貸自転車に乗って勤め先や学校まで行って乗り捨てればいい。自分の自転車ではないから、盗まれないように気を付けなくてもいい。なかには、貸自転車を家へ持って帰り、使うときだけQRコードをスキャンして料金を払い、マイ自転車のかわりにしている人もいるのだとか。
さて、この商売は、自転車で儲けることが目的ではないらしい。利用者は登録する際、数百元をチャージしておかなければならない。使った分だけそこから差し引くわけだが、自転車の利用料は五角から一元なのでなかなか減らない。そこで、貸自転車業者は利用者がチャージしたお金を元手にしてどこかへ投資して儲ける。つまり貸自転車は投資資金を集めるためのネタに過ぎないわけだ。頭がいいなと思う。ある若い女性がこの仕組みを考えたそうだ。
もちろん、商売だからすべて順調というわけではない。自転車がいたずらされて壊れてしまったり、アプリの具合がおかしくて料金の徴収がでたらめになってクレームを受けたり、放置自転車が多すぎると問題になったりしている。とはいえ、自転車の台数は目に見えて増えているから、いろんなトラブルはありつつもどんどん発展しているようだ。