表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
393/519

銀座より高い家賃in広州


 広州へ出張で行った時、ある日本料理店で女将さんと話しをした。以前、広州に住んでいた頃は行きつけの店だった。日本料理店といっても、日本人客より中国人客のほうがずっと多い。

 2016年あたりから客の入りがぐっと悪くなったそうだ。以前は中国人客が高価な刺身盛り合わせなどをばんばん注文していた姿をよく見かけたものだったけど、そういった羽振りのよい中国人客はもうほとんどいない。ランチタイムも客入りが減った。隣には韓国料理店があって、以前はけっこう人が入っていたのだけど、そこも客はがた減りだ。他の日本料理店も客がかなり減ったという。

 こういった話を聞くとやはり中国の一番景気のいい時期は終わったんだなと思う。中国人は日本で爆買いしなくなったけど、中国国内でも財布の紐を締めているのだ。

 ただし、景気が悪くなったとはいえ、広州の不動産価格はまだ上がり続けている。それだものだから家賃は上がる。しかもその上がり方はかなり激しい。

「ここの家賃なんて東京の銀座より高いのよ。信じられないわ」と女将さんは嘆く。

「ええ~、そうなんですか」

 僕はびっくりしてしまった。広州市内とはいっても中心部の一等地にあるわけではない。その店はどちらかといえばすこし外れのほうにある。客足は減るわ、家賃は異常に上がるわで、商売あがったりになってしまった。女将さんは、自分の子供はもう社会人になったから、あとは夫婦二人で暮らしていけるだけ稼げたらそれでいいのだけどそれももう難しそうだという。

 全体的な景気が悪いのに不動産価格だけ上昇するというのはバブル最末期の現象なのだけど、それがこのところずっと続いている。不動産価格がいつ暴落してもおかしくないという人もいれば、暴落したら大変なことになるから国がそんなことをさせないという人もいる。北京、上海、広州、深圳といった一級都市の不動産価格だけはぜったいに暴落しないという人もいる。

 ただ一つ言えるのは、景気が悪いのに家賃だけ上がり続ければ、この店のように商売を続けること自体が難しくなってしまうということだ。それはレストランでも、事務所を借りてやる商売でもなんでも同じだ。家賃負担が経済活動の重い足枷になる。

 中国経済の規模は十年以内にアメリカ経済を抜いて世界第一位の規模になるだろうなどという予測があるけど、こんな不動産バブルに頼るようないびつな発展をしていて、ほんとうにそうなるのだろうかと首をかしげてしまう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=280517787&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ