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環境対策の思わぬ余波


 昨年末、中国は環境対策のために主要都市周辺の小工場を大量に閉鎖させた。

 その槍玉の一つに上がったのが製紙工場。製紙工場の廃液は水質を悪化させる。小工場はまともな環境対策などしていないからなおさらだ。全国でかなりの数の小さな製紙工場が閉鎖になったようだ。

 すると突然、今度は段ボールの値段が高騰した。以前の価格と比べて四割から五割アップ。工場閉鎖の影響を受けて、段ボールが極端に供給過少となってしまったのだ。

 製品を包装するには段ボールが要る。こちらとしてはコストが上がるので困ったところなのだけど、実はそれほど心配していない。

 以前、鉄が供給過剰だというので、工場の閉鎖や統廃合や生産抑制が大々的に行われたことがあった。もちろん、鉄の値段は一気に高騰したのだけど、しばらくするとたちまち大幅に値下がりしてほぼ元通りの値段へ戻ってしまった。政府の指導がひと段落したのを見計らい、今が儲け時だとばかりに生き残ったあちらこちらの工場が増産し始めたのだ。市場に十分な量の鉄が供給されれば、当然値段は下がる。

 鉄や紙に限らず中国の製造業はかなりの過剰設備を抱えているから、一部の工場を閉鎖したところでまだかなりの生産能力が余っていて、いつでも市場に十分な量の製品を供給できる。みんな中央政府の指導などあまりまともに聞く気がなく、隙があればいつでも金儲けできるチャンスを狙っている。

 それだものだから、段ボールの値段もしばらくすると大幅に値下がりすると思う。残った工場がチャンスがきたと大張り切りで増産に励むだろう。

 肝心の環境問題はどうなるのかといえば、抜本的な対策というまでにはまだまだ程遠いけど、ある程度の効果はあると思う。すこしはましになるだろう。



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