二人っ子政策の余波
中国の統計局は中国の人口が十三億七三四九万人になったと発表した(二〇一五年調査のデータ)。二〇一〇年から二〇一五年の五年間で三三七七万人増加したそうだ。五年間の増加率は三%弱だが、人数でいえば日本の四分の一ほどの人口が増えたことになる。ただし、この数値はきちんと戸籍を登録した人だけに限られるので、戸籍を登録していない人口を含めるともっと数は多くなる。戸籍外の人口は、一億とも二億とも言われているが、当然、その実態は把握できない。
内訳を見ると、六〇歳以上の人口は約二億一二〇〇万人で、人口比にすると、十六・二%。○歳から十四歳の人口は約二億二七〇〇万人で、人口比では十六・五%。六〇歳以上の人口比は二〇一〇年から二〇一五年の間に二・九ポイント上昇し、少子高齢化の傾向にある。
中国政府は、このまま少子高齢化が続けば、いずれ国力が衰え、老人を養うのも困難になると、去年、中国は一人っ子政策をあらため、二人っ子政策にした。ちなみに、一人っ子政策は厳密に言えば、「都市戸籍者の一人っ子政策」であり、一人っ子政策の対象者は都市住民に限られ、農村戸籍や少数民族は従来から二人の出産が認められていた(少数民族は民族によっては三人まで生んでよい民族もある)。ともあれ、二人っ子政策によって、誰でも二人まで子供を生むことができるようになった。
周囲の中国人に「子供をもう一人作るの?」と訊いてみると、たいていは「ひとりで十分。教育費にお金がかかるから、二人目は生まない」という声が多かった。子供の教育費がかかりすぎるというこのあたりの事情は日本と似ているかもしれない。
ただ、その一方で二人目が欲しいという人も割合にいるようだ。中国では男が跡継ぎという意識がまだ強い――若い夫婦がそう思わなくても親がこだわる――ので、上は女の子だったから、次は男の子が欲しいという人もいたりする。二人目が欲しくて産婦人科へ通院する人が徐々に増えているようだ。
上海では、二人っ子政策になってから、面積の広いマンションがよく売れ、その価格の上昇幅も大きい。二人目を生んだ時に今のマンションでは手狭になるので、広いマンションに買い替えたいというニーズが高まっているのだとか。