経済成長率七%で不景気の不思議
中国は不景気だ。
日本のようにどうにもならない状況ではないけど、儲からない。世界経済の状態が悪いから輸出も減った。国内投資にしても、主な投資はもう済んでいるから、公共投資しても以前ほどは効果が出ない。残っている主な公共投資は地下鉄建設くらいなものだろう。工場にしても、各種の工場はもう揃っている。むしろ、生産設備が過剰になって困り、人件費が上がったために軽工業の工場は中国を離れて人件費の安いよその国へ行くものが多い。不動産投資も過剰だ。
もっとも、今までが高度成長で儲かりすぎていたわけで、以前のように荒稼ぎしてぼろ儲けできなくなったというだけに過ぎない。中国政府は現状を「新常態」という言葉で説明している。そこそこ儲けられる状態が、これからの「常態」というわけ。
この七月に上海株が暴落して話題になったけど、実態経済が悪くて投資先に迷ったマネーが株式市場へ雪崩込んでバブル相場を形成しただけのことだ。上海株の相場が不自然に上がるのをみて、よっぽど投資先がないんだなと思っていた。
ただ、不思議なのは、(統計が正しければ)経済成長率が七%もあるのに不景気になってしまう点だ。七%の経済成長率は日本のバブル期よりも高い。もちろん、広大な領土と莫大な人口を抱えた国だし、十五億人もの人民を養うのは大変なことだから一筋縄ではいかないだろうが、いくらなんでも七%の成長率で不景気になるのはおかしい。
この不思議な現象のからくりをすっきり説明してくれる人がいないものかと調べてみたけど、僕の調べた範囲では誰もいない。七%の経済成長率を割り込むと失業が増えて社会不安が起きるなどとうわっつらの現象面を説明するだけで、そのメカニズムは謎だ。
ここからは当て推量になるけど、たぶん、経済成長の多くの成果は誰かが掠め取ってしまうのかもしれない。習政権になってすこしはましになったけど、この国の汚職や横領は金額が桁外れだし、根が深い。官も民も、汚職や横領という形で誰かが経済成長の果実を持っていってしまっているとしか思えない。掠め取ったその一部のお金を遣って、日本で爆買いしているのだろうか?
この国には、足掛け十年以上暮らしているけど、いまだによくわからないことだらけだ。




