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お尻が痛い

 

 坐骨神経痛というやつをやってしまった。

 尾骶骨のあたりがめちゃくちゃ痛い。

 椅子に坐ろうとして、ほんのすこしかがんだだけで、尾骶骨のあたりがびりっと痛くなる。布団へ入っても、痛くて仰向けに寝ることができない。うつぶせになってもだめで、横向きになって寝たりした。ただし、すこしでも動くと尾骶骨のところに激痛が走り、痛みで目が覚めてしまう。うつらうつらとして痛みで目が覚める繰り返しだった。

 ネットで調べてみると、尾骶骨につながる筋肉が異常に凝り固まって尾骶骨を押したり引っ張ったりするので痛みが起きてしまうようだ。ストレッチをしてお尻の筋肉をほぐしてすこしはましになったのだけど、やはり痛みはおさまらない。

 漢方の病院へ行って治療してもらうことにした。中国には、東洋医学と西洋医学の両方の病院がある。こんなときは東洋医学(漢方)のほうがいいだろう。

 幸い、若い男の医師だった。僕はほっと胸をなでおろした。やはり、女の先生にお尻を診てもらうというのは気が引ける。

 医師は診察して、

「座りすぎと運動不足だね」

 という。たしかに、座ってばかりいるし、散歩以外はほとんど運動もしない。筋肉が傷んでいるから、三回ほど鍼を打てば治るという。僕は治療ベッドの上にうつ伏せになって寝た。

 医師は、鍼の前にまず僕のお尻にカップリング療法(抜火罐)を施した。ガラスのカップに炎を当てて真空状態にして、すぐにパカッとお尻にあてる。お尻の肌は、ガラスのカップに吸われてぽっこりと盛り上がる。これで「湿気(よどんだ気)」を吸い取らせる。一ダースほどのカップが僕のお尻に当てられた。たまにマッサージ店でカップリング療法をしてもらうことがあるけど、カップを当てるだけなら別に痛くはない。だけど今回ばかりは、尾骶骨につながっている筋肉のところへ当てられると痛みが走った。医師は二十分ほどでカップを外した。後で見てみると紫色になって腫れ上がっているところが何箇所かあった。「湿気」がそれだけひどかったということだ。紫色の痕が消えるまで五日ほどかかった。

 カップリング療法の後、医師はお尻に鍼を打った。

 これも尾骶骨の筋肉へつながっているところへ打たれた時はすごぶる痛かった。医師は腰の背骨へも打ったのだけど、経絡がつながっているところがあるようで、そこへ打たれると痛かった。

 鍼は電気鍼だ。

 鍼に電気を通して、刺激を与える。お尻の筋肉がずどんずどんを波を打つようになる。こうしてしばらく二十分ばかり電気鍼を打ってもらった。痛みがやわらぐ。気持ちよかった。

 一回目の鍼治療の後は、三時間くらいでまた痛みがぶりかえしてきてひどいことになったのだけど、翌日の夕方に二回目の鍼を打ってもらうと痛みはほとんどおさまった。

 誰かに慰めてほしいから、

「お尻を痛めちゃってさ。尾骶骨のあたりがすごく痛いんだ」

 と今付き合っている子に電話すると、

「悪い遊びをしたんでしょ。どこで遊んできたの?」

 という返事がまず返ってきた。彼女は僕の浮気を疑ったようだ。中国人の女の子はなんでもかんでも浮気に結び付けて物事を考える傾向が強いから、そうくるだろうなと予想してはいたのだけど。

「だから違うってば。坐りすぎなんだよ。昼は事務所でずっと坐っているし、家へ帰ったらずっと書き物をしているし」

「ふーん」

「だからさ、どんな悪い遊びをしたら尾骶骨が痛くなるんだよ」

「わからないけど――。ま、いいわ。クッションを貸してあげる」

 彼女は朗らかに笑い、次に会った時、僕に湿布をくれ、飛行機へ乗る時に首に当てるエアクッションを貸してくれた。

 一週間ばかり経ったけど、今でも坐る時間が長くなるとすこし痛むから、僕は勤め先でも家でもエアクッションをお尻に敷しいてパソコンに向かっている。

 お尻を痛めてしまったのは、運動不足もあるけど、お腹が出すぎて、腰やお尻に負担をかけ過ぎているのがいちばんの原因だろう。すこし痩せなくっちゃいけないなと思う。

 


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