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労働節休暇短縮と中国国内の民族問題

 

 五月一日はメーデー。労働者の日だ。

「社会主義国家」である中国も五月一日を「労働節」として定めており祝日になる。

 中国の場合、祝日を利用して三連休を作ることがほとんどだ。今年(二〇一四年)の場合、五月一日が木曜日なので、四日の日曜日を二日の金曜日へ振り替え、五月一日(木)、五月二日(金)、五月三日(土)を三連休にする。五月四日は平日扱いになる。

 もっとも、労働節休暇は二〇〇七年まで土日の調整を入れて七日間の連休だったのだが、二〇〇八年から政府は、「清明節」、「端午節」、「中秋節」を新設の法定祝日とするかわりに、「労働節」を短縮してしまった。

 祝日の変更は、単なる変更ではない。社会主義の理念のさらなる弱体化と中国の大漢民族主義の表れだった。

 「清明節」、「端午節」、「中秋節」はどれも漢民族の祝いの日だ。一見、なんの不思議もないように思えるが、中国共産党が統治する中華人民共和国は漢民族の国家ではない。社会主義の理念のもとに五十六の民族が構成する多民族国家だ。労働者の祝日を削って漢民族の祝日を法定祝日にする理由はなにもない。

 こんなふうに漢民族の風習を押し付ければ、反発する民族が出てくるのは当然だ。イスラム教を信仰するウイグル族やチベット仏教を信仰するチベット族はとくにそうだろう。

 どこの国でも民族問題はセンシティブな問題だ。取り扱いに細心の注意を要する。国民に対しては噛んで含めるように宥和を教え諭さなければならないのだが、こんなぞんざいなやり方をしていたのでは民族問題の解決などできるはずがない。

 もっとも、漢民族の政治リーダーはこれまで以上に漢族の自己主張を強め、大漢帝国主義をむき出しにするだろう。よほど開明的で強力な指導者が現れない限り、中国国内の「文明の衝突」は激化しこそすれ、解決の方向へは向かうことはないだろう。

 


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