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古本にはさんであったメモ用紙
なんとなく気だるい日々が続いている。
心がふわふわして、軽く浮くようだ。なんだか物足りない。秋だから、だろうか。
日本の古本屋で買ってきた文庫本を読んでいたらメモ用紙がはらりと落ちた。
なんだろうと思って拾ってみると文字がびっしり書いてある。
歩哨 警戒、見張り役の兵
底意 下心、心の奥
瘴気 熱病を起こさせる山や川の悪気や毒気
……
などと言葉の意味を書き付けている。丸っこいかわいらしい文字だ。女の子だろう。中学生だろうか。高校生だろうか。辞書を引きながら、そうしてメモ用紙に意味を書き写しながら、一生懸命読んだのだろう。
そういえば、僕も学生の頃はよくわからない言葉が多かったから、本を読みながらよく辞書を引いていた。もっと言葉を知っていたら、もっとすらすら読んで、たくさん本を読めるのになあとすこしもどかく思ったりもしたっけ。
なんとなく読書の秋。