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音声認識翻訳アプリ

 

 雲南省昆明へ行って久しぶりに昆明人の友人に会った。以前、雲南で語学留学していたので、毎年、秋の国慶節休暇を利用して雲南へ行き、留学中に知り合った友人たちと会うのを楽しみにしている。月日が経つのは早いもので、彼らとはもう長い付き合いになる。

「野鶴さん、見てみて、これがあれば世界中へ旅行できるわよ」

 友人は新しく買ったスマホの画面を僕に見せる。音声認識の翻訳アプリが入っていた。中国語から英語、日本語、フランス語、イタリア語などなどいろんな言葉に翻訳できるようだ。その逆ももちろんできる。

「わたしにコーヒーを一杯ください」

 と、僕が日本語でスマホに語りかけるとそのまま日本語で表示され、次に翻訳ボタンを押すと、

「请给我一杯咖啡」

 と、ちゃんと中国語に翻訳してくれた。

「便利だね」

「そうでしょ。外国へ行った時、これを見せれば会話できるわ」

 彼女は生きいきと目を輝かせる。

「どこへ行きたいの?」

「オーストラリア。海がすごくきれいじゃない。わたしは英語ができないけど、これがあれば平気よ」

「試してごらんよ」

 僕がスマホを返すと彼女は、

鉱泉水クァン・チュエン・シュイ (ミネラルウォーターのこと)」

 と中国語でスマホにしゃべった。ところが画面には、

蚊駆水ウェン・チュイ・シュイ

 とわけのわからない中国語が表示される。

 彼女はもう一度「鉱泉水クァン・チュエン・シュイ」とマイクに吹き込む。

我愛你水ウォ・アイ・ニー・シュイ

 今度も変な中国語が出た。雲南の人は普通話(北京標準語)の発音が上手ではないから、アプリケーションソフトは彼女の発音を認識できないのだ。これでは翻訳のしようがない。

「海外旅行をする前に、まずは北京標準語の発音を勉強したほうがいいよ」

 僕はそう言ってくすくす笑った。

 彼女はもうっという感じでかわいく拳を振り上げ、

「ああー、どうしたらいいのぉ」

 と、激しく首を振った。

 雲南人に限らず北京標準語の発音が正確な中国人はそんなに多くないから、せっかくの翻訳ソフトだけど、使いこなせる人は案外少ないかもしれない。

 翻訳ソフトに頼るより、自分で英語を勉強したほうが早いよ。僕も英語は話せないけどさ。


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