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アナライザーの恋 ~『宇宙戦艦ヤマト』から

 前回の続きです。オリジナル版『宇宙戦艦ヤマト』第十六話『ビーメラ星、地下牢の死刑囚!!』と『宇宙戦艦ヤマト2199』第九話『時計仕掛けの虜囚』および第十六話『未来への選択』のネタバレを含みます。ご注意ください。


 アンドロイドのような機械生命体を「人間」として認めることができるのか?

 この問いかけはSFでよくあるものだ。

 古くはヴィリエ・ド・リラダンが書いた『未来のイヴ』(1886年発表)でも取り上げられていた。テレビドラマの『スタートレック』シリーズでも何度か、この問題を取り上げている。


 オリジナル版の『宇宙戦艦ヤマト』のビーメラ星のエピソードでは、アンドロイドのアナライザーの恋も描かれている。こちらもなかなか面白い。ビーメラ星の話はアナライザーの「人間性」を描いたエピソードでもある。

 エピソードの冒頭でアナライザーは森雪にスカートめくりをする。子供の頃、僕はこのシーンが好きだった。リメイク版ではこんなふうにアナライザーがやんちゃをするシーンはない。ちょっと残念だ。

 アナライザーは自分は人間だと主張し、森雪に恋を打ち明け、結婚してほしいとプロポーズする。森雪はアナライザーをたんなるロボットとしかみていないから、ひどい言葉をアナライザーに投げかけてしまうのだけど、

「神様からもらった命も、人間からもらった命も命の尊さにはかわりはないはずですよ。僕はこの命であなたを好きになりました。僕の命はあなたに捧げるのです」

 と、アナライザーは自分の恋心を懸命に訴える。

 怒り狂ったビーメラ星人に棍棒で叩きのめされるところをアナライザーは森雪を抱きしめて懸命にかばったのだけど、古代進が救助にやってくると、森雪は古代の胸に飛び込んでしまった。アナライザーは、

「そうだ。僕は人間じゃない、ロボットだ」

 とがっかりしてしまう。アナライザーは自分がロボットであることを呪いたい気持ちになっただろう。

 ヤマトへ戻ったアナライザーは展望台で宇宙を眺めながらひとりたそがれる。アナライザーの後姿を見ていると、片思いは切ないよなあとしみじみ思う。しかも、ふたりのあいだには乗り越えようもない壁がある。ロボットと人間という壁だ。

「ごめんなさい、アナライザー。あなたの気持ちはとってもうれしいのよ。だけど――」

 展望台へやってきた森雪はアナライザーの「人間性」を理解して、優しい言葉をかける。これが精一杯の慰めだろう。

「でもやっぱり僕はあなたが好きです。人を愛していけないことはないでしょ」

 アナライザーはしょんぼりといって展望台を去る。


 人間がアンドロイド(ロボット)の人間性をどう認めるのかという問いかけをつきつめたものがアンドロイドと人間の恋だろう。アンドロイドが人間に恋をする。アンドロイドの恋心はもちろん、プログラムだ。人間はそれをコンピューターのプログラムと片付けてしまうのか、それともそこに「知性」と「人間性」を認めるのか。

 将来、まるで人間のような「感情」をプログラムしたアンドロイドが誕生して人間の仲間となったとき、人間はアンドロイドの恋をどのように受けとめるのだろう。「あなたのことを大切にしたい」という呼びかけにどう応えるのだろう? 逆に、人間がアンドロイドに恋をした場合、アンドロイドはどのように受けとめるのだろうか。お互いに最初はなかなか受け容れられないかもしれないけど、そのうち人間とアンドロイドのカップルが誕生することになるのだろうか。


 リメイク版の『宇宙戦艦ヤマト2199』ではロボットの人間性について、第九話『時計仕掛けの虜囚』でより深めた形でエピソードを展開しています。

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