海上自衛隊にも本格的なヘリ空母ができたようだけど
子供の頃、軍艦のプラモデルを作るのが好きだった。
僕が作っていたのは太平洋戦争の頃の帝国海軍の艦ばっかりで、お年玉や祖父母に小遣いをもらったときは空母や戦艦を買い、ふだんは巡洋艦や駆逐艦を買って作った。今はずいぶん値段が高くなってしまったようだけど、当時、駆逐艦のプラモデルは一隻三百円から四百円くらいで買えた。
海上自衛隊の護衛艦のプラモデルもあったけど買う気がしなかった。僕が子供の頃、いちばん大きな護衛艦はしらね型ヘリコプター搭載護衛艦で基準排水量は五二〇〇トン。帝国海軍でいえば旧式軽巡洋艦くらいの大きさだ。ヘリ搭載機数はたった三機。そんな海上自衛隊の護衛艦のプラモデルを何隻か買い揃えて艦隊を作ってもあまり見栄えがしない。その点、帝国海軍のプラモデルは戦艦『大和』『武蔵』もあれば大型空母もたくさんあるから艦隊を組むとゴージャスだ。弟にもプラモデルを買わせて、せっせと艦隊を作った。
ところが、海上自衛隊もいつのまにか十七つもの標的を同時に捕捉してミサイルで撃破して、しかもその気になれば大陸弾道ミサイルも撃ち落せる(ほんまかいな?)というイージス艦を五隻も建造し、二〇〇九年には小型ヘリ空母のひゅうが型を就役させた。『ひゅうが』の建造が始まった時、僕はまさか自衛隊が空母を持つようになるとは思わなかったからびっくりした。いつ国会の承認を得たのだろうと思った。
小型空母ができたと思ったら、今度は本格的なヘリ空母の登場だ。八月六日、いずも型ヘリ空母の一番艦『いずも』が進水した。全長二百四十八メートル、基準排水量は一万九五〇〇トン。全長では、ハワイ奇襲、ミッドウェー海戦に参加した大型空母『加賀』と同じ。ちなみに、空母『加賀』はもともと戦艦として建造していたものを途中から空母に改造した艦だから、海上自衛隊は帝国海軍の戦艦と同じ大きさの艦を持つことになる。最大で十四機のヘリを積載できる『いずも』は二〇一五年三月に正式に就役する予定だそうだ。
『いずも』のプラモデルは作り応えがあるのだろうけど、実際に戦うようなことにはなってほしくないな。