中国の環境政策の前に立ちはだかるヤミ石油問題
二〇一三年一月、北京や天津で発生した重度のスモッグ濃霧事件が発端になり、中国のガソリンや軽油の品質強化がはじまった。中国のガソリンや軽油はユーロ3が標準だが、これを徐々により品質のいいユーロ4にして、二〇一七年末には欧米や日本とおなじユーロ5にする予定だ。一部ではすでにユーロ4の供給が始まっている。
これによって正規のガソリンスタンドで供給するガソリンや軽油の品質があがり、大気中に放出するNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)、PM2・5(微小粒子状物質)といった有害物質が減少するだろう。だが、問題は横流しのヤミ軽油だ。
現在でもヤミ軽油は広く販売されている。ヤミ軽油を見たことがあるが、ワイン色した軽油もあれば、緑色したものやどす黒い色したものなど、ヤミ軽油は様々な色をしていた。もちろん、品質は悪く、有害物質を多く含んでいる。価格は正規のガソリンスタンドのものより約一割ほど安いのだそうだ。ヤミ軽油を積んだタンクローリーがあちらこちらへ行き販売している。
国の環境規制を強化したとしても、ヤミ石油をなんとかしなければ、大気汚染の大きな原因の一つが野放しになったままになる。ただ、このヤミ石油は昔から問題になっていて、時々撲滅キャンペーンが行なわれて摘発されたりするが、撲滅キャンペーンが終わればまたすぐに復活してしまう。根の深い問題がそこにある。