中国の大気汚染
北京や天津あたりで発生した猛烈なスモッグはひと頃に比べればまだましになった。だが、大気汚染は今でも続いている。
そちらに住んでいる知人によれば、酷い時にはマスクをしていないと二三時間くらいで頭が痛くなってしまったそうだ。工場から出る煙や車が出す排気ガスが大気汚染の大きな原因だが、暖房や煮炊きに使う練炭もかなり影響しているようだ。住宅街では焦げた練炭の匂いが空気に混じっていたとか。
今回は、たまたま天候の関係で北京や天津あたりの風がほとんどとまり汚染された空気が「拡散」されなくなってしまったので、あのようなすさまじいスモッグが発生したわけだが、中国の都会はどこもひどく汚染されている。
以前、雲南省・昆明に留学していた頃、郊外の山へ登った。昆明は湖のほとりの盆地にある街だ。
上から見下ろすと街を包むようにしてうす黒い空気が淀んでいた。スモッグが盆地の底を覆っているのだ。あのなかに住んでいるのかと思うとちょっぴり怖かった。
広州の郊外にある工業団地で勤め始めた頃は、喉が猛烈に痛くなった。
ちょうどその時、街の中心部へ引っ越して車の排気ガスだらけで空気の悪いところに住み始めたのと、工業団地の汚染された空気を吸い込んだのとが重なって喉を痛めたようだ。喉はなにかが突き刺さったように痛み、二週間ばかりひどい咳をしていた。僕は喉の痛みと咳だけですんだが、工業団地で勤め始めた人のなかには気管支炎になったり喘息になる人もわりといて、そんな人は大気汚染にたえられずにすぐに勤めを辞めてしまうのだとか。実際、僕の知人でも喘息にかかってしまった人がいた。
広州人の友人によると四五年前、広州の空気はもっと汚くて、一日の終わりには鼻の穴が真っ黒になるほどだったのだとか。政府が市の中心部に近い場所にある工場を強制的に遠くへ移転させて広州の空気はましになったそうだ。もっとも、そのぶん郊外の大気汚染が進んでしまったわけだが。
今回の北京や天津地区でのスモッグ濃霧事件を受けて、中国政府は大気汚染防止の政策を次々と打ち出している。僕の勤め先も大気汚染の原因の一つになっていて、僕はそこから貰う給料で生活している――つまり、大気汚染に加担している身だからえらそうなことは言えないが、それでも空気はきれないほうがいい。政府の政策が浸透してすこしでも汚染が軽くなってくれるといいのだが。
下のアドレスで中国の主要都市の大気汚染度をみることができます。
http://www.aqicn.info/city/beijing/jp/
興味のある方はご覧になってください。




