今年最後の眠りに就く前に2012
慌しかった二〇一二年が終わろうとしている。
個人的なことでいえば、九月に発生した反日暴動の後、つらい日々が続いた。
中国というアウェイのフィールド。
ただでさえやりにくいなかで仕事をしているのに、いろんなことがよけいにやりずらくなってしまった。中国人といっしょにいるのはなんだかんだいって楽しいのだけど、中国にいるのももう限界なのかな、とふと思ったりする。
今は九月のように暴動が多発するような非常事態はとりあえずおさまり、小康をたもっている。だけど、日本と中国の間では国家のトップ同士の対話すらなく、お互いに挑発を繰り返しつづけている。
日本と中国が例の島をめぐって軍事衝突すればどうなるのだろうと思うと、ぞっとする。まずまちがいなく、中国で暮らし続けることはむりだ。もしかしたら、九月の反日暴動の時のような事態ではおさまらず、憎悪と熱狂に駆られた中国人たちが中国で暮らす日本人を文字通り袋叩きにしてまわるかもしれない。
日本へ帰るのもむずかしい。
外からふるさとを見ていると、日本という国が壊れていくさまがよくわかる。
今の日本は三つの大きな課題を抱えている。
一つ目は、貧困をどうやって解決するか。
二つ目は、フクシマの事故処理と被曝対策をすみやかに行なうこと。
三つ目は、戦争への道をどうやって回避するか。
三つとも、日本人の生存にかかわる問題だ。
だが、三つとも解決の糸口が見えない。
路上に放り出された人々はろくな仕事を与えられないままで放置され、放射能にさらされた子供たちも放置されている。しかも、福島第一原発の現状については、ほんとうのことが国民に知らされていない。今も危険なままなのだ。日本はすでに対中戦争の準備を始めてしまった。
来年はたぶん、今年以上に厳しい年になるだろう。
いろんなことが今まで以上に壊れてしまうだろう。
それでも僕は、希望は自分自身のすぐそばにあると信じている。
あきらめてしまえば、そこでおしまいだ。だけど、あきらめないかぎり、希望は自分自身のすぐそばに在り続ける。
今年最後の『ゆっくりゆうやけ』になります。
本年もお付き合いくださいまして、まことにありがとうございました。
来年もぼちぼち連載しますので、よろしくお願い申し上げます。
よいお年をお過ごしください。