表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/518

キムタクみたいで優しくて自分のことだけを見てくれる人を紹介してくれと言われてもなあ

 ずいぶん前のことだけど、ある中国人の女の子とおしゃべりしていたら、誰かいい人はいないかという話になった。彼氏がいなくてさびしいそうだ。知り合いの中国人の男の子を紹介してあげるよと言うと彼女ははしゃぐ。好みを訊くと、キムタクがタイプなのだとか。調子づいた彼女は、このほかにも、車を持っていることだとか、自分の欲しいものはなんでも買ってほしいだとか、なんだかんだといろいろ条件を出してくる。

「それはちょっとレベルが高すぎるよ。白馬の王子様だよね。そんな男の子はなかなかいないからねえ。もっと現実的な条件を言ってよ」

 と僕は言った。

 その女の子は二十歳過ぎのごく普通の女の子だ。夢見る年頃なのかもしれない。でも、キムタクみたいな男前をリクエストされても紹介のしようがないではないか。僕は条件を値切ったけど、やはり理想はゆずれないらしい。結局、イケメンで優しくて、自分のことだけを見てくれる人という線にまでしか下がらなかった。恋人募集中の時は、あれこれと理想を思い浮かべるものだからしかたないのかもしれない。

「ハードルが高いなあ。あいにく、知り合いでそういった男の子はいないねえ。ところで、その三つのうちでいちばんだいじなのはなに?」僕は訊いてみた。一つだけなら、条件にあてはまる人がいるだろう。

「イケメン!」

 すかさず元気な答えが返ってくる。

「それじゃ、イケメンだけど、自分だけを見てくれるんじゃなくて、あっちこっちで浮気する人でもいいの?」

「そんなのいやだ」

「優しくなくて、俺の言うことはなんでも聞けっていう人でもいいの? 亭主関白みたいな感じの男の子は?」

「そんなの困る。料理も家事もできて、わたしの身の回りの世話はみんなやってくれる人がいい」

「えっ? 君はなんにもしないの?」

「だって、上海人は料理も家事もみんな男がやってくれるのよ」

「でも、ここは上海じゃないよ」

「そうだけど、だって、わたしは料理も家事もできないもの。家ではなんにもやらないし」

「勉強すればいいじゃない。家事くらい誰だってできるよ」

「そんなのむりよ」

「イケメンはもてるから、けっこう面倒なことになるかもよ。いろんな女の子が追いかけるからね」

「でも、やっぱり、キムタクみたいにスーパー格好いい男がいい。私の希望は三つだけなんだから、ぴったりの人を紹介してよ」

 彼女は目をきらきらさせる。

 うーん。できない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=280517787&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ