魔王の親友として転生した俺、復讐の果てに封印される
ヒトと魔族が争う世界。
勇者と魔王が相対し、光と闇が永遠に交わることのない世界。
その世界に、一人の転生者がいた。
彼はヒトとして生まれ変わったが、転生の先はなんと魔王領。
しかも次期魔王と共に育てられるという、奇妙な運命を背負わされていた。
幼い頃から切磋琢磨し、共に笑い、共に強くなった。
やがて次期魔王は真の魔王となり、彼もまた魔王の側近として成長を遂げた。
だが、運命は残酷だった。
人間の軍勢が攻め寄せてきたのだ。
その先頭に立つのは勇者――そして彼もまた転生者だった。
戦場で再会した二人の転生者。
「お前が……ここにいるのか」
勇者の声には驚きと戸惑いがあった。
だが、勇者は迷わない。
「悪に与するならば、たとえ同じ出自でも斬る!」
必殺の一撃が側近に振り下ろされた、その瞬間。
魔王が割って入り、その刃を受け止めた。
「……お前に死なれてたまるか」
魔王は致命傷を負い、友の腕の中で静かに息絶えた。
その瞬間、側近の心が砕けた。
怒りと悲しみが渦巻き、彼の内に眠る力が覚醒する。
もはや彼はヒトでも魔族でもない。
復讐の化身だった。
魔王軍を率いて人間界へ進軍し、村を焼き、街を蹂躙する。
勇者は幾度も立ち塞がるが、力は圧倒的で、剣は届かない。
やがて勇者は追い詰められ、戦場に倒れ伏した。
「……終わりだ」
かつての友を斬り伏せたその時、彼の存在は唯一無二の災厄へと進化した。
だがそれは自我を失う進化だった。
世界を破壊するだけの、暴走する獣。
人類も魔族も、このままでは共に滅びる。
敵味方を越えて、全勢力が集結した。
禁断の儀式が行われ、無数の命が彼の動きを封じる。
やがて光が彼を包み込む。
「……さよなら、親友」
誰の声か分からぬその言葉を最後に、彼は膝をつき、封印された。
こうして復讐者は歴史から姿を消す。
だが伝承は語る。
いつの日か封印が解かれるとき、この世界は再び試されるだろう、と。