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第72話「古代の遺産」

調和破壊者の拠点に向かう途中、エリックが足を止めた。


「......この辺り、何か違う」


「どういうことだ?」


ソーンさんが警戒する。


「植物たちが、すごく......喜んでる」


エリックが地面に手を置くと、周囲の草花が淡く光り始めた。


「本当ですね。この光、僕の調和術と似ています」


僕も小石を取り出すと、いつもより強く共鳴している。


「理論的に考えると......」


フィンが辺りを見回す。


「ここに古代の遺跡があるのかもしれません」


「古代の遺跡?」


「はい。レイの調和術と共鳴するということは、同じ系統の魔法が使われていた場所の可能性があります」


カイルが興奮している。


「それって、昔の調和術師がいた場所ってことか?」


その時、僕の小石が急激に光った。95%の純度が、さらに高まっていく感覚があった。


「うわっ、レイ!小石がすげぇ光ってる!」


「これは......98%?」


僕自身も驚いていた。今まで経験したことのない純度だった。


「こっちです」


小石の導くまま、僕たちは草原の奥へ進んでいく。


すると、岩に覆われた小さな丘が見えてきた。でも、よく見ると、これは自然の丘ではない。


「古代建築ですね。草に覆われて見えなかっただけです」


フィンの分析通り、それは古代文明の遺跡だった。


僕が近づくと、遺跡の入り口にある古代文字が光り始める。


「『調和を愛する者よ、ここに眠る先代の想いを受け取れ』......こう書いてあります」


フィンが翻訳してくれる。


「先代って、昔の調和術師の方々のことでしょうか」


「そうだろうな。レイ、入ってみるか?」


ソーンさんが提案する。


遺跡の中は、意外にも広い空間になっていた。壁一面に古代文字が刻まれ、中央には小さな祭壇がある。


そして、その祭壇の上に、一つの石が置かれていた。


「これは......アズライトですね」


僕が近づくと、その石が温かく光った。そして、不思議なことが起こった。


祭壇の周りに、淡い人影が現れたのだ。


『若き調和術師よ』


『我々は、遠い昔にこの地で調和の術を修めた者たち』


『君の純粋な心を、ずっと見守っていた』


先代の調和術師たちの魂が、僕たちに語りかけてくれている。


「あなた方が......」


『そうだ。君と同じく、小さな力から始めて、最後は世界の調和を守った』


『しかし、我々の時代にも、調和を憎む者たちがいた』


『その時、我々は武力で彼らを倒した。だが、それでは真の平和は訪れなかった』


僕の胸が痛んだ。


「真の平和は訪れなかった......」


『憎しみで憎しみを倒しても、憎しみは消えない』


『だが、君たちは違う道を選んだ』


『敵をも救おうとする、その心こそが真の調和なのだ』


先代の方々の声が、僕の心に深く響く。


『我々の遺した力を、君に託そう』


『ただし、これは武器ではない。救いの光だ』


祭壇の石が、僕の小石と共鳴した。98%の純度が、さらに安定していく。


『この力で、調和を憎む者の心に眠る、本当の願いを見つけてくれ』


『彼らもまた、愛を求めているのだから』


「はい......必ず」


僕が深く頷くと、先代の方々の姿がゆっくりと消えていく。


『我々は、常に君と共にいる』


『恐れることはない。君の心は、既に答えを知っている』


静寂が戻った遺跡で、僕たちはしばらく無言でいた。


「すげぇ......本物の古代調和術師だったんだな」


カイルがぽつりと言う。


「先代の方々も、同じ悩みを抱えていたんですね」


フィンが感慨深げに呟く。


「......でも、答えを見つけた」


エリックが静かに言う。


「武力じゃなく、愛で」


「そうだ」


ソーンさんが確信を持って言う。


「レイ、今の君の小石の純度なら、きっとディスコードの心の奥にある本当の想いを見ることができる」


「本当の想い......」


僕は小石を見つめる。アズライト98%の純度で、今までにない温かさを感じていた。



僕たちは遺跡を出て、再び調和破壊者の拠点に向かった。


途中、遠くに不自然な光が見えた。


「あれが拠点ですね」


「でも、何か変だ。光の色が紫色に変わってる」


カイルが心配そうに言う。


「分裂術を強化しているのかもしれません」


フィンが分析する。


「それなら、なおさら急ぎましょう」


僕たちが拠点に近づくと、突然、紫色の光が僕たちを包んだ。


強力な分裂術だった。でも、調和陣形の絶対調和領域が、それを完全に無効化する。


「誰だ!」


拠点の中から、男性の声が響いた。ディスコードさんの声だった。


「僕はレイ・ストーンです」


僕が答える。


「お話しした通り、またお話ししに来ました」


「......まさか、本当に来るとは」


ディスコードさんが拠点から姿を現した。知識人らしい品があるが、深い疲労と憎悪が目に宿っている。


「君たちの分裂術無効化......理論的には不可能なはずだが」


「ディスコードさん」


僕が前に出る。


「あなたは統合世界建設の功労者だった」


「そんな過去など、もう関係ない」


「関係あります」


僕が強く言う。


「あなたの研究がなければ、今の統合世界はなかった。だから、あなたもその一部なんです」


「馬鹿な!私は統合世界に裏切られた!排斥された!」


「それでも、あなたの心の奥では、統合世界を愛しているはずです」


僕は98%純度の小石を掲げた。先代の調和術師たちの力で、ディスコードさんの心の奥が見える。


そこには、確かにあった。統合世界への深い愛情が。


「あなたは統合世界を憎んでいるのではなく、裏切られた悲しみで苦しんでいるんです」


「そんな......」


ディスコードさんの声が震えた。


「だから、一緒に帰りましょう。統合世界は、あなたを必要としています」


「私を......必要?」


「はい。本当の統合世界を作るために」


その時、拠点の中から他の調和破壊者たちも出てきた。みんな、困惑した表情をしている。


「首領......どうするのですか」


部下の一人が不安そうに尋ねる。


ディスコードさんは、長い間黙っていた。


「......君の小石の純度は、理論上あり得ない数値を示している」


「古代の調和術師の方々の力をお借りしました」


「古代の......まさか」


「先代の方々も、同じように悩まれていました。憎しみには憎しみではなく、愛で応えることを学ばれました」


ディスコードさんの目から、一筋の涙が流れた。


「私は......私は何をしていたのだ」


「大丈夫です。まだ遅くありません」


僕が手を差し伸べる。


「一緒に帰りましょう。みんなで、本当の統合世界を作りましょう」


ディスコードさんが、ゆっくりと僕の手を見つめる。


「ぐぅ、ぐぁぁ......」


しかしその時ディスコードさんが苦しみだした。分裂術の影響でディスコードさんの精神は安定していないようだ。


「はぁ、はぁ......」


ディスコードさんの目が、再び憎悪の色に染まっていく。


「そうだ......思い出した。私は統合世界に裏切られたのだ!」


「ディスコードさん!」


僕が呼びかけるが、彼の周りに強烈な紫色の分裂術が渦巻いている。


「君の言葉など、すべて偽善だ!調和術師め、私を騙そうとして!」


「違います!あなたの心の中に確かに愛があるのを見ました!」


「愛など存在しない!あるのは裏切りと絶望だけだ!」


ディスコードさんが両手を上げると、巨大な分裂術の陣形が空中に現れた。


「消えろ!統合世界の犬め!」


紫色の破壊光線が僕たちに向かって放たれる。しかし、調和陣形の絶対調和領域が完全にそれを無効化した。


「何だと?理論的にあり得ない!」


「首領!もう一度!」


部下の調和破壊者たちも分裂術を放つが、すべて無効化される。


「くそっ!この小僧の調和術、一体どうなっている!」


ディスコードさんが混乱している。


「ディスコードさん、お願いです。落ち着いてください」


僕は小石を握り締める。


「あなたの本当の心を、もう一度見せてください」


「見るな!私の心に触れるな!」


ディスコードさんがさらに強力な分裂術を発動する。周囲の大地が裂け、空気が歪んだ。


「理論を超越した分裂術、『絶対分離』!これで君の調和術を破ってやる!」


絶対分離の術が僕たちを包む。でも、98%純度の小石が温かく光り、先代の調和術師たちの力がそれを打ち消した。


「馬鹿な......私の最強術が......」


「ディスコードさん、あなたは疲れているんです」


僕が一歩前に出る。


「長い間、憎しみを抱え続けるのは辛いでしょう」


「黙れ!私の苦しみが何だと言うのだ!」


「苦しいから、誰かに分かってほしいから、こうして攻撃しているんですよね」


「違う!私は復讐をしているのだ!」


ディスコードさんの声が震えている。分裂術の紫光が不安定に揺らめいていた。


「全員で一斉攻撃だ!この小僧を倒せば、統合世界への道筋ができる!」


部下たちが一斉に分裂術を放つ。しかし、調和陣形の力の前では、すべてが無力だった。


「どうして......どうして私たちの術が通じないのだ!」


部下の一人が絶望的に叫ぶ。


「理論的におかしい......調和術にそんな力があるはずがない......」


ディスコードさんが頭を抱えて苦しんでいる。


その時、僕の小石が急激に光った。ディスコードさんの心の奥の声が聞こえてくる。


『助けて......誰か私を救って......こんなに憎むのはもう疲れた......』


「ディスコードさん」


僕が静かに近づく。


「もう戦わなくてもいいんです。あなたは十分頑張りました」


「近づくな!近づくなああああ!」


ディスコードさんが最後の力を振り絞って、自爆的な分裂術を発動しようとする。


でも、その直前で力尽きて崩れ落ちた。


「首領!」


「ディスコードさん、逃げましょう!」


調和破壊者の仲間たちが、急いでディスコードさんを抱え上げる。


「まだ......まだ終わらない......私は......統合世界を......」


意識を失いかけながらも、ディスコードさんは憎しみの言葉を呟いている。


「レイさん、追いかけますか?」


フィンが聞いてくる。


「いえ、今は追いません」


僕は首を振る。


「ディスコードさんの心に、確かに救いの光が見えました。時間はかかるかもしれませんが、必ず理解してもらえます」


調和破壊者たちが撤退していく中、僕たちは静かにその場に立っていた。


98%純度の小石が、希望の光を放ちながら。


救済の第一歩。まだ始まったばかりだが、必ず全員を救ってみせる。


先代の調和術師たちの想いと共に。



━━━ 【キャラクターステータス更新】 ━━━━━━━━━━━


【名前】レイ・ストーン 【レベル】34

【称号】小石の魔術師・絆の証明者・救済の宣言者・先代の継承者


【ステータス】

HP: 430/430 MP: 330/330

攻撃力: 26 防御力: 38

魔力: 95 素早さ: 29

命中率: 28 運: 25


【スキル】

・小石生成 Lv.9: 1日3個制限(古代遺産共鳴・98%純度一時発現)

・投擲 Lv.4

・鉱物知識 Lv.6

・魔力操作 Lv.10

・身体調和術 Lv.3

・古代文字理解 Lv.4

・空間移動術 Lv.1

・聖なる障壁 Lv.2

・深癒の光 Lv.5


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※執筆にはAIも相談相手として活用しています✨

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