表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/80

第40話「封印の連鎖と迫る運命」

【英知の神殿・作戦会議室】にて


「封印地点の調査結果が出ました」


セルヴィンさんの声が、神殿の会議室に響いた。古代技術で作られた立体地図が宙に浮かび、7つの封印地点が赤い光で示されている。そのうち1つは既に青に変わっていた——僕たちが解決したヴォルダーク事件の場所だ。


「残り6箇所...思っていた以上に複雑な配置になっている」


ソーンさんが地図を見つめながら呟く。隣に座る僕も、封印地点の配置に不安を感じていた。


「2番目の封印地点は、都市の東側、水晶の洞窟です」エルディス長老が説明を続ける。「そこに封印されているのは...『嘆きのセイレーン』アクアリス。古代大戦で心を失い、悲嘆の歌で周囲の生命力を吸い取る存在になってしまった、元は治癒の大賢者です」


「治癒の大賢者が...」


僕の心が痛んだ。ヴォルダーク同様、本来は善なる存在だったのに、戦争の狂気で歪んでしまったのだろう。


「レイ様の『深癒の光』なら、きっと彼女の心も救えるはずです」ヴィラさんが僕を見つめる。「前回のヴォルダーク事件で証明されましたから」


「ああ、でも注意が必要だ」セルヴィンさんが厳しい表情を浮かべる。「実は、重大な発見があります。封印システムを詳しく調査した結果...」


彼は一呼吸置いてから続けた。


「全ての封印地点は『世界調和器』という古代文明最後の遺産と連動していることが判明しました。あなたたちが試練で創造に関わったあの装置です。本来なら世界の均衡を保つためのものでしたが...封印が1つずつ解除されるたび、装置の力が不安定になっています」


「世界調和器...僕たちが作ったあの装置が」僕とソーンさんが同時に呟いた。


「そうです。あなたたちが英知の神殿で創造した、世界そのものを制御する装置です」エルディス長老の表情が曇る。「しかし、封印されている存在たちの怨念や歪んだ力が、長い年月をかけてこの装置に影響を与えているのです。創造時には想定されていなかった負荷がかかり続けている状態です。もし全ての封印を不適切な方法で解除すれば...」


「どうなるんですか?」


「あなたたちが創造した世界調和器が暴走し、時空間に重大な歪みが生じる可能性があります。最悪の場合、異なる時代が強制的に統合されてしまうかもしれません。皮肉にも、世界を救うために創造した装置が、世界を危機に陥れる可能性があるのです」


僕の血が凍った。異なる時代の統合・・・それは、僕の仲間たちがいる現代と、この古代都市が同じ時空に混在することを意味する。


「つまり、僕たちは慎重に、確実に封印された存在たちを救わなければいけないということですね」


「その通りです、レイ殿。破壊による解決では、装置への悪影響が蓄積されます。調和による解決こそが、唯一の安全な道なのです」


僕は決意を固めた。仲間たちのいる世界を守るためにも、古代の負債を正しく処理しなければならない。



翌日、僕たちは2番目の封印地点へ向かった。都市の東端にある水晶の洞窟は、青く輝く結晶に覆われた美しい場所だった。しかし、その美しさの奥に、深い悲しみが漂っているのを感じる。


「聞こえる...歌声が」


ソーンさんが警戒の姿勢を取る。確かに、洞窟の奥から美しいが悲しい歌声が響いてきていた。それは人の心を引き寄せる魅力的な調べでありながら、同時に魂を疲弊させる危険な響きを持っていた。


「アクアリスの嘆きの歌です」ヴィラさんが治癒魔法の防護を展開する。「直接聞き続けると、生命力を吸い取られてしまいます」


僕は『聖なる障壁』を展開し、チーム全体を保護した。古代防御術と現代の技術を融合させた障壁は、歌声の悪影響を遮断してくれる。


「レイ、俺と一緒に進もう。お前の『深癒の光』で、彼女の心の傷を癒せるはずだ」


「はい、ソーンさん。今度もよろしくお願いします」


僕たちは洞窟の奥へ進んだ。水晶の反射で歌声が複雑に響き合い、幻想的でありながら憂鬱な空間が広がっている。


そして、洞窟の最深部で、ついに彼女と出会った。


『嘆きのセイレーン』アクアリス——透明な青い肌に長い銀髪、美しい顔立ちの女性だった。しかし、その目には深い絶望が宿り、彼女の周りには無数の魂の欠片が漂っている。彼女が歌うたび、その欠片たちが苦しそうに蠢いていた。


「また...来訪者ね...」アクアリスが僕たちに気づき、悲しい笑みを浮かべる。「私の歌を聞きに来たの?それとも、私を滅ぼしに?」


「どちらでもありません」僕は一歩前に出る。「僕たちは、あなたを救いに来ました」


「救う?」彼女の目に一瞬、希望の光が宿る。しかし、すぐに絶望に戻った。「無駄よ...私はもう、元には戻れない。大戦で失ったもの、私が救えなかった命たち...その重さに押し潰されて、こんな化け物になってしまった」


彼女の歌声が強くなる。しかし、僕の障壁がチームを守っていた。


「あなたは化け物なんかじゃない」僕は『魔力操作』で古代技術を起動させる。「治癒の大賢者だったあなたの本当の心を、僕に見せてください」


『深癒の光』を発動させた。Lv.3まで成長したこのスキルは、魂の浄化能力を持っている。優しい光がアクアリスを包み始めた。


「この光は...」彼女の瞳が見開かれる。「治癒の力...でも、違う。これは魂そのものを癒す力」


「そうだ」ソーンさんが僕の横に立つ。「レイの力は、歪んでしまった心を本来の姿に戻すことができる。あなたの中にある、人を救いたいという純粋な想いを思い出せ」


僕とソーンさんの力が共鳴する。前回のヴォルダーク戦で確立した完全統合術が、今度も効果を発揮していた。


「私の...想い」アクアリスの表情が和らいでいく。「そうだった...私は、人を救いたかった。戦争で傷ついた人たちを、癒したかった」


『深癒の光』がさらに強くなる。彼女の周りに漂っていた魂の欠片たちが、苦しみから解放されるように輝き始めた。


「でも、私は力が足りなくて...救えなかった命がたくさんあって...」


「それは、あなたのせいじゃない」僕は心を込めて言う。「戦争が悪いんです。あなたは精一杯やった。そして今も、本当は苦しんでいる人たちを救いたいと思っている」


光がアクアリス全体を包んだ。彼女の嘆きの歌が、次第に希望に満ちた治癒の調べに変わっていく。


「私...私は...」


彼女の瞳から涙が流れた。しかし、それは絶望の涙ではなく、長い苦しみから解放された安堵の涙だった。


「ありがとう...継承者よ。あなたの光で、私は思い出すことができた。私の本当の使命を」


アクアリスの姿が変化していく。絶望に歪んだセイレーンの姿から、慈愛に満ちた治癒の大賢者の姿へと戻っていった。


「『癒しの聖女』アクアリス...それが私の本当の名前」


彼女は美しい笑顔を浮かべて、僕たちに深々と頭を下げた。


「封印を解いてくれて、心を救ってくれて、本当にありがとう。私も、残りの封印された仲間たちを救う手伝いをしたい」



水晶の洞窟から戻った僕たちを、エルディス長老の緊迫した表情が迎えた。


「レイさん、ソーンさん、大変なことが起こりました」


神殿の監視装置が警告音を響かせている。立体地図上で、残り5つの封印地点全てが激しく点滅していた。


「どういうことですか?」


「アクアリスの封印解除の影響で、他の封印地点が連鎖反応を起こしています」セルヴィンさんが慌てた様子で説明する。「世界調和器の動作が急激に不安定になっている」


立体地図の中央に、新たな表示が現れた。巨大な球状の装置——世界調和器の映像だった。その表面に無数の亀裂が走り、危険な光を放っている。


「このままでは...」エルディス長老の顔が青ざめる。


「時空間統合が始まってしまう可能性があります」アクアリスさんが重々しく言う。「世界調和器は、本来なら段階的な調整で安定化できるはずでしたが、長年の怨念の蓄積で制御が効かなくなっている」


僕の心に恐怖が走った。時空間統合——カイルやフィン、エリックがいる現代と、この古代都市が強制的に同じ時空に統合されてしまう。そんなことになれば、両方の世界が混乱に陥ってしまう。


「僕の仲間たちが...」


「レイ、落ち着け」ソーンさんが僕の肩に手を置く。「まだ方法はあるはずだ。今まで2つの封印を調和で解決できたんだから」


「その通りです」アクアリスさんが僕を見つめる。「あなたの『深癒の光』なら、世界調和器の暴走も止められるかもしれません。でも...」


「でも?」


「残りの5つの封印を、極めて短時間で全て解決する必要があります。世界調和器の暴走が本格化する前に」


セルヴィンさんが計算結果を示す。「推定時間は72時間。それを過ぎると、時空間統合が不可逆的に開始されます」


72時間で5つの封印を解決する。

それは想像を絶する困難な任務だった。


「みんな...」僕は仲間たちを見回す。「大変なことになってしまった。でも、僕は絶対に諦めません。仲間たちの世界を守るためにも、古代の人たちを救うためにも」


「私たちも一緒に戦います」ヴィラさんが力強く言う。


「当然だ」ソーンさんが不敵に笑う。「お前一人に任せるわけにはいかない」


「都市防衛同盟の総力を挙げて支援します」エルディス長老が頷く。


「私の治癒の力も役立ててください」アクアリスさんが立ち上がる。


僕は深く息をついた。厳しい戦いになる。しかし、みんながいる。そして、僕には『世界の心臓』の力がある。


「分かりました。みんなで力を合わせて、必ず成功させましょう」


その時、神殿に新たな警告音が響いた。監視装置が異常を検知している。


「3番目の封印地点に異変です!」セルヴィンさんが叫ぶ。「『憤怒の騎士』ガロンの封印が自然崩壊を始めています!」


立体地図上で、3つ目の封印地点が激しく赤く点滅している。


「急がないと...」


僕たちは即座に行動を開始した。72時間のカウントダウンが始まっている。仲間たちの世界を守るため、古代の人たちを救うため、そして世界そのものの調和を保つため——僕は拳を握りしめ、決意を新たにした。


「行きましょう。時間はありません」


━━━━━━━━━━━ 【キャラクターステータス更新】 ━━━━━━━━━━━

【名前】レイ・ストーン 【レベル】21

【称号】小石の魔術師・古代都市の来訪者・生命の核修復者・古代技術発見者・空間術習得者・実戦経験者・実戦訓練生・初勝利達成者・守護戦士・英知の探求者・試練突破者・真実の受容者・協力の達人・世界調和の守護者・調和の戦士・魂の救済者(NEW!)


【ステータス】

HP: 280/280(+10) MP: 180/180(+10)

攻撃力: 17(+0) 防御力: 27(+1)

魔力: 55(+3) 素早さ: 17(+1)

命中率: 18(+1) 運: 16(+0)


【スキル】

・小石生成 Lv.9: 1日3個・アズライト純度90%(3個共鳴時)・古代創造技術

・投擲 Lv.4: 精密攻撃精度向上

・鉱物知識 Lv.6: 古代アズライト理論完全理解

・魔力操作 Lv.10: 古代文明技術統合制御

・身体調和術 Lv.2: 持久力30分維持

・古代文字理解 Lv.4: 古代文明全知識習得

・空間移動術 Lv.1: 実戦での精密運用可能

・聖なる障壁 Lv.2: 協力者保護・古代防御術融合・都市規模防御

・深癒の光 Lv.4: 調和促進・精神安定・魂の浄化・治癒大賢者救済(NEW!)


【重要な関係性】

・仲間3人:継続的励まし・成長報告・72時間の危機意識

・ソーン・ブラックウッド:完全統合術・時空危機共有

・エルディス・ムーンストーン:都市防衛同盟総指揮

・ヴィラ:治癒サポート・緊急時医療

・セルヴィン:世界調和器分析・時空制御理論

・アクアリス:癒しの聖女・治癒協力者(NEW!)


感想・コメント、励みになります。お気軽にお寄せください!


※執筆にはAIも相談相手として活用しています✨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ