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第14話「新たなる責任」

翌朝、僕は少し緊張しながら魔術師ギルドの東棟へと向かっていました。特別研修施設は通常の研修エリアとは完全に分離されており、より厳重な管理下に置かれています。


「おはようございます、レイ君」


エントランスで出迎えてくれたのは、見知らぬ職員の方でした。


「おはようございます。本日からお世話になります、レイ・ストーンです」


「こちらこそ。私はトーマス、特別研修管理部の職員です。マスター・エルドラがお待ちです」


案内されたのは、これまで見たことのない規模の研究室でした。天井は3階分の高さがあり、壁一面に古代文字で記された文献や魔法陣の図面が整然と並んでいます。


「レイ、来たわね」


エルドラさんが振り返り、いつもより少し柔らかい表情を見せてくれました。


「おはようございます、マスター・エルドラ。本日よりよろしくお願いいたします」


「改まらなくていいわよ。でも、特別研修では今までとは次元の違う内容を扱うことになる。覚悟はできている?」


「はい、精一杯頑張らせていただきます」


エルドラさんは満足そうに頷くと、部屋の中央にある巨大な魔法陣を指し示しました。


「まずはこれを見なさい。5世紀前の古代ルーン文字で描かれた『治癒増幅の円環』よ。現代の技術では起動すらできないとされてきた」


魔法陣は直径5メートルほどで、複雑な幾何学模様と文字が組み合わさっています。見ているだけで、なんとなく僕の小石と共鳴するような感覚がありました。


「昨日、あなたが3個同時使用で実現した共鳴効果。あれは単なる魔力増幅ではなく、古代魔法の原理そのものだった。つまり、あなたは現代では不可能とされる技術を、無意識に再現していたのよ」


「そ、そうなのですか?」


「ええ。そして今日は、その能力を意識的に制御する方法を学んでもらう」


エルドラさんは古い文献を開きました。フィンさんが見つけてくれた資料と似たような装丁です。


「『創造の石』についての記述がここにもある。古代文明では、この石を扱える者を『選ばれし創造者』と呼んでいたそうよ。彼らは治癒、建築、農業、あらゆる分野で奇跡を起こしたという」


僕の能力が、そんな壮大な歴史と関わりがあるなんて。


「でも、エルドラさん。僕の能力は本当にそんな立派なものなのでしょうか。ただの小石を作るだけで...」


「レイ」エルドラさんが僕の肩に手を置きます。「謙虚なのはいいことだけれど、自分の価値を過小評価してはダメよ。昨日のあなたの働きで、50人の命が救われた。それは紛れもない事実」


「はい...ありがとうございます」


「さあ、実際にやってみましょう。まずは小石を1個生成して、この魔法陣の中央に置いてみなさい」


僕は集中して小石を1個作り、指示通りに魔法陣の中心に置きました。すると、淡い青白い光が文字の部分から立ち上がり始めます。


「素晴らしい!やはり反応している。次は、魔力を少しずつ石に流し込んでみて。ただし、絶対に無理をしてはダメよ」


言われた通りに魔力を流すと、魔法陣全体が美しく発光し始めました。部屋全体に温かい治癒のオーラが満ちていきます。


「これは...」


「治癒増幅の円環が完全に起動した状態よ。この範囲にいる全ての生物の自然治癒力が10倍に増幅される」


「10倍も!?」


「でも、レイ。これはまだ序の口よ。古代文献によると、『選ばれし創造者』たちは都市規模の魔法陣を起動させていたという記録もある」


スケールの大きさに圧倒されながらも、同時に責任の重さも感じました。


「エルドラさん、このような力を持つことの責任について、教えていただけませんか」


「いい質問ね」エルドラさんが微笑みます。「力には必ず責任が伴う。そして、あなたの力は多くの人を救うことができる反面、悪用されれば大変な脅威にもなる」


その時、研究室のドアがノックされました。


「失礼します」


入ってきたのは、情報管理部のセリアさんでした。彼女の表情は少し緊張しているように見えます。


「セリア、どうしたの?」


「マスター・エルドラ、そしてレイさん。緊急でお話があります」


僕たちは魔法陣を停止させ、セリアさんの話を聞くことにしました。


「実は、ソーンの動向について新しい情報が入ったのです」


やはり、彼はまだ諦めていなかったのですね。


「彼が最近、古い学術論文を大量に収集していることが判明しました。特に...転生魔法理論に関する文献です」


「転生魔法?」エルドラさんが眉をひそめます。


「はい。現代では完全に禁術とされている分野ですが、ソーンはその道の専門家でもありました。そして...」


セリアさんが僕を見つめます。


「レイさん、もしかするとソーンは、あなたについて私たちが知らない何かを知っているかもしれません」


胸の奥がざわつきました。まさか、僕が転生者だということを...?


「具体的には、どのような情報なのでしょうか」


「詳細は不明ですが、彼があなたを『特別な存在』として最初から認識していた理由があるはずです。普通なら、小石生成という一見地味な能力に、あそこまで執着するでしょうか?」


確かに、それは不自然でした。初対面の時から、ソーンは僕に異常な関心を示していました。


「セリア、ソーンがどこでその情報を得たと思う?」エルドラさんが尋ねます。


「それが...彼の過去の研究記録を調べたところ、15年前から『異世界からの魂の転移現象』について論文を発表していたことが分かりました」


15年前・・・


「もしかすると、ソーンは転生者の存在を理論的に予測していて、それに該当する人物を長年探していたのかもしれません」


背筋が寒くなりました。もしそれが本当なら、僕は最初から彼の標的だったということになります。


「レイ、大丈夫?」エルドラさんが心配そうに声をかけてくれます。


「はい..」


セリアさんが続けます。「転生者の魂は、この世界の魔力と独特の共鳴を起こすそうです。特に、創造系の魔法に対して。あなたの小石生成能力の異常な効果は、その共鳴の結果かもしれません」


つまり、僕の能力の特異性自体が、転生者である証拠だったということなのか・・・


「でも心配しなくていいわ、レイ」エルドラさんが力強く言います。「あなたがどんな出自であろうと、今のあなたは私たちの大切な仲間よ。それに、あなたの能力は確実に多くの人を救っている」


「そうです」セリアさんも頷きます。「そして今、私たちはソーンの狙いを理解した。これで対策も立てやすくなります」


「ありがとうございます、お二人とも」


僕は心から感謝を込めて頭を下げました。自分の秘密について心配でしたが、こんなに理解してくれる人たちがいることに、改めて幸せを感じます。


「さて、それでは特別研修を続けましょう」エルドラさんが元の話題に戻します。「ソーンの脅威があるからこそ、あなたの能力をしっかりと制御できるようになる必要がある」


午後になると、カイルさん、フィンさん、エリックさんが研修の合間に様子を見に来てくれました。


「レイ、特別研修はどうだ?」カイルさんが元気よく声をかけてくれます。


「とても勉強になっています。古代魔法について多くのことを教えていただいて」


「それはいいですね」フィンさんが眼鏡を光らせます。「僕も古代文献でもっと調べてみます。何か分かったらすぐに教えますよ」


「...僕たちも、できることがあったら言ってね」エリックさんがいつもの優しい声で言ってくれます。


「皆さん、本当にありがとうございます」


仲間たちの支えがあることで、大きな責任も背負っていける気がしました。


夕方、一人で研修内容を復習していると、ウィルさんが差し入れを持って来てくれました。


「お疲れ様、レイ君。特別研修初日はどうだった?」


「ありがとうございます、ウィルさん。とても充実していました」


「それは良かった。ただ、無理はしちゃダメだよ。特に、今日セリアから聞いた話だと、ソーンがまた何か企んでいるみたいだから」


「はい、気をつけます」


「レイ君」ウィルさんが真剣な表情になります。「君がどんな出自だろうと、それは全く問題じゃない。大切なのは、今の君がどう生きるかだ」


この人も、僕の事情を察してくれているのでしょうか。


「君は既に多くの人を救い、仲間に愛されている。それが全てだよ」


「ウィルさん...ありがとうございます」


その夜、宿舎で今日のことを振り返りながら、僕は改めて決意を固めました。


転生者であることがソーンに知られているかもしれない。それは確かに不安です。でも、今の僕には信頼できる仲間たちがいます。エルドラさん、セリアさん、ウィルさん、そして同期の3人。


「明日からも、皆さんの期待に応えられるよう頑張らないと」


僕は小石を1個作り、手の中で光らせながら呟きました。この力が古代の「創造の石」と関係があるのなら、その責任をしっかりと果たしていきたいと思います。


ソーンがどんな策略を巡らせていても、僕は逃げません。この力を正しく使い、多くの人を救い続けること。それが僕の使命だと、今日改めて理解できました。


翌日の特別研修では、より高度な古代魔法陣の制御を学ぶ予定です。そして、仲間たちとの協力体制も、さらに強化していかなければなりません。


「ソーンさん...あなたが何を企んでいるかは分かりませんが、僕は皆さんと一緒に立ち向かいます」


窓の外の星空を見上げながら、僕は静かに決意を新たにしたのでした。


---


━━━━━━━━━━━ 【キャラクターステータス更新】 ━━━━━━━━━━━

【名前】レイ・ストーン 【レベル】11

【称号】小石の魔術師・村の救世主・特別研修生・選ばれし創造者候補

【種族】人間(転生者) 【年齢】16歳

【職業/クラス】冒険者/魔術師ギルド特別研修生


【ステータス】

HP: 150/150 MP: 45/45

攻撃力: 8 防御力: 9

魔力: 22 素早さ: 10

命中率: 11 運: 9


【スキル】

・小石生成 Lv.8: アズライト純度80%相当、3個同時使用で共鳴効果により実質85%・8倍効果。古代魔法陣活性化・制御可能。1日3個まで。

・投擲 Lv.4: 投擲精度向上

・鉱物知識 Lv.5: 錬金術的鉱物理解

・魔力操作 Lv.6: 古代魔法陣制御、精密魔力操作、治癒増幅円環起動可能


【重要な関係性】

・仲間3人:特別研修開始後も変わらぬ友情、支援体制確立(友情MAX)

・マスター・エルドラ:古代魔法指導開始、完全な信頼関係継続(信頼MAX)

・ギルド上層部:特別研修での成果を高評価(評価MAX)

・セリア:ソーン対策の重要な協力者、完全な信頼関係(協力関係MAX)

・ウィル:転生者の可能性を察知も完全受容(信頼MAX)

・ソーン:転生者特定の可能性、15年前からの理論的追跡(脅威MAX)


感想・コメント、励みになります。お気軽にお寄せください!


※執筆にはAIも相談相手として活用しています✨

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