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第7話 女友達が出来る


翌日の放課後、ついにユアさんとアフタヌーンティーに行く。


「ヒマリさん行きましょう?」


私は頷き、ユアさんの後について行く。


「ねえ、ヒマリさん?」


「はい」


「何でそんなに緊張されているの?」


彼女は不思議に私を見る。そりゃー、お嬢様相手に変な言葉遣いしたり言わないか不安だとは言えない。あと、何故かシュウヤくんも私たちの2m後ろを歩いているのも気になる。


「ユアさんがあまりにも可愛らしくて緊張してしまうんです」


これは本当である。こんなにも可愛くて美しい人なかなかにいないだろうし、芸能人になれるレベルで顔面が整っている。


「まあ、嬉しいこと言って下さるわね!


でもねヒマリさん。あなたも充分に魅力的ですよ。ワタクシこの前も少し言いましたけれど、人間との混血の方と一度お話してみたかったの。

だから今日、あなたとお話出来ること、とても楽しみにしていましたの」


そう話しているうちに、あっという間にカフェにたどり着く。


カフェに入ると内装は今どきのオシャレなライトやインテリアで統一感のあるベージュを基調とした柔らかい雰囲気のお店だ。

店員さんがユアさんに話しかけていた。


「ユア様、お待ちしておりました。

御案内します」


そういって、カフェの2階に案内される。

するとたくさんのデザートがのったテーブルに案内された。


「驚きましたか?」


ユアさんに尋ねられて、思わず頷く。


「ここのカフェ、私のお父様が用意してくれたの。だから好きなだけ食べていいわ」


ユアさんのために用意されたカフェ……?

流石お嬢様だ。やることが違う。


「さあ、座って食べましょう!」


驚きながらも着席し、手前にあったクッキーを食べる。


キラキラした目で私を見る。たぶん感想を求めている。


「とても美味しいです!」


「お口にあってよかった!こちらのマフィンも美味しいですよ」


そしてユアさんにオススメされたお菓子を全部食べてお腹いっぱいになる。


「すみません、もうお腹いっぱいです」


「あら、もう?まだまだ食べてる欲しいものがあったのに!また次の機会にしましょ!


それではお話しましょう!」


一旦気分をリフレッシュさせるために紅茶を飲む。


「ヒマリさんに人間のことを教えて欲しいの」


そう聞かれることは何となく予想はついていた。


「例えば何を知りたいのですか?」


「たくさん聞きたいことはあるわ!」


そういって彼女はカバンからノートを取り出して質問が書かれたページを開き、どれを質問するか悩んでいた。

ちょっと見るとページにはビッシリ文字が書かれていた。


「まずは、ワタクシたちぐらいの人たちは何をしているの?」


「そうですね〜、これはあくまでイメージになってしまいますが、私たちぐらいの世代の人はだいたいスマホを見ています」


「何故なの?」


純粋な目でこちらを見るので、教えがいがある。


「スマホでは色々な人と関われたり、作品を見たり、調べることが出来るからです」


「だって、外の世界ってもっと楽しいことあるわよね?」


それはごもっともな意見だ。だが、現代人はスマホに夢中である。


「そうですけど、基本的には動画見て終わる日もありますし、スマホをいじりすぎてデジタルデトックスしたい日もあるぐらいみんなスマホに夢中ですよ。夢のないこと言ってすみません」


「そうなのね!だからこの学園に入学してからもまずスマートフォンを配布されたのね。納得出来たわ。ありがとう」


「いえいえ!他には聞きたいことはありませんか?」


「シブヤってどんな街なのかしら?」


この世界の人も渋谷は知っている地名なんだ。やっぱり外国に伝わっている文化は異世界にも伝わっているのだな。


「渋谷ですか、あそこは色々なものがありますよ。人も常に凄いですし、流行の最先端の場所のイメージですかね」


「やっぱりそうなのね!

ワタクシ、一度行ってみたかった憧れの場所なの」


彼女は目を輝かせて話す。


「来月校外学習があるじゃない?それでクラスの中で行きたい場所を選択出来るようなの!

しかも、人間界で行きたい場所を選べるなんて本当に凄いわよね!来月が本当に楽しみだわ」


え?全然知らなかった。来月の校外学習でしかも人間界に行けるなんて、そんなこともするんだ。流石人間を学べる唯一の学園なだけあるな。


「ちなみにヒマリさんはどこに行きたいのかしら?」


「私ですか?

私もユアさんと同じ渋谷に行きたいですね」


「ワタクシたち同じ考えね!!嬉しいわ!!」


こんなにも喜んで貰えるなんて賛同してよかった。


「ユアさんは渋谷に行って何をしたいんですか?」


「ヒマリさんは先程シブヤは流行の最先端の場所とおっしゃっていましたよね?

なので、ワタクシは流行しているものを見に行きたいですわ」


「素敵だと思います!」


「ヒマリさんはシブヤには行ったことがありますか?」


「いいえ。私は祖母から話を聞いていただけなので正直人間界には行ったことはありません」


ユアさんには悪いけれど、そこは嘘をつかせてもらう。でも数回程度しか行っていないのでほぼ行ったことないに等しいと思う。


「そうですわよね。ヒマリさんがあまりにも人間界について詳しいので、てっきり行ったことあると勝手に勘違いしてしまいましたわ。


それなら、尚更校外学習が楽しみですわね!」


「そうですね!」


その後、軽く談笑して17時になるとユアさんがお開きしたいと話したのでお金を支払おうとスマホのアプリポイントを送ろうとする。ユアさんは


「いいえ、お代は結構ですわ。これはワタクシからヒマリさんにプレゼントしたかっただけなので、大丈夫ですわ」


断られてしまう。こういう時はご好意に甘える。

カフェの1階に行くとシュウヤくんがおり、もしやずっとこのカフェで1人で居たのかと驚いた。


「シュウヤ、ご苦労様でした。


ワタクシのことは大丈夫だから、ヒマリさんを送ってあげて」


「ユアは誰かに使いを頼んだのか?」


「この後お父様に呼ばれているから、迎えが店の前に来ているわよ」


店から出ると、高級そうな黒い車が停まっていた。


「シュウヤ、今日はここまで大丈夫よ。ありがとう。

ヒマリさんもまた明日ですわ。ごきげんよう」


そういって執事のような人が車のドアを開いてユアさんは優雅に乗り込んで、車は行ってしまった。


いきなりシュウヤくんと一緒になってしまってちょっと気まずい。


「それじゃあ、帰るか」


私は頷いて、シュウヤくんの後ろを歩く。

彼は足が長いからか歩幅も大きい。パッと見180cmほどありそうなので、流石足長だなと納得する。モデル出来そうなぐらいスタイルがいいので、校外学習で渋谷に行ったらスカウトされそうだな。

少し歩いて彼は不思議そうに振り向く。


「何故俺の後ろを歩くんだ?」


「隣を並んで歩くのってあまり良くないんじゃない?ヴァンパイア族ってかなり身分が高いんだよね?だから、私みたいな平民が隣を歩いたら失礼かなって……」


「君はそんなことを気にするような人には見えなかったが、そうか。確かに、そうかもしれない。だが、同じクラスメイトなのだから、隣を歩いてもいいと思う」


何て優しいんだ。こういう人が国を動かす政治家になるといいタイプだな。


「ありがとう!それじゃあお言葉に甘えて隣失礼します」


そういって並んで歩くことに。


「シュウヤくんってユアさんとはどれぐらいの仲なの?」


「ユアとは幼馴染なんだ。ユア以外にも、ヒナタとタクトもミドルスクールからの友達なんだが、特にユアとは家族間でも仲が良いんだ。

だから俺がユアの護衛になって欲しいとユアの両親からも頼まれている。日替わりでヒナタとタクトもユアの護衛をしている」


「そうなんだ!ユアさんってやっぱりかなりのお嬢様なんだね」


私の言葉を聞いてシュウヤは足を止めて、私を見た。


「ヒマリはユアがどの位置にいるか本当に知らないのか?」


「え、ごめん、知らない」


「この学園、いや、この世界で知らない人に出会ったのは初めてだ」


無知とは恥ずかしいものだ。常識を知らないということはこんなにも恥ずかしいことなんだと実感させられる。


「ヒマリもかなりの箱入り娘なんだな。


ユアはヴァンパイア族の中でもトップのミズホ家の一人娘なんだ。だからあんなにも大切にされて育てられている。うちの学園には寮や食堂はあるが、ユアは夕食は必ず家で食べて、週末も毎回家に帰っているよ。特に父親がかなりの心配症らしくてね。あそこまで過保護なのも凄い話だよな」


「確かに、かなり過保護だね。でもあんなに可愛い子が娘だったら溺愛する気持ちも分かるな」


私の発言でシュウヤは笑った。


「ヒマリって少し変わってるな」


「え、それ悪い意味?」


「いいや、良い意味だ。ユアのことをそういう捉え方する人に出会ったのは初めてだ。

この話をすると、だいたいみんなユアが可哀想だって言うんだ。でもヒマリは両親に納得する考えが出来るの凄いことだ。


最初の人間学の授業でも1人だけ視野が広いなと思ったが、やはりヒマリは常識に囚われない価値観を持っているな」


純粋に褒められるのは少しくすぐったい。


「そんなに褒められることないから照れるな」


「そうなのか。意外だな」


「全然、むしろ私はこの世界のこと知らなくて無知なのが恥ずかしいぐらいだよ 」


「ヒマリもどこかのお嬢様なのか?」


「そんなことないよ!私はただの平民だよ」


「そうか」


「シュウヤくんは何か好きなこととかものはないの?」


「俺の好きなもの……」


急に考え出した。そんなに難しい質問をしてしまったのか、それとも聞かれたくなかったのか。とにかくやばい。話を切り替えなきゃ。


「あー、いや無理に答えなくても大丈夫だよ、じゃあ、他の」


「いや、質問を変えなくていい。俺は好きなものを聞かれたことが今までになかったんだ。だから考えたこともなかった」


「え?本当に?」


そんなことがあるのか。こんなにイケメンな人が女子から圧倒的人気があるはずのビジュアルを持っているのに、誰も彼のパーソナルについて興味があるないなんて有り得ない話である。


「シュウヤくんってめっちゃ顔がかっこいいし、雰囲気もクールでいつもユアさん達と仲良さそうに喋ってたりフォロー上手だなって思ってから、男女関わらず人気そうだなって思ってたけど」


シュウヤくんは私の言葉を聞いて先程とは違う驚いた表情したり、少し耳が赤くなっていた。


「俺のことをそんな風に見てくれた人は初めてだ。ありがとう」


「いやいや、たぶんみんなシュウヤくんのことかっこいいと思ってるけど、言ってないだけだと思うよ!」


そして女子寮の前まで着いた。


「送ってくれてありがとう!また明日ね」


「ああ、また明日な」


そして、私は女子寮に入った。

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