第64話 距離が縮まった?
ここはイブキくんと行ったレストランだが、たった1回行っただけの場所なのだから、全然問題ない。気にしないようにする。
彼にエスコートされて、店内に入り、席に着き、メニュー表を渡されて目を通す。
前回はハンバーグとオムライスで迷ったが、今回はオムライスを食べに来たので、オムライスは食べるのだが、追加でデザートを食べるか悩む。
ラインナップはプリンアラモードとティラミスとシフォンケーキの3種類だ。今の気分は甘めなプリンアラモードが食べたいが、ちょっとお値段が張るので頼むか悩む。
「そんなにメニュー表とにらめっこして、どうしたの?」
席に着いてから、初めて彼に視線を動かした。
「デザートを食べるか悩んでてさ」
「なるほど。せっかくだし、食べなよ?」
「いやいや、ちょっと値段が高いからさ」
情けない理由を正直に話した。
「そっか。俺にはそういう感覚がないから、正直言うと分からないんだけど、無理して食べなくてもいいと思う!またここに来て食べればいいんだし!
でも、俺的にはヒマちゃんの食べる姿が好きだから、せっかくなら食べて欲しいと思ってる」
(このように言われて断れる人はいないだろう)
「やっぱり食べようかな」
「そうこなくちゃね!」
そして彼がスマートに注文してくれた。
私はテーブルに置いてあった水を1口飲んだ。
「ヒマちゃんは明日のスポーツデイには応援で出るんだよね?」
「そうだよ。競技には出ないけど、応援は全員参加だからね。ユアさんとクラスのナルミさんが衣装着て応援するからそれは楽しみだよね」
「そうなんだね。俺的にはヒマちゃんが着て応援しているところを見たかったけどね」
(それは本当に思って言っているのだろうか?)
「俺のこと怪しいって思ってる顔してるよ」
表情にまで出ていたらしい。
「いやいや、そんなことない」
「ヒマちゃんは正直者だから分かりやすいよ。
俺は心にも思ってないことは言わないよ。
君は俺の婚約者だから本当に大事にしたいと思っていつも接しているよ」
(そうだったのか)
「そんな風に思ってくれてて嬉しい。
私もまだヨルくんの知らないことは多いけど、少しずつ距離が縮まってきたような気はしてた。
もっと仲良くなれるように私も心開けるようにする」
「俺ももっと仲良くなりたいからよろしくね」
彼はグラスを持ち、私に近づけた。私も乾杯しようとグラスを持ち、軽快な音が鳴った。
水を1口飲んだ。
オムライスが私たちのところに運ばれてきた。
前回も美味しかったが、今回もとても美味しそうなビジュアルだ。
思わずお腹が鳴った。幸いにも彼に聞こえていなかったようだ。
スプーンを持ち、オムライスを1口すくい、口へ運ぶ。
「美味しい!」
「美味しいね」
お互い目を合わせて、感想を言い合った。
その後もオムライスに舌鼓を打ち、食後のデザートのプリンアラモードも堪能し、あっという間に食事の時間は過ぎ去っていった。
お会計をしようと自分の食べた分を支払おうと思ったら、ヨルくんがスマートにお支払いを済ませてくれた。
「ご馳走様でした」
「いえいえ」
「もう帰る?」
「明日もあるから早めに帰ろうか?」
時計を見ると、まだ13時30分。
部屋にいても特にやることはないが、まあいいかと思った。
「な〜に?まだ俺といたい?」
(何そのゲームの陽キャイケメンキャラの言い回し)
「一人で部屋にいてもやることないなって思ってただけ」
「確かに、俺も部屋に戻っても特にやることはないよ。だから、家にちょっと寄って帰ろうと思ってたんだ。
ーーヒマちゃんも一緒に来る?」
悪い顔をして誘ってきた彼だが、流石にまたあの立派な家に入るのは憚られるので、お断りをする。
「また今度で」
「そうか、残念。まあ明日また会えるからね」
「うん!」
2人で女子寮まで散歩し、送ってもらった。
「送ってくれてありがとう!また明日ね!」
すると彼は私の手を握った。
「うん。明日は頑張るから、俺を見ててね」
「……うん」
手を握られて目の前でカッコイイことを言われて、動揺した返事をしていた。
「じゃあ、また明日ね」
彼は優しい笑顔を浮かべて、頭を撫でて、彼は私から離れていった。
相変わらず甘いスキンシップをする彼に私は慣れないが、それも心地よく感じる自分がいる。
私はヨルくんのこと好きになってきたのだろうか。でも、心がときめかない気がする。
イブキくんに触れられる方がドキドキしていた気がする。
でも、ここで何でイブキくんを思い出しているのだろうか。
ここで立っていても解決しないので、部屋に戻った。
そして部屋に戻って、何にもせずゴロゴロしていたら昼寝をしていたら今日が終わり、スポーツデイ当日を迎えていた。




