第62話 約束
いつも読んでいただきありがとうございます!
今週分遅れてしまい、すみません!
62話も楽しんで読んで頂ければ嬉しいです!
ファミレスでの食事を楽しんだ後、私は帰宅した。彼は送ってくれようとしたが、親に勘違いされるのが面倒だと思い、強制的に帰らせた。
彼は悲しそうにいていたけど、「わかったよ」と、諦めて帰っていった。
ドアを開くと、お母さんが心配そうな顔で玄関で待っていた。
「もう何時だと思ってるの?」
スマホの時計を見ると、24時ぴったりだった。
「ごめんなさい」
「帰りが遅くなるとしか連絡がなかったから、お母さん心配しちゃったよ」
あんまり時計を見ていなかったから分からなかったけど、こんなにも時間が経っていたことに驚きである。お母さんも心配する訳だ。私がこんな遅い時間に帰ってくることはほとんどないから。
「何時になるか分からなかったのと、途中帰ろうと思ったから連絡するのをすっかり忘れちゃった」
「とりあえず、ちゃんと帰ってきてくれてよかった。
ーーおかえりなさい」
「ただいま」
お母さんはその後も今後は帰ってくる時間が遅くなりそうでも、だいたい何時に帰るか伝えて欲しいと言われて、これからはしっかり伝えると約束した。
少し過保護すぎると思いつつ、24時過ぎはさすがに遅いので、それより前に帰ってこようと思う。
すぐに寝たかったが、シャワーを浴びて、歯磨きをし、スッキリしてから部屋に戻った。
部屋に戻ると、制服やカバンの中身がベッドの上で散乱しており、急いで部屋を出ていったままの状態であった。
制服をハンガーにかけて、カバンの中身をしまい、ラックにかけた。
ベッドに転がると、そのまま眠りについていた。
目が覚めてスマホの時計を見ると、10時。思ったよりも早く起きたようだ。
2度寝しようと思ったが、なんだか眠れないので、スマホを見る。
そういえば、この世界でしか作品が見れないことを思い出し、夏休みの時に見ていたアニメが最終話を迎えていることに気が付き、それを一気見した。
お腹が空き1階へ降りるとお母さんも休みなのか、リビングでくつろいでいた。
「おはよう。降りてくるの遅いよ」
「おはよう。気になってたアニメ見てたら、結構時間経ってたんだよね」
「お昼ご飯、冷蔵庫に入ってるから、レンジで温めてね」
そう言われて冷蔵庫を開けると、お皿にはオムライスがのっていた。それを取り出して、電子レンジに入れた。
オムライスを待っている間、冷蔵庫から水も取り出して、コップに注いで飲む。
電子レンジから電子音がなり、取り出すと良い感じに温められたようで、湯気と良い香りが充満していた。
テーブルに持っていき、椅子に座る。いただきます。
久しぶりのお母さんのご飯はとても美味しかった。
あっという間に食べ終えて、リビングのテレビの録画リストを見て、過去のアニメを見返そうと思ったとき、おじさんからの頼み事を思い出した。
「君に頼みたいことがある」
おじさんにそう言われて、A4用紙を半分に折られた紙が渡された。
何が書かれているんだろうと思ったが、その場で見るのは失礼になるかもと思い、家に帰ってから内容を確認しようと思って、忘れていた。
急いで部屋にあるカバンから紙を出して開くと、メモが書かれていた。
スポーツデイとハロウィンパーティーで欲しいものリストと書かれており、はちまき、布、リボン、テープ、モールなど100円ショップで手に入りそうなものばかりが書かれていた。
確かにあっちの世界には売ってないよなとか思いながら、お母さんに買いに行くのを手伝って貰えないか聞いてみようと思い、リビングへ戻った。
「ねえねえ、おじさんにこれ買って来て欲しいって言われて100円ショップに行きたいんだよね」
メモ用紙を見せると、お母さんはうんうんと頷いた。
「確かに、これはだいたい100円ショップで手に入るものばかりだけど、数が多くて運ぶの大変じゃない?」
母の指摘は正しい。全生徒に行き渡るほどの量まではいかないが、かなりの数を購入することになりそうだったので、母に手伝ってもらうのもしんどいし、金銭的にもかなりいくのでは?と思う。後で支払われると思うが、100円ショップとはいえ、何万円もいきそうだった。
お母さんはスマホで調べていると、オンラインショップがあることを知り、購入出来るだけ購入して、気になるものは実際に行って購入してこようとなった。
かなりの数の商品を購入することが出来たが、後日我が家に大量の荷物が届くことになる。どうやって学校にこの荷物を送るのか少し気になるが、わざわざ聞くことではないだろう。
リボンや装飾品は画像よりも実際見て判断したいと思い、今日は母と共に100円ショップを回って色々と購入してきた。
今の100円ショップはたくさんの便利アイテムから日用品や雑貨など幅広く扱っているので、コンビニぐらい便利かつ安くて助かる。
あっという間に買い物で時間が溶けて、20時となっていた。
夕食も家で済ませて、もうあっちに帰る。
今日買ったものを手に持ち、鏡の前に立ち、戻りたいと言うとワープが出てきた。
それを通り抜けると、おじさんが私を待っていた。校長室に戻ってきたようだ。
「おかえり」
「ただいまです」
「頼んだものは買ってきてくれたかな?」
「はい!先程買ってきたものはこの袋に入っています!残りはまとめて私の家に届く予定なので後で受け取りお願いします!」
おじさんに袋を渡し、おじさんは中身を少し確認した。
「ヒマリちゃんありがとう!凄く助かったよ!」
「いえいえ」
「今日はお開きにしようか。明日はゆっくり休んでね」
「はい!ありがとうございます!おやすみなさい」
「おやすみなさい」
私は校長室を出て、昇降口を出てすぐの噴水広場のベンチに誰かが座っているのが見えた。
あまり足音を立てないようにゆっくりと近づくと、イブキくんがいた。ランニングしていたのかラフな格好で、顔を上げて月を眺めているようだった。
私は1人になりたいのかなと思い、引き続き忍び足で去っていく。
「待って」
イブキくんが私の左腕を掴んだ。
「ヒマリ」
私は彼の方を振り向いた。
「ここにいたらヒマリと会えるような気がして待っていたんだけど、本当に会えるだなんて夢みたいだ」
「そんな、大袈裟だよ」
「いいや、僕は君に会いたかったんだ」
そんなまっすぐ目を見て言われたら、照れてしまう。
「そう?」
「うん。ヒマリは学校で何をしていたの?」
「忘れ物をしてて、取りに戻ってただけだよ」
「そっか」
「イブキくんはランニングしてたの?」
「そうだよ。スポーツデイに向けて、いつもより走る時間を長めに取っているんだ」
「なるほど」
イブキくんはそれだけリレーで勝ちたいということを知った。
「俺、スポーツデイのリレーを頑張って走るから、ヒマリに応援して欲しい」
「もちろんだよ!私もコーチとして、イブキくんやみんなの走りをサポートしたいし、たくさん応援するから!!」
「ありがとう。
ーーあと1つだけお願い聞いて貰える?」
彼からお願いされることがないので、不思議に思いながらも頷いた。
「僕がリレーでヨルさんに勝ったら、僕の言うこと一つだけ叶えて欲しい」
真剣な声でお願いされたが、私はまずリレーにヨルくんが出ることを知らなかった。この話し方的にアンカーをつとめるのだろう。
あと、一つだけ言うことを叶えるって、私はランプの魔神かと思ってしまったが、イブキくんがお願いすることは滅多にないので、聞いてあげたいと思った。
「いいよ」
彼は私の返事を聞くと、嬉しそうに笑った。久しぶりに彼の純粋な笑顔を見た気がした。
彼は私の左手を握った。
「僕は誓うよ。君に勝利を捧げると」
そして、握っていた手の甲にキスを落とした。
私は驚きつつも、彼は真剣にこちらを見ていた。
彼の握る手は強いが優しさも感じるような握り方だった。
私がそろそろ手を離そうとしても、彼は手を離してくれない。握手しているだけだが、他の人に見られるのは少々面倒になる。
「あと少しだけ握ってもいい?」
そんな子犬みたいな顔で言われてしまったら、ノーとは言えない。
「わかった。あとちょっとだけね」
体感5分ほど経ち、ようやく手を離してくれた。
「ヒマリありがとう」
「いえいえ」
「寮まで送るよ」
「いやいいよ。ヨルくん以外の人に送られるのは変な誤解が生まれそうだから、一人で戻るよ」
「そっか、そうだね」
寂しそうに笑った彼に申し訳なさを感じつつ、私は彼と分かれた。
「また月曜日ね!」
「またね」
彼に手を振って、寮に戻った。




