第51話 みんなでやりたいこと
時計を見ると針は11を指していた。
先程のヨルくんという人物のことを考えていたらかなり時間が経っていたようだ。
考えても無駄なことは分かっているが、でも思考は停止することがなかった。
すると軽快なノックの音がし、返事をする。ベッドからドアの方に向かう。
「ヒマリさん、おはようございます」
ドアを開けて、挨拶をしたユアさん。今日も朝からいや昼から麗しい。今日は白いシルクっぽい生地のワンピースを着ていて正にお嬢様だ。
「ユアさんおはようございます!」
とりあえずいつもみたいに元気に挨拶をする。ユアさんにヨルくんのことを聞きたいが、聞いてもいいのか分からず、一旦飲み込む。
「どうされたの?何か気になることでも?」
「いや!今日もユアさんは朝から綺麗だなって!」
「ーーあら、嬉しいことを言ってくださいますね!ヒマリさんも本日も可愛らしいですわ!」
お互いを褒め合っていると、ユアさんの後ろから、シュウヤくんが来ていた。
「遅いから様子を見に来たのだが、こんなところで油を売っている場合じゃないぞ。
ーーみんながリビングで待っている」
ユアさん何にもそんなこと言っていなかったけど、私をみんなが待っているってこと?それは急いでリビングに行かなければ。
「すみません。そういえばそうでしたわ、つい話に夢中になっちゃいました!」
可愛く謝るユアさんにキュンとし、すぐに許す。
「それではリビングに行きましょうか」
そしてリビングに3人で向かうと、リビングにいたメンバーはソファーに腰をかけて、ゆったりとしていた。
急ぎの集合ではなさそうな様子なので、少しホッとして、私たちも空いている場所に腰を下ろす。
すると、みんなの顔を見たチアキくんが口を開く。
「ーーさて、みんな揃ったということで、話を進めるね!
今日やることはビーチで遊ぶ予定だけど、ビーチで何をしたい?」
はいと明るい声で挙手したのはヒナタくんだった。
「僕ね〜、みんなと水上ボートに乗りたい!円型のグルグル回るやつとか、猛スピードで引っ張ってもらうやつとか!」
テレビで芸能人がやっているようなやつのことかなと頭に思い浮かべる。あれって、結構お金かかるイメージだけど、1回は乗ってみたいとは思っていた。
周りの反応を見ると、ユアさんは目を輝かやかせて賛成と言っているが、残りの絶叫系の乗り物が苦手なイブキくん、シュウヤくん、チアキくんはあまり乗り気ではなさそうだ。
「ヒマリちゃんはどう??」
話を振られ、みんなの視線を私に集まった。これで決まってしまいそうな雰囲気である。
私は乗りたい気持ちを優先する。
「良いと思う!!賛成!!」
ヒナタくんは満面の笑みで喜ぶ。
「だよね!!ヒマリちゃんならそう言ってくれると思ってた!!」
私とユアさんとヒナタくんの3人で片手ハイタッチをした。次にヒナタくんは隣に座っているタクトくんに話を振った。
「タクトはやりたいことある?」
「俺はビーチバレーかな」
「いいね!!僕も賛成!」
すかさずヒナタくんはタクトくんの意見に賛同した。
「ワタクシはやりたくないですわ。砂の上でバレーなんて汚れてしまうもの。
ーーねえ?ヒマリさんもそう思いません?」
そう話を振られて、確かにそれもそうだなと思う。そもそも、普通のバレーすら苦手な私が砂の上でバレーなんてしたら、どんな怪我をするか分からない。正直パスしたいと思っていたので、ユアさんの意見に乗らせてもらう。
「そうですね。私とユアさんはバレーに参加せず審判をして、男子たちでバレーやればいいと思います」
「それもいいね!
奇数になっちゃうけど、それはそれでチームワークが試されるだろうし、面白そうだね」
チアキくんはいつも良いコメントをしてくれる。
「イブキくんはやりたいこととかない?」
一言も話していなかったイブキくんに話を振った。
「俺はみんなと楽しめるものなら何でも良いよ」
イブキくんらしい回答だった。
「そっか!それじゃあ、シュウヤくんはやりたいことある?」
「俺もタクトと同じでビーチバレーをやりたいと考えていたんだが、ただやるだけなのも物足りないと思って、罰ゲームを付けるのはどうだろうか?」
「罰ゲームってどんなこと??」
ヒナタくんは期待に満ち溢れた表情でシュウヤくんに尋ねた。
「例えば、夕方は庭でBBQをする予定だから、負けたチームの人は1品、何か料理を作るとか面白そうじゃないか?」
「なるほど、それは面白いと思う!
あとは、ヒマリとユアにも、どっちのチームを応援するかを決めて貰って、応援してたチームが負けた場合、どちらかにも一緒に料理を作るのを手伝って貰うことにもしようか?」
チアキくんは罰ゲームの内容をブラッシュアップして提案した。
「ワタクシも2人の意見に賛成ですわ!とても良いと思います!!
ただ見てるだけっていうのも味気ないですものね!流石はチアキさん!」
ユアさんはチアキくんだけを褒める。
「俺が提案したんだけど、まあいい。
ーー他のみんなもどうだ?」
シュウヤくんはユアさんの対応に慣れているのか、涼しい顔でみんなに視線を向けた。私も含めた残りのメンバーも賛成をして、やることは決まった。
「やることは決まったね!
それじゃあ、各自水着に着替えてから、ビーチで集合しよう」
チアキくんが話をまとめて、着替えに行くため解散となった。
そういえば、水着なんて用意していない。とりあえずユアさんに聞いてみる。
「ユアさん、私、水着持ってないんですが……」
彼女は笑顔で答える。
「問題ありませんわ!クローゼットの中に入っているので好きなものを選んでください!」
まさかの用意済みであった。まあ隣にプライベートビーチがあれば水着を何枚もあってもおかしくないかとも思った。
部屋に戻り、早速クローゼットを開けて確認をする。
私好みのものが用意してあるのか、あまり派手すぎないシンプルなデザインで布面積も多めではある。もはや、服である。半袖半ズボンの水着やスカートタイプ、もちろんビキニタイプもあるが、私は白い半袖に水色の半ズボンの水着に決めた。
早速着替えて、鏡の前で自分の姿を見てみたが普通に洋服みたいだった。今ってこんなにも水着の選択肢は増えているのだなと感心する。
ドアがノックされた。
「準備は出来ましたか?」
ドア越しにユアさん声がした。
「出来ました!入っても大丈夫ですよ」
ドアが開き、お互いの姿を見る。
ユアさんは髪の毛をポニーテールにしていて、水着は下はタンクトップにシアーシャツを羽織り、スカートタイプのようだ。黒とワインレッドを基調としたシックで大人っぽさもありつつ、ユアさんらしい綺麗な水着だ。
今はこんな水着も売っているんだと驚いた。
「ユアさんとても美しいですね」
「ヒマリさんこそ、可愛らしくて素敵ですわ」
「いやいや、ユアさんの水着はまるでユアさんのために作られたものだと思うぐらいお似合いです」
「そう言われて嬉しいわ!
ーー実はヒマリさんが仰った通り、この水着はオーダーメイドのものなの!流石はヒマリさんですわね!」
マジで特注の水着でびっくりする。
ホンマにそうなんかい!と関西人でもないのにエセで言いたくなったが抑える。
「ここでまたお話していたら、みんなを待たせてしまうので、ビーチに向かいましょうか」
彼女の提案に頷き、サンダルに履き替えて、外に出る。ユアさんは黒いフリルの付いた日傘を差しており、私にも同じ日傘も貸してくれたので、私もそれを差してビーチに向かった。




