第50話 エンカウント
いつも拝読していただきありがとうございます!
投稿時間遅れてすみません!
楽しく読んで頂けるよう書きましたので、是非最後までご覧下さい!
昨日の勉強会から一夜明けて、時計を見ると朝の8時で、普段なら遅刻する時間だが、まだ夏休みなので、むしろ早起きをしていた。
せっかく早起きをしたので、近くの海にでも行こうかと考えながら、カーテンを開けると、まだ日が昇っていないのか、外は夜のように暗かった。
何故だろうと謎に思ったが、そういえば昨日の車内でユアさんが言っていたことを思い出す。
「ワタクシの別荘では、12時〜17時の間だけ太陽が出現するの。
普通ならずっと夜が続くはずなのに、お父様がウィザード族のお偉い方に許可を貰い、そして校長先生がその魔法をかけて下さったそうよ」
やることのスケールが違うなとこの時も思ったが、やはりユアさんのお父さんは娘にはとびきり甘い父親である。
日が昇るまで約4時間もあるので、みんなが起きるまで部屋にずっといるのも勿体ないと思い、別荘から見える海に行こうと軽く身支度を整える。
外に出ると、外は暗くてまるで夜のようだった。
朝という気分はあまり味わえないが、夜の海も良さそうだと思い、別荘から少し歩いて階段を下るとそのまま砂浜につながっていた。
プライベートビーチなのか、周りには人が居らず波音だけが聞こえ、耳の心地がよい。
波打ち際をただ眺めていると、ザッザッとこちらに近づく足音がし、音の方を向くと、イブキくんがいた。
「おはよう、ヒマリ」
「おはよう、イブキくん!朝早いね」
「僕はいつも朝にランニングをするから、目が覚めちゃうんだ。さっきもランニングしてきたところ。ヒマリこそ、朝早いね?」
彼はランニングをしてきたのか、少し前髪は乱れていて、汗もかいていそうだった。
「私はなんとなく目が覚めたから、海をゆっくりみたいなって思って、さっき来たんだ!
静かで凄く居心地が良いよ」
私たちの会話に相槌を打つように、ザーと波が音を打った。
「ヒマリって静かなところだったり、景色が綺麗なところ好きだよね」
「うん!見てて癒されるし、心が休まる感じがして好き!イブキくんは好き?」
「僕も静かなところとか、景色が綺麗なところも好きだよ。
でも、一番好きなのは好きな人と一緒に過ごせることが好きだよ」
「いいね」
すると、会話が途切れて沈黙になる。ただ波の音だけが響く。
会話の流れがナチュラルすぎて気が付かなかったが、若干告白っぽいこと言ってない?
あまりに自然に言うものだから、私もいいねっていう簡単な言葉で相槌してしまったけど、今になって急にドキドキしてきた。
すると、またザッザッという足音がして、シュウヤくんでも来たのかなと思い振り向くと、知らない私たちと同い年ぐらいのまた顔の整った金髪の男の子が来ていた。またタイプの違うイケメンが来たなと思いつつも、あれ、ここはプライベートビーチのはずでは?と疑問に思っていると、彼は口を開く。
「お二人さん、朝からイチャつくのはいいけど、ここは俺のビーチでもあるので、ほどほどにしてもらってもいいかな?」
「イチャイチャしていません!」
私は彼の言葉を強く否定する。
「そういう君こそ、俺のビーチってどういうこと?ここはユアさんの家の別荘のはずだけど」
イブキくんが聞きたいことを聞いてくれた。あと、イブキくんってユアさんって呼んでいたんだと気が付いた。あんまり名前を呼び捨てにするイメージがないけど、シュウヤくんと私だけ呼び捨てなのかな?と気になり、イブキくんの言動にも気をつけようと思う。
「ユアから聞いてない?そっか、俺が来ることを話してなかったのか……。
ーー俺はユアのいとこのヨルで、人間界で地下アイドルやってまーす!」
「え!!??人間界で地下ドルやってるの!?」
驚いて、頭が動かず、大きな声で彼の言葉をリピートして言っていた。
「そう!俺の名前はナイト。
ファンのみんなを守る騎士になりたいんだ」
普段やっているであろう自己紹介をカマしてきた、ヨルくん。アイドルのキラメキは地下ドルとは思えないぐらい夜に輝く星のように見える。
「まあこんな感じで、ゆるっとアイドル活動しているわけ!
ーーそれで、君たちはユアの友達?」
彼のキャラクター性が強くて忘れていたが、そういえばまだ自己紹介をしていなかった。
「私の名前はヒマリです!ユアさんの友達です!隣は……」
「ユイト・イブキです」
イブキくんは少しが機嫌が悪いのか、先程私と会話した時よりもワントーン低い声で挨拶し、軽い会釈をした。
「ユイトくんとヒマリちゃんだね!よろしくね!」
「よろしく!」
ユイトくんは軽く頷いた。
ヨルくんは不敵な笑みを浮かべて、私の耳元に近づき囁いた。
「ヒマリちゃんって、人間だよね?」
私はビクッとして、思わず離れる。
私の様子が異常だったせいか、イブキくんはヨルくんを警戒する。
「その反応はやっぱりそうなんだ!
ーーなるほど、すごく面白い」
彼の言葉に引っかかったのか、イブキくんは私の方を見た。
「ヒマリ、彼になんて言われたの?」
それを正直に答えてしまったら、私はここにいられなくなるかもと思い、はぐらかす。
「何にも!ただ私の性格を当てられて驚いちゃっただけ。驚かせてごめんね!」
イブキくんに軽く謝罪をすると、彼は煮え切らない様子だったが、とりあえずは納得?してくれた。
「それじゃあ、俺は戻るね?
ーー2人ともまたね」
彼はのんびりと別荘の方に向かって歩いていった。
私は彼の言葉のせいで、動悸がおさまらならなかった。何で初対面なのに、私が人間だということに気が付いたのかととても不思議だったが、それを聞くことも無く会話は終了してしまった。
大きな疑問が頭の中を埋め尽くす。
「……」
「ヒマリ!」
隣にいたイブキくんに呼ばれていたようだ。
「さっきから顔色が悪いけど、部屋で休んだ方がいいよ」
「そうだね。部屋に戻ることにするね。
それじゃあ、またあとでね!」
精一杯の元気を振り絞って、この場を去る。
別荘の中はまだ誰も起きていないのか、静かだった。
足音を立てないようにゆっくりと部屋に戻る。




