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第48話 小さな書庫


部屋に戻っても特にやることがなく、とりあえず、スマホを見る。

何にも連絡もない。

先ほどまでみんなとわいわいと過ごしていた時間から、急に孤独な時間になると流石に寂しく感じてくる。

かといって、隣のユアさんの部屋に入るのは緊張するため、行くのを躊躇う。

だが、2階に行っても男子たちがいるところに行くのもなんだかなと思い、やはり部屋にいることが良い気がする。


何かやることがなかったかなと考えてみる。

この学校は特別なのか、夏休みの課題がない。

校長曰く、「夏休みというものは休むためにあるのだから、各々の時間を大切にして欲しい」ということで、課題は出さないらしい。

その分、休み明けには学力テスト的なものがあり、勉強をサボっていないかや授業においていかれてないかの実力を確認するようだ。

たった今、学力テストがあることを思い出した。


学校が始まるまで5日ほど。今から勉強しておかないと忘れているところもある気がする。

だが、大事なテキストや問題集の入ったタブレットがない。寮に置いてきてしまった。

ユアさんが持っていないか確かめるため、連絡する。



ヒマリ:ユアさんは学校のタブレットを持っていたりしますか?

学校が始まったらすぐにテストがあるので、勉強したいなと思って、もし持っていたら借りたいです!


ユア:タブレットはないですけど、小さな書庫には教科書や問題集が置いてあったと思うわ!案内するわね!



連絡後すぐにドアがノックされた。


「ヒマリさん、入っても大丈夫かしら?」


「はい!」


彼女はドアを開けて、部屋に入る。


「小さな書庫は2階の奥の方にあるわ!一緒に行きましょう?」


私はこくりと頷き、部屋を出て彼女のあとを追う。

2階に上がると話し声がして、談話スペースに行くと、4人で話していたようだ。

私たちに気が付き、チアキくんが声をかけてくれる。


「2人はどうして2階に?」


ユアさんを見ると、彼女は私が答えますと言うような表情だった。


「ヒマリさんがテストに向けて復習したいと言っていたので、テキストを取りに書庫に行きますの」


「なるほど。ヒマリは勉強熱心だね。

ーー僕もせっかくだから、本を借りてもいいかな?」


「もちろんですわ!3人も読みたいものがあったら借りてもいいわよ」


この流れでみんなで書庫に行くことになった。小さな書庫だから、6人も入っても大丈夫なのかなと心配しながら向かった。


ユアさんの足が止まり、書庫の部屋の扉の前に着いた。ドアノブに手をかけて回して開ける。

すると、壁の棚一面が本がびっしりと詰まっていた。棚の高さは2メートルないぐらいで、背伸びして手を伸ばせば一番上の本は取れそうだ。真ん中の空間にはちょっとした読書ができるテーブルと椅子が1つあった。

カテゴリーごとに本も仕分けされていて、しっかりとポップがあるのが、もはや図書室である。

これが小さな書庫なのかとツッコミを入れたくなったが、抑える。


「ヒマリさんの探しているテキストはここだと思いますわ!」


ユアさんはテキストと書かれた棚に案内してくれた。

本のタイトルを見ると、高校1年から3年生までの全教科の教科書がびっしりと並んでいた。


「お父様ったら、タブレットにテキストのデータは入っているのに、何かあった時用でわざわざテキストのデータを紙におこしてこうやって教科書を作ってしまったの。嬉しいけれど、ちょっとやりすぎだと思いませんか?」


わざわざユアさんのためにそこまでやってくれるのはとても良い父親だと思うが、ちょった甘すぎるとは思う。


「でも、その分ユアさんはお父さんから愛されてるって証拠ですよね!とても素敵だと思いますよ!」


ユアさんは私の言葉を聞いて、嬉しそうに笑った。


「そのように言ってもらえて嬉しいわ!お父様のおかげでヒマリさんも復習が出来ますし、結果的には良かったですわ!


そういえば、ヒマリさんはどの教科を復習されますか?」


私は数学と歴史が苦手である。この前チアキくんに簡単な歴史は教えてもらい、何とか赤点を脱却したが、まだあまり覚えきれていないので、その2教科の教科書を借りよう。


「数学と歴史でお願いします!」


「わかりましたわ!」


棚の中から1年生の数学と歴史の教科書を取り出してくれた。


「どうぞ」


「ありがとうございます!」


彼女から教科書を受け取り、自分の部屋に戻ろうと歩き出す。

すると、シュウヤくんに話しかけられた。


「ヒマリ。よかったら、わからないところを教えようか?」


学年1の秀才であるシュウヤくんに勉強を教えてもらえるなんて凄く良い機会である。せっかくならと思い、提案を受ける。


「ぜひお願いします!!」


「わかった。

読みたい本を選ぶから、少し待っててくれ」


ただぼんやり待つのも勿体ないので、近くの棚に置いてある本のタイトルを眺める。


『ヴァンパイアの世界』 『ヴァンパイアと人間』 『ヴァンパイアと人間 2』『ウィザード』 


凄く気になるタイトルだが、あとでまたタイミングが合ったら借りよう。


「待たせた。談話スペースで勉強をしよう」


そう言われて、2人で談話スペースに向かった。

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