表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/69

第44話 夏休み(気持ちの確認)パート5

いつも読んでいただきありがとうございます!!

投稿時間遅れてすみません!

楽しんで読んでくださると嬉しいです!




4人で集まってから早1週間が経ち、夏休みは後半戦を迎えようとしていた。

今は私は最寄駅前のファミレスにやってきている。お盆中であるからか、普段よりも人で賑わっていた。

メニュー表を開き、何を食べようかと思いつつ、来週には別荘にいかないといけないのに、私の心はまだ定まっておらず、焦る気持ちで食べたいものが思い浮かばない。

目の前に座る凛ちゃんに呼び出されて、ここに来ている。

なぜ呼び出されたのかというと、それは1週間前のことだった。




4人で遊んだ帰り道、ゆっくりと歩きながらふとしたタイミングで凛ちゃんから質問された。


「あのさ、ヒマリの友達の恋愛相談の話あったじゃん?

ーーあれって、ヒマリ自身の話じゃないの?」


不意に突かれたで質問で、私は思わず変な声が出そうになるが抑える。


「そんなこと、ないよ!!友達の話って言ったよ」


「うーん。友達の相談事にしては真剣に答えを聞いてたし、それにこっちに帰ってきてから、相談したいことがあるって連絡してくれたじゃない?

もしかしてこれかなって、話を聞いててちょっと思ったんだよね」


さすが私のベストフレンドである。やっぱり彼女には隠し事は出来ない。

ここは正直に話しても良いと思い、嘘だと認めよう。


「さすがは凛ちゃんだね!その通りだよ。

私の話を友達の話って言って、みんなに相談させてもらったんだ。自分の話っていうには全然現実味がなくて、客観視して話したら何か良い案が見つかるかなって思ったけど、まだ腑に落ちる答えはなかったな」


すると凛ちゃんは歩みを止めて、私の方を向く。


「それはそうだよ。ひまりはこの問題と全然向き合ってないもの」


彼女の口から予想外の言葉が出てきて、私は動揺する。


「ーーえ?どういうこと?」


「そのまんまの意味だよ。彼らのことをしっかり考えないとダメだよ。


ーーというわけで来週の金曜日にそこの駅前のファミレスで、ひまりの考えを聞きたいと思います!」


いきなりの提案に私は間抜けな声をあげる。


「え!?」


「たしか、来週の金曜日も空いてる日だったよね?

そもそもひまりとは2人でも話したかったし、この問題はひまりだけの問題じゃないから、私も私なりに考えてみるよ」


いきなりの展開に私の頭はまだ混乱をしている。


「ーーそういうことなので、来週までに考えてくるように!!」


そう言われて今に至る。

普段とは違う少し緊張感がある面接官のようなテンションでいる凛ちゃんとはなんだか目を合わせずらい。


とりあえずいつも食べるものを頼み、ドリンクバーを取ってきてから、凛ちゃんは口を開く。


「早速だけど、ひまりの考えを聞きたいな」


私なりに準備してきた答えを話してみる。


「凛ちゃんに指摘されて、私もハッとしたの。

確かに、彼らに告白されたことの実感が出来ていなかったり、彼らの言葉や気持ちを素直に受け取ることが出来ていなかったと思った。


でも、やっぱり私はまだ2人のこと好きという感情にまでいたってはいないと思った。

理由としては、私が恋をしたことがないのが原因だと思う。

推しを好きになる感情とは似て非なるものだと思うし、現実で接する人と恋愛関係になる想像が上手く出来なくて私にはわからない。

ごめん、全然上手くまとめられてないけど、これが今の私の考え」


凛ちゃんは真剣な顔で頷きながら話を聞いていた。


「なるほど。ひまりはまだ恋愛感情がわからないから、彼らの告白に対してどう対応していいかわからないってことだよね?」


凛ちゃんはまとめ上手だ。その通りである。私はその問いかけに深く頷く。


「そしたら、彼らに素直にそれを伝えるべきだと思う」


「え、何で?」


「そこで変に自分をよく見せようとするとさ、失敗するじゃない?

偽った姿や無理なことして付き合い始めるのって凄く疲れるし、大変なことだと思うの。

ひまりは素直で正直者だからこそ、自分の感情をありのまま伝えるのが良い気がする」


「なるほど」


私は凛ちゃんに言われた言葉を理解しようと自分の中に落とし込む。

あの学校に入学してから、私は自分をよく見せようと頑張って空回りしていたと思う。もちろん、それで上手くいったこともあったけど、それは運が良かっただけで、彼らを傷つけたり心配させたりもしている。

凛ちゃんに言われた通り、素直に自分の今の気持ちを伝えるのが、彼らの真剣な言葉に対する誠意のある答え方だと思えた。


「凛ちゃんありがとう!!私は彼らに変な期待をさせるような答えをしようとしちゃってた。だけど、それは彼らにも失礼だし、私にとっても良いことではないと気が付けたよ。

ありがとう」


感謝を述べると、彼女は照れているのか口角が上がっていた。


「いえいえ!親友が困っていたんだから、真剣に考えるのは当然のことだし、初めて恋愛相談に乗れて嬉しかった!!」


すると、頼んでいた料理が運ばれてきて、食事を楽しむ。


「2人にはいつ会うの?」


「夏休みの終わりに友達の別荘で会うことになってる。泊まりで」


彼女は泊まりという言葉を独り言のように呟き、目を見開く。


「詳しく」


「友達数人とその別荘で2泊3日泊まるんだよ。何をやるかはまだ分からないんだけど、各々やりたいことも考えてこないと……。

あ、それ私はまだ考えてなかったや」


「なるほどね。それで彼らは距離を縮めようと頑張りそうだね!

そのやりたいことって何でもいいの?」


「うん、そうだよ」


「恋愛関係で面白いのはラブジェンガとか王様ゲームだけど、ひまりにはハードル高いよね」


「なるほど、それは他者から見たらめっちゃ楽しいけど、参加者としてはかなり恥ずかしいやつだよね。でも、面白いそう。

せっかくだから王様ゲームは候補として入れておく!」


「おお!絶対盛り上がると思う!他にはボードゲームとか?」


「それ私も思った!でも、肝心のボドゲ持ってなくてさ、わざわざ買うのもなって思ってて……」


話の途中で、凛ちゃんは閃いたというようにスマホをいきなり触り、何か文章を打っているようだ。


「凛ちゃん?」


彼女に呼びかけると、「ちょっと待って」と言われて待つ。彼女は文字を打ち終わると、「ごめん、ごめん」と軽く謝りながら、説明する。


「千夏がさ、確かボドゲ何個か持ってるって言ってたことを思い出してさ、3人のグルチャに持ってないかなって質問してみたの!急に黙ってごめんね」


「ううん!むしろ、わざわざ聞いてくれてありがとね!」


すると、凛ちゃんのスマホから通知音が鳴り、彼女は画面に映された文字を読む。


「さゆりは持ってないみたいだけど、やっぱり千夏は持ってるって!貸してもらう?」


「返すのが冬休みになっても大丈夫なら借りたいかな!」


「おっけー!聞いてみる!」


彼女はまたスマホとにらめっこし、文字を打つ。


「大丈夫だって!」


「ホントに!?めっちゃありがたい」


「いつ受け取る?」


「今日がいいけど、無理だよね?」


「聞いてみるよ」


またしてもすぐに返信が来たようだ。


「今は難しいけど、夕方なら行けるって!」


「じゃあ、千夏ちゃんの最寄駅まで行くから受け取りたいって私が伝えるよ」


私も千夏ちゃんと交換しているので、このまま凛ちゃんに連絡を取ってもらうのは申し訳なくなってきたのでそう伝える。


「了解!」



ひまり:今日は何時頃に千夏ちゃんの最寄り駅に行けばいいですか?


ちなつ:私の最寄り駅まで来て貰うのは申し訳ないから、私たちの中間地点の駅で会おう!

時間は17時がいいかな!


ひまり:了解です!

中間地点ってどこの辺り?


ちなつ:この駅ならどう?


画像添付



画像を確認して、その駅で良いことを伝える。



ひまり:了解!そこの駅に着いたらまた連絡ください!


ちなつ:了解です!



ここでチャットは終わる。


「17時に千夏ちゃんと会うことになったよ!」


「よかったね!あ、私も暇だから着いていくよ」


「え!?いいの?」


「もちろん!!」


「ありがとう!」


そこからまた色々な話をしていたら、あっという間に集合時間付近になり、慌ててファミレスを出て電車に乗り、集合場所にやってきた。

改札口付近で待っていると、千夏ちゃんがやってきた。


「ごめん!お待たせしました!

あれ?凛ちゃんも一緒だったんだね!」


「そうそう!今日はずっと一緒なの」


「だからすぐに返信が来たわけね!納得!

ーーあ、これ、オススメのボドゲ!」


紙袋に入っていたボドゲのタイトルを見ると、『愛してると君に伝えるために言葉を考えるよ』というボードゲームのようだ。友達同士で遊んだら面白そうだが、告白してきた人と遊ぶゲームではなさそうだ。だが、これを受け取りに来たのだから受け取るしかない。


「面白そうでしょ!?」


私は気まずいながらも笑顔を作り、頷く。


「でしょ?これSNSでも話題になってたゲームでね、実際プレイしてみたんだけど、凄く面白かったから、今度4人でもやりたいね!」


「そうだね!」 「うん!」


「ーーそれじゃあ、私もう帰らなきゃだから、またね!」


千夏ちゃんに手を振り、彼女は颯爽と人混みに紛れ込んでいった。


「私たちはどうする?」


「まず、このゲームやってみない?」


「いいね!じゃあ、カラオケ行こ!」


私たちは最寄りのカラオケを探さして、早速向かった。幸い空いていたから、すぐに部屋に入れた。

そして、貸してもらったボードゲームをプレイする。

これは3人〜6人推奨のゲームのようで、2人だと微妙そうだがとりあえず、プレイしてみる。


時計を見ると、もう既に30分は遊んでおり、2人でも楽しめた。だがこれは、ネタに走るかマジで考えて披露するかで結構プレイスタイルが分かれそうだなと思った。王様ゲームよりはマシな気がするので、持っていくことにする。


「これ面白かったね!」


凛ちゃんは笑顔でそう言った。私も面白かったと伝える。


「面白いけど、告白された人とやるのは大丈夫?」


「大丈夫かわからないけど、ゲームをするぐらいならやれると思う!心配してくれてありがとう!」


「それならよかった!あと20分ぐらいだけど、歌おうか!」


彼女の提案に頷き、曲を入れて2人で数曲歌って、カラオケを出る。


「今日は楽しかったね!」


「うん!」


「ここ最寄駅じゃないから、また電車乗らないと!」


「そうだった!」


電車に数駅揺られながら最寄駅に到着し、最寄駅の自転車置き場で凛ちゃんと分かれて、帰宅する。

自分の部屋に戻り、椅子に座る。


ひまり:今日は本当にありがとう!!

凛ちゃんのおかげでスッキリしたし、彼らとしっかりと向き合えそう!

ありがとう!!


りん:こちらこそ今日はありがとう!

ひまりの役に立ててよかったよ!また遊ぼうね!


ひまり:もちろん!



Goodスタンプを送り、チャットは終わる。

スマホを充電ケーブルに差して、お風呂に入り、リラックスして今夜は眠る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ