第40話 夏休み パート1
今日は家に帰る日である。
約束していた12時に校長室に向かうと、おじさんとチアキくんがいた。軽く挨拶をする。
「ヒマリちゃん、待っていたよ。
チアキがいることは気にしないでくれ」
そう言われると気になるタイプの人間である。
「ーーいやいや、ちょっと気になるじゃないですか!」
するとチアキくんはクスッと笑いながら答えてくれる。
「今月ユアと出かけたいなって思ってさ、次にデートする場所を人間界に出来ないかなって、相談をしていただけだよ」
何だ。その楽しそうな話。
「めっちゃ大事な話だね!人間界に行けるって知ったら、ユアさん凄く喜ぶだろうな!
チアキくん良い案だと思う!!」
彼の案を絶賛すると、彼は柔らかい表情で笑う。
「そうだよね!父さんも良い案だと言ってくれて、許可を得たところだったんだ」
嬉しそうに話すチアキくんを見て、私も口角は上がる。
「これ以上長話すると、ヒマリの時間が遅れてしまうから、俺はそろそろ部屋に戻ります。
またね、ヒマリ」
「うん!」
「ああ。
ヒマリちゃん、お待たせしたね。
荷物は持ったかい?」
「はい!あ、あと、あっちの世界のスマホを返していただきたいです!!」
「あー!そうだったね!
今出すからちょっと待っていて」
立派な机の棚から私のスマホを出して、渡してくれた。
「この世界のスマホを貸してくれるかな?」
何故だろうと不思議に思いながらも、こっちの世界のスマホを渡す。
すると、何か魔法みたいなものを軽くかけて、返された。
「これで、このスマホも人間界に戻っても使えるようにしたよ。
1ヶ月も音信不通だなんて君の友達が心配するだろうからね!」
「確かに!そうですね!!ありがとうございます!!」
「それじゃあ、行ってらっしゃい」
壁にダークホールのような穴が出来る。
「はい!行ってきます」
私はその穴に向かって歩き出す。
通るときはほんの一瞬だが、不思議な気分になる。
目を開くと、我が家の玄関の前だった。
ドアを開き、「ただいま」と言う。
「おかえり!今ちょうどお昼ご飯出来たから、荷物を置いて手洗いうがいしたら、リビングにおいで」
「はーい」
私は自分の部屋に戻り荷物を置いて、一階の洗面所で手洗いうがいをして、リビングに向かう。
ドアを開くと、チャーハンの香りがする。
その香りにつられて、テーブルに置いてあるチャーハンの前に席に着く。
「食べ終わったら、食器水につけておいてね!
お母さんは仕事行ってくるから」
「わかった!」
私はいただきますをしてからスプーンを持ち、チャーハンをすくう。
冷凍食品のチャーハンは美味しい。あっちの世界じゃ冷凍食品が置いていないから、久しぶりに食べる味だ。
あっという間に食べ終わり、食器を水につけて、リビングのエアコンを止めて、部屋に戻る。
自分の部屋の冷房を付け忘れており、部屋は蒸し暑い。リモコンのスイッチを冷房に切り替えて、まだ涼しいリビングに戻る。
ソファーに寝転がり、スマホを見つめる。
気になっていたアニメを見ながら、そういえば凛ちゃんに連絡をするのを忘れていたことを思い出し、アニメを流し見しながら、メッセージを送る。
ひまり:凛ちゃん、久しぶり!
夏休み予定空いてる日に会わない?
すると、凛ちゃんも暇だったのかすぐに返信がくる。
りん:久しぶり!
バイトの無い日なら行けるよ!
あと、ヒマリが良ければなんだけど、千夏とさゆりとまた渋谷で遊ぼうって話になってて、一緒に来ない?
ひまり:凛ちゃんいつのまにバイト始めてたの!?
むしろ、私がその集会に入ってもいいの?
りん:実は夏休みだけ短期バイトしてるんだ!流石にお金足りないからね!
もちろん!!千夏とさゆりも喋りたいって言ってたし!!ウェルカムよ!!
ひまり:そうなんだね!私もバイトしたいけど、学校的にNGそうだから出来ないな。
マジで!?それなら、私も参加したい!!
りん:そうなんだね。学校から許可を得ないと出来ないのめんどいよね。無理にやらなくてもいいと思う!
了解!!2人にも伝えておくね!!
日付は8月9日に渋谷駅で集合になってるよ!この前みたいにまたポップアップストアやっててさ、またヒマリをまた待たせてしまうかもなんだかど、大丈夫かな?
ひまり:ありがとう!日付と場所は了解!
大丈夫だよ!その間はまた適当に見とく!
その後ってこの前のカフェでまたお喋りする感じ?
りん:ありがとう!
そんな感じだよ!時間あったらカラオケも行きたいよねって話になってるよ!
ひまり:了解!
せっかくなら、9日は凛ちゃんと一緒に渋谷行ってもいい?
りん:もちろん!!一緒に行こうって言おうと思ってたよ!!
ひまり:よかった!!じゃあ、最寄り駅に10時25分集合にする?
りん:そうだね!その時間でいいと思う!
ひまり:了解!
りん:来週はよろしくね!
喋り足りなかったら、もう一回会お!
ひまり:こちらこそよろしく!
おっけー!!
早速、夏休みの予定が決まって嬉しい。
前に渋谷で会ったときはそんなに話せなかったので、今回はたくさんお話できるといいなと思いながら、ダラダラ過ごす。
あっという間に、8月9日を迎えてしまう。




