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第35話 2学期のイベント


今日の1、2時限目の授業が終わると1学期の終業式になるのだが、この2時間、全学年の全クラスがLHR(ロングホームルーム)らしい。何の授業をやるのだろうと不思議に思いながら、リュウ先生はいつも通り教壇の前に立っている。


「今日はこの学園のスポーツデイとハロウィンパーティーについて話そうと思う」


その言葉を聞くと、みんなの声が喜んでいるように聞こえる。


「みんなも知っているようにスポーツデイは人間の世界でいう体育祭がモチーフのものであり、9月28日に実施予定だ。そしてハロウィンパーティーはこの学園では文化祭と後夜祭が合わさってハロウィンパーティーと呼んでいる。そのパーティーは10月30日と31日に開催される。

そこでハロウィンパーティーでやるクラスの出し物などもこの夏休み期間で考えておいて欲しい。また、後夜祭の方は仮面舞踏会がイメージのパーティーなので、仮面やパーティー用の服装の準備も事前にしておくように。


スポーツデイに出場するメンバーは今からメンバーを決めてくれ」


リュウ先生は連絡事項が言い終わると、窓側にある先生用のクッション製の椅子に腰をかける。

先生の言っていた情報量が多すぎて、一旦整理したいところだが、そんな時間もなさそうだ。

クラス委員のユアさんは先程校長が立っていた教壇前に移動し、この場を仕切る。


「学級委員であるワタクシが今回のスポーツデイのメンバー決めをしたいと思います。


まず、タブレットをご覧ください。

スポーツデイに関するデータを皆さんに送信しましたので、そちらを確認してください」


タブレットに受信されたデータに目を通す。

スポーツデイで行われる競技は3つ。

借り物競争と騎馬戦、リレーである。あと各クラスの応援合戦もあるそうだ。


クラス全員が出場する競技はなく、運動に自信のある生徒を優先に参加していいようだ。

その分、競技に出場しない生徒は応援団をやって欲しいという訳だ。


しかもクラスが優勝すると、ハロウィンパーティーで好きなことをやっていいという権利を得られるそうで、校長先生が魔法で色々とお手伝いしてくれるそうだ。これはかなり激アツな優勝景品であるので、他のクラスも負けてはいられなさそうだ。

みんなも優勝する気満々なのか、いつもよりやる気で満ち溢れている。


「まずは最初の借り物競争のメンバーを決めたいと思います。

この競技からは3人出場して欲しいようです。


競技内容は50メートルほど走った後にお題の箱から紙を取り、その紙に書いてある内容のモノを持ってきたら、そのモノとゴールに走るというものらしいです」


ユアさんが説明をしてくれる。

これは足の早さというより、運とコミュ力が必要なものだと私は思うので、この競技に出るメンバーはナルミさんやヒナタくん辺りがオススメかなと勝手に考える。


「はい!私この競技出てもいいかな?」


早速ナルミさんが挙手をして立候補する。


「もちろんですわ!ワタクシもナルミさんが適任だと思っていましたわ」


「みんなもいいかな?」


クラスのみんなも異論なしで、ナルミさんに決まる。

ナルミさんの推薦で同じゾンビ族のマオくん、そしてヴァンパイア族からヒナタくんが選抜される。


「次に騎馬戦のメンバーを決めたいと思います。こちらは女子ではなく、男子限定の競技のようです。


4人で1組の騎馬を作り、1番上に乗った人が王様となり、他のチームの頭に着けたハチマキを奪い、その数を競うらしいです。もし、自分の騎馬が崩れたり、王様からハチマキが取られてしまうと失格になります」


この場合、下の騎馬役を獣族の人がやって、王様の人は視野を広く持ちつつ、臨機応変にその場の戦術を考えられる人が適任だ。これはタクトくんかシュウヤくん辺りが王様かな。


「こちらの競技は王様もとても大事ですが、要となる騎馬も大事です。

騎馬役を獣族の男子陣にお任せしたいですわ」


ユアさんの意見に賛成だ。確かに獣族の人が土台をやってくれたら、安定感や力があるので千人力だ。みんなも賛成のようだ。

獣族からはレオくん、ソラくん、ジンくんが選抜される。


「そして王様役ですが、シュウヤはどうですか?」


ユアさんが提案する。


「何で俺なんだ?」


シュウヤくんは自分では適任だとは思っていなさそうだからか、否定的だ。


「それはあなたの視野の広さ、そしてこの学年のトップの頭脳を持っているからだわ。

この競技は王様の指示で、勝敗が決まる。王様はその場の対応だったり、戦術を上手に動かすのが大事だと思うの。

そこであなたならそれが出来ると思って、推薦しますわ」


いつも隣にいるユアさんだからこその信頼が凄く出ているが、確かにその通りだと思う。

みんなもユアさんの意見に納得したのか、シュウヤくんが王様役になる。

シュウヤくんはあまり気乗りしていないが、しっかり役目を果たしてくれそうだ。


ここで1時限目が終わる。


「休憩時間の間にリレーに出たい方は考えておいてください」


ユアさんがそう言い、休憩になる。

暇なので隣の席のイブキくんに話しかける。


「イブキくんって足速いよね?」


「何でそう思うんだ?」


「だって公園で初めて会った時、走ってたよね!

その時に見た走る姿が凄く綺麗だったから、走るの好きなのかなって思った」


「確かに走るのは好きだけど。速いかどうかまでは分からない」


「走るのが好きならリレー出てみたら?」


「いや、俺が出ても勝てるか分からないし」


彼の様子を見る感じ、そこまで出たくなさそうだ。

でも、私はせっかくなら彼に出て欲しいと思いながらも、無理やり出場させるのは良くないと思った。


「そんなことはないと思うけど、まあ無理強いはしないよ」


なんだがモヤモヤした状態で、2時限目がスタートする。


「最後にリレーのメンバー決めですが、まずリレーの説明をしますわね。


ルールはシンプルです。1クラスで4人のチームで、走る距離は100mでトラック半周分です。4人でバトンを繋げて走る競技です。

ただし、最後のアンカーだけはトラックを1周して走るので、とても重要なポジションとなります。

こちらは純粋に走るの好きだったり、足の速さに自信がある方に立候補していただきたいです」


この競技はバトンパスする時が意外と難しくて、仲良い人とやるのがオススメなのだが、これを主張していいのか悩む。本気で優勝するためには言った方がいいことだが。


「ヒマリさん、何か意見があるようならお話ください」


ユアさんは私のことをよく見ていたのか、話を振ってくれた。


「あくまで1つの意見ですが、このリレーで1番大事な所はバトンパスだと思います。

どんなに足が速くても上手にバトンが繋がらなければ時間をロスしてしまいますし、その数秒で勝敗を分けることにとなります。

なので、この競技を走る人はバトンパスの練習を重点的にした方がいいのと。特に3番目と最後に走る人は仲が良い人が走った方がバトンパスが上手にいきそうだと思います」


意見を述べて座り、みんなの反応を見ると、悪くはなさそうだ。


「とても素晴らしい案だと思います。


その視点を持っていなかったわ。

みなさんもヒマリさんの意見に賛成の方は拍手してください」


ユアさんの言葉が終わると拍手が教室中に鳴り響く。みんな私の意見に賛同してくれているようだ。


「ありがとうございます」


私はみんなに礼を言って、拍手は止む。


「3番目と4番目はシュウヤとユイトがいいと思うのですが、どうですか?」


「何で俺が」


イブキくんは野次を飛ばすように言う。


「あなたとても運動の成績良かったわよね?普段からランニングもしているようだし、ピッタリだと思うわ」


ユアさんもイブキくんがランニングしているの知っていたんだと驚く。


「何故それを知っているんだ?」


「シュウヤから聞きました」


イブキくんはシュウヤくんの方を睨む。シュウヤくんはいつもと変わらない表情で、イブキくんを見る。


「シュウヤはどう思いますか?」


「俺はユイトが走ることには賛成だが、連続して俺がリレーにも出場してしまってもいいのだろうか?」


「確かに、シュウヤの言うことも正しいですわ。他にやりたい方はいらっしゃいますか?」


ここで手を挙げられるのは相当な勇者である。すると、珍しくタクトくんが手を挙げる。


「シュウヤの代わりにはなれるかわからないが、俺も走るのは得意なので、出場してもいいかな?」


「もちろんですわ!みなさんもタクトが走ってもいいと思いますか?」


賛成だと声を上げ者や、拍手を送る。

こういう時にヴァンパイア族の絆を感じる。ユアさんを困らせないようにと心がけていたり、タクトくんだけ出場しないのは仲間はずれな感じがしたので、さすがシュウヤくんだ。


「これでリレーのメンバーも決まりましたね!」


隣の席から、不服そうに声を上がる。


「俺はまだ出るとは言ってないぞ!」


「あら?そうでした?

ーーてっきり、ユイトも出場してくれると思っていましたわ?」


ユアさんは笑顔でとぼけていた。

彼もこれに反論するのは男として情けないと思うだろう。私が彼の立場だったら、ユアさんの意図通りに出場してしまう。


「わかった。だが、その代わりに条件を1つのんでくれ。

もしこのクラスが優勝出来たら、ハロウィンパーティーでやりたいことをスポーツデイの競技に参加した者たちに決定権を委ねてほしい」


「もちろんですわ!むしろ、そんなことでよろしいの?」


「ああ。その方が出場するメンバーも少しはやる気になるだろう?」


「確かに、それなら私からはスポーツデイの日に差し入れをしますわ!

みなさん、何がいいですか?」


差し入れといえば、スポーツドリンクのイメージだ。

気になる人にスポドリを差し入れして、好感度を上げるやつだ。

だが、ここでのスポドリと発言するのは違うので、純粋に暑い日に食べたいものといえば、アイスだが、アイスをお昼頃に食べるのは難しいだろう。


色々な意見が飛び交っている。

甘いものだったり、しょっぱいものだったり、それぞれ食べたい物は違う。


「分かりましたわ。ここは平等にじゃんけんでワタクシに勝った人が決めてください」


突然じゃんけん大会が始まる。


「最初はグー、じゃんけんポン」


最後に勝ったのはイブキくんだった。

すると、イブキくんは私に「何がいい?」と小声で聞いてきた。

何にも決めてなかったのかと少し呆れながら、アイスが食べたいと伝える。


「アイスがいいです」


「アイスですか?

いいですね!アイスなら、スポーツデイが終わってからの方がいいですね!その時に持ってきてもらうように言いますわ!


ここで話し合いは終わりにしますが、他に決めるべきことや話したいことがある方はいらっしゃいますか?」


ユアさんはみんなの様子を見て、頷きながら、話し合いは終了した。

リュウ先生は立ち上がり、教壇に戻る。


「この後は終業式だ。休憩時間が終わった後直ちに整列するように」




今回のLHRが終わり、終業式もあっという間に終わり、夏休みが始まる。


「夏休みは羽目を外しすぎないように。

これで一学期は終了となる。ありがとうございました」


リュウ先生は一礼をし、教室を出て行く。

一気に教室はザワザワしだし、みんな夏休みに思いを馳せている。

そんな楽しい雰囲気に包まれつつ、補習を忘れずに受けて、私も楽しい夏休みを過ごすんだと心に誓う。

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