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第3話 学校の授業

ベッドの隣のサイドテーブルに置いてあるスマホを見ると、6時。

アラームを7時にかけていたので、予定よりも1時間も早く目が覚めてしまった。

HRが始まるのが8時30分なので、最低でも8時25分には教室にいればいいが、目覚めがよかったので2度寝する気もせず早めに支度し、朝ご飯を食べに食堂へ向かう。


食堂に着くと、朝から人で賑わっていた。まだ6時台だというのに意外と早起きな人もいるんだなと思いつつ、壁に貼ってあったメニュー表を見る。

朝食メニューはシンプルに目玉焼きやウインナー、ベーコンにスクランブルエッグなどTHE朝食のようなメニューが書いてあった。


私はおにぎりとサラダを食べることにした。

ささっとご飯を済ませて部屋に戻り、歯磨きや身支度をゆっくりと整えて、8時前に登校する。


教室に入ると、教室にいた人たちが私に注目する。

私はその視線を気にしないよう、席に着いた。

すると、昨日も話しかけてくれた近くの席のゾンビ族のナルミさんが声をかけてくる。


「おはよう。昨日はなんで早く帰っちゃったの?」


不思議そうに聞いてきた。


(いきなり知らない学校に来て困惑していたなんて言えない。人間だとバレしたくないのもあるけれど)


ここは帰ってしまったことを素直に謝罪する。


「ごめんなさい。

昨日は緊張して疲れてしまって早く帰りたかったの」


彼女は先程の柔らかい表情は変わらず、特に怒ってもなさそうだった。


「あ!そうだったんだね!それならそうと言ってくれればよかったのに!

ーー実はね、昨日の夜にクラスの親睦会をやろうってお昼頃決めてそれで声をかけたんだけど、みんなそれぞれの種族ごとにやるらしくて、結局クラスの方は出来なかったんだよね。


今日の夜にクラスの親睦会が出来たらいいなって思ってて、みんなに呼びかけているんだけど来ない?

場所は学校の近くのレストランでやる予定なの!レストランって言っても、私のおじさんが経営しているお店で、貸切でパーティーして良いって許可貰ったんだけど、どうかな?」


こういう親睦会などに参加することは苦手である。だが、この手の誘いを断るのも気まずくて苦手だ。

ボロが出そうで本当は行きたくないが、学校の外はどうなっているのか気になる気持ちもあり、一旦考える時間が欲しいことを伝える。


「おっけー!強制参加じゃないし、もし行きたくなったら連絡して!

あ、連絡先交換してないからしよ〜!」


そう言って彼女は手元にあったスマートフォンで即座にQRコードを出してくれる。やり慣れていている。私はとりあえず読み込む。

するとすぐにチャットにメッセージをくれる。



ナルミ:交換ありがと〜!これからよろしくね〜!



その後、クラスのグループチャットの招待もしてくれた。


グループチャットの人数を見ると、私以外の全員は既に招待されていたようだ。隣の席のイブキくんがグループチャットに入っているのが少し意外だった。そういうの私と同じで苦手だと思っていたのに。人は見た目で判断してはいけないな。


グループチャットのメンバーを見るとそれぞれの種族や名前が入っているので、昨日やった自己紹介だけでは覚えられなかった人の確認も出来て便利だなと思いながら目を通していたら、あっという間にHRが始まる。


HRが始まると早々に各自にタブレットが配布された。これが教科書やノートの代わりになるそうだ。

時間割や学校年間予定表なども確認出来たりもするので、学校に持ってくることや充電は忘れないように心がけよう。


HRが終わり、早速時間割を見ると人間学という授業が目に入った。唯一毎日1時間ある授業のようだ。残りは普通の学校のように、国語、数学、歴史、科学、音楽、美術、体育等ある。


まず1時限目が人間学なので、教室で待っていると、この授業の先生がこの校長でもあるショウおじさんだった。


「はじめまして、この授業を担当します。

ショウ、ナカタです。みんなも知ってると思うけど、僕はこの学校の校長をしています。


学校の中で唯一人間界で過ごした経験があるので、この授業を通してみんなの知りたい人間についてじっくり教えていけたらいいなと思っています。

よろしくお願いします」


おじさんは丁寧な挨拶をした。

そして早速、先生は生徒たちに問う。


「まず、みんなは人間のことをどう思ってるかな?


思っていることを手元にあるタブレットに書いてみて欲しい」


私は人間として生きてきたので、特別何かある訳でもないので難しい質問だった。


とりあえず一言書けば良さそうなので、真っ先に頭に浮かんだ、人間関係が大変と書いて送信する。


おじさんはタブレットに送られてきたみんなの回答を見ながら、興味深そうに頷いた。どんな意見があるのだろうと私も少し興味があるので、知りたいと思った。


「1番多い意見は憧れや楽しそうというイメージだね。何故そう思ったのかな?

それじゃあ、ヒナさんどうかな?」


おじさんはそう答えた生徒の1人に問いかける。


「私のイメージだと、私たちぐらいの子はオシャレな場所とか食べ物を食べていて楽しそうに見えるからです。こっちでも最近では見た目が凝ったものも増えてきましたが、やはり人間界の方が素敵なものが多いと感じます」


「なるほど。次にタクトくんはどうかな」


「僕はこのタブレットやスマートフォンの技術が素晴らしいと思います。

人間界では普通に使われているらしいのですが、僕達の世界ではここ以外では使えないですし、最新の情報だったり、便利な機能だったり、モノを生み出す技術があるのは凄いことだなと思っています」


ここで新事実。この学校以外じゃ、スマホは使えないんだ。


「それでは一方、大変そうと答えた生徒もいます。ヒマリくんはどうかな?」


え?いきなり名指しされて焦る。

先程もいなかったが、ただなんとなく答えただけだから、理由は無い。


「何故大変そうだと思ったのかな?」


おじさんは再び私に質問をした。

とりあえずその場で考えながら話す。


「えーっと、それは、人間は楽しいことや技術の発展でたくさんの情報を得やすくなったおかげで良いこともありつつ、便利な分、全ての情報を鵜呑みにせず取捨選択しないと、生きるのが大変になるからです」


実体験を混じえながら意見を述べる。


「まるで体験してきたような熟考された答えだ。想像力が素晴らしい。

確かに、このように憧れや楽しそうという明るいイメージを抱いていてしまうのは当然のことであると思う。だが、そこにあるはずの苦労や大変さについては見逃しがちだと思う。

あえて、その部分にフォーカスを当てるのは良い視点を持っているね」


「ありがとうございます」


謎に褒められて目立ってしまった。

その後もおじさんは人間界の初歩的な質問を問いかけてはみんなの回答を見て意見を聞くというスタイルの授業で答えるのは恥ずかしいが、みんな真面目に聞いてくれるし、おじさんの返答が上手すぎて、素晴らしい授業だった。


授業が終わり、疲れて気を抜いていると、斜め前の席に座るナルミさんがまた声をかけてきた。


「さっきの授業の意見凄かったね!

私だったらあんな風に考えられなかったよ!

ねえ、そうだよね?」


隣の席のゾンビ族のマオくんにナルミさんは聞く。


「そうだな!俺もその考えは出なかった。

先生にも褒められてたし、どこでその知識を得たのか教えて欲しいよ」


純粋に人から褒めて貰える事なんてないので、受け入れていいのか戸惑いながらも嬉しかった。


すると隣の席のイブキくんが独り言のように呟く。


「俺だって……」


この言葉の意味はよく分からないが、彼は私が褒められたのが羨ましいということにしておく。



3、4時間目は体育の授業で、体力テストをやるそうだ。これは人間とわかってしまうのではヒヤヒヤしながら、ジャージに着替える。


体育館に向かい、女子と男子に分かれてそれぞれの競技を行う。

体力テストの紙がみんなに配られた。それぞれの項目に人間の平均の回数が書かれていた。


まず女子は上体起こしから始めるようだ。

私は出席番号で、族のさんと組むようだ。

体育の先生も見本を見せてくれたが、みんな知ってるのでは?と思いつつ眺める。


先生が終わるとみんな拍手をしていた。礼儀正しいなと思いつつ、私も周りにつられて拍手する。


そしてペアごとに分かれて計測していく。私とペアを組むのはナルミさんのようだ。


私が先に上体起こしをやる。

30秒間上体起こしをする。これ地味にキツイんだよなと思いつつ一生懸命やる。


結果は21回。まあまあ出来たかなと思い、記入する。

次にナルミさんは26回やっていて、早いなと思った。


次は反復横跳びをやるようだ。私はこれは苦手な競技である。


先程と同じように先生がお手本を見せてから生徒がやるようだ。


まず私が反復横跳びをする。

みんなは俊敏な動きを見せるが、私はリズム感がないので、みんなより1回分遅れながら左右にステップを踏む。


そして、その後も色々な競技をやり、終わる。

やっぱり人間と違うからか、みんな体力や俊敏さがあるようだ。


人間平均を取った私はやはり人間なんだと実感する。


5、6時間目は国語と数学で、なんか普通の学校っぽい感じだった。国語は知らない話が結構載っていたのでとても新鮮だった。

数学はあっちと変わらず方程式を覚えるようで、やっぱり苦手である。


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