第27話 ユア、チアキはデートする!!その2
いつも読んでいただき、ありがとうございます!!
私事なのですが、3月から新しい職場で働くため、残り数話で一度停止させていただきます。
落ち着いてから再び書き始める予定ではいるので、これからも応援よろしくお願いします。
ーーそれでは物語を楽しみください!!
気分転換をするためにスマホを開き、チアキくんの位置を確認する。
表示されているマークを見ると、私とチアキくんがとても近くにいることが分かった。
位置的におそらくあのワゴンに並んでいるのではないかと推測する。
早く2人にはその場から離れてもらうように、私とイブキくんとシュウヤくんの3人が入っているグループチャットに文字を打つ。
送信する前にトイレから出て、様子を見ることにする。離れたところからワゴンの方を見ると、シュウヤくんとイブキくんはユアさんに見つかっていた。一足遅かったようだ。
諦めて戻ると、ユアさんは私を見て目を輝かせる。
「あら?ヒマリさん?
いつもと雰囲気が違っていいですわね!」
彼女は会った瞬間、早速褒めてくれる。なんて良い人なんだ。
「いやいや、ユアさんこそ!今日のワインレッドのワンピース、とてもお似合いです!」
普段放課後でしか会わないので制服姿を見慣れているが、私服を見るのは校外学習以来だが、やはりお嬢様みたいに常に上品さが出る綺麗めな服を着ているのだな。
「そう言って貰えて嬉しいわ。
ーーそれで、何故あなた方がここにいらっしゃるのかしら?」
先程の笑顔から疑問に満ちた目と妖しく笑いながら、私たちを見つめる。
何て言い訳しようかと考えていると、食べ物を買い終わったのか、チアキくんが席に戻ってくる。
「ごめん、ユア。
僕だけじゃ心細いから3人には付いてきて貰ったんだ。
黙っていてごめん」
ユアさんにチアキくんは頭を下げる。
彼女は彼に頭を上げるように言った。彼女はあまり怒ってはいなさそうだ。
「なるほど。分かりましたわ。
ーー3人はまだお時間あるかしら?」
「はい。まだ大丈夫ですよ」
本来は見つからない予定だったので、時間は全然問題はない。
「それじゃあ、ワタクシ達が食べ終わるまで少々待ってくださらない?」
「分かりました!」
隣の席の2人が食べ終わるのを待つ。
こちらのテーブルは無言の中、私は速攻の謝罪をキメる。
「2人ともさっきはごめん。言い過ぎちゃった」
「ごめん。ヒマリ、僕も言い過ぎたよ」
「俺もすまなかった」
みんなで一斉に謝っていておかしいなと思い、笑いが込み上げる。
2人も私の笑いにつられて笑う。
「このあと何をするんだろうね?」
「もう俺たち変装しなくてよくないか?」
イブキくんはヘッドホンが邪魔なのか外そうとする。
「えー?せっかく遊園地に来てるし、いつもと違う感じが新鮮でいいと思うけど」
「そうか?じゃあ、まだ付けておく」
「シュウヤくんも普段帽子被らないからさ、凄く新鮮だけど、やっぱり顔が良いと髪の毛をしまっていてもカッコイイね」
「ありがとう。ヒマリはいつも褒めてくれるな」
「本当のことを言っただけだよ!
さっきもアイス買いに列に並んでたら、後ろの女の子たちが2人のことイケメンだって騒いでいたし、周りの席の人も2人のことをジロジロ見ていて、ゆっくり食べられなかったんだから」
私は2人に少しクレームを言うようなテンションで話す。
「気づかなかった」
「俺も全く気づかなかった」
「2人とも気付かないなんて鈍感だな!」
あれだけ女の子の視線を集めていたことに気付かないなんて凄いな。2人は鈍感という言葉に納得していなさそうなので、話を変える。
「あ、そういえば、2人にそのままアイス渡してたけど、食べてくれたんだね!無駄にならなくてよかった!ありがとう」
感謝を述べると、隣の席にいた2人がご飯を食べ終えたようで、ユアさんはどこに行くか教えてくれない。「着いてきて」とだけ言われて、彼女たちの後を追う。
ユアさんに案内されたのはジェットコースターの前だった。
「まだ食べ終えたばかりだけど、大丈夫?」
チアキくんはユアちゃんを心配する。
「全く問題ないですわ!ワタクシは三半規管強いので、みんなで乗りましょう!」
みんなで乗る気満々だ。これを断るのは至難の業だろう。
「ユア、流石に食べ終わった直後に乗る乗り物じゃないだろう」
シュウヤくんは正論を言う。
「ワタクシ、このローラーコースターを朝に見かけてからずっと乗りたかったの。ダメかしら?」
みんなに上目遣いでお願いする。これはチアキくんやシュウヤにもクリティカルヒットするか。
私の心はユアちゃんが可愛いすぎると白旗を振っている。
「わかった」
「やりましたわ!でも、5人だから1人余ってしまいますわね!
こういう時は、グッとパーですわね?ヒマリさん?」
ユアさんはキラキラと輝いた笑顔でこちらを見る。
「そうですね!でも、グッとパーだけじゃ分かられないので、ここはチョキも入れましょう。普通にジャンケンポンの掛け声で3つの内どれかを出してください。それではいきます。ジャンケンポン」
私はチアキくんと隣になり、ユアさんはシュウヤくんと、イブキくんは1人で乗ることに。
本来あるべき形ではない気がするが、じゃんけんの結果はしょうがないということで、ジェットコースターに乗るために並ぶ。
チアキくんは少しビビっているのか、少し顔色が悪そうだ。
「チアキくん大丈夫だよ!ジェットコースターは叫んでなんぼだから!」
とりあえず、励ましてみる。
「いやいや、だとしても男で叫ぶのは少しダサくない?そう思わない?シュウヤ、ユイト」
後ろにいる2人に話しかける。
「まあ」 「そうだな」
2人も怖がっているのか、いつもの元気がない。
「そういうものですの?ワタクシはみんなで楽しめればいいですわよ」
「私もユアさんの意見に賛成です!」
「2人は強いな。僕も負けていられない」
チアキくんはそう意気込んでいたが、いざジェットコースターを目の前にすると、彼はどんどん顔色が悪くなっていて心配だった。
「チアキくん大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも」
「どうすればいい?」
「降りたい」
「無理だよ!もうシートベルトしちゃっているから、逃げられないよ」
チアキくんは大きなため息を吐き、ジェットコースターは動き出す。
カタカタという音が私たちの心拍数と高さをどんどん上げていき、その景色は綺麗だった。
私とユアさんは楽しそうにしているが、男子たちは怖がっているのか、誰も楽しそうな声をあげない。
「落ちるよ!!」
私が合図するとコースターは一気に加速し、上下左右に揺れる。暴走機関車のように激しいスピードで動き続け、2分後、あっという間ジェットコースターは動きを止める。
「楽しかったですわね!」
「はい!めっちゃ楽しかったです!」
「ごめん、ベンチで休んできてもいいかな?」
チアキくんは音を上げて、フラフラしながら近くのベンチに向かう。
「俺も」 「僕も」
チアキくんの後を2人も追う。
「男というのに情けないですわね」
ユアさんは呆れている。私はもう1度コースターに乗りたいと思い、ユアさんに提案する。
「私たちはもう一度乗ってきません?」
「いいんですか!?」
彼女は目を輝かせる。
「もちろん!また並びましょう!」
そういって、私たちはまたジェットコースターの列に並び、ユアちゃんとジェットコースターを乗り終えた。
「あ〜楽しかった!」
「楽しかったですわね!」
ベンチで休んでいた3人のところに戻ると、先程より顔色がよくなっていた。
「よくあんなのに2回も乗れるな」
シュウヤくんは信じられないものを見るように話す。
「あら、楽しいからに決まっているからでしょう?ねえ?ヒマリさん!」
「はい!楽しすぎて何回も乗れます!」
「ヒマリもユアも凄いね」
チアキくんも感心しているようだ。
時計を見ると、17時。まだまだ夕日はギラギラと輝いている。
「あと、1つ乗ってから帰りますか!」
そういって、今度は私がみんなを案内する。
みんなの目の前には、大きな回る車輪という名の観覧車が現れる。
夕方なので、観覧車が1つずつ別々の色のライトで点灯されていて、カラフルで綺麗だった。
「デートの最後といえば、観覧車。
チアキくんとユアさんにはこちらの観覧車の中でツーショット写真を撮ってきてください!」
「ええ?」
2人は困惑する。
「元々このために来ていたんでしょう?
今日2人の写真は撮りましたか?」
「そういえば、まだ撮っていない」
「それならここで撮るのがいいでしょう!夕日も綺麗に照らしてくれていて、映えてます!」
「確かに。ユア、行こうか」
チアキくんはさりげなくユアさんの手を握り、観覧車へ乗り込む。まるでお姫様と王子様みたいだ。
エスコートがお上手なこと。
「ヒマリは乗らなくていいのか?」
イブキくんが気を遣って聞いてくれた。
「まあ乗りたいけど、2人の雰囲気を邪魔するのもな〜って思うと乗れないというか」
「要は乗りたいってことだな?」
すると私の手を引いて、イブキくんとシュウヤくんが観覧車に連れて行ってくれる。
観覧車の中に乗り込む時も、レディーファーストで、私を優先的に乗らせてくれた。
「外で見てると大きく見えたけど、意外と中に入ると狭いな」
イブキくんはそう言って景色を眺める。
「そうなんだよ!だからカップルに人気なの!景色が綺麗だし、この距離感で好きな人同士で座ってたらドキドキするし、ずっとこのままでいたいなとか、時間が止まらないかなって思っちゃうの、めっちゃキュンキュンしない?」
少し興奮して、早口で話してしまう。
「キュンキュンとは?」
シュウヤくんが尋ねてくる。
話す相手を間違えてしまった。ここにはこの気持ちに共感してくれる者はいなかった。
「心がときめくってことだよ」
「ユアさんとチアキくんもそうなっているといいんだけど」
そう願って上を見る。
少し無言になる。3人もいるのに無言とは気まずい。
「2人は今日の遊園地どうだった?」
話すことが思い浮かばないのでとりあえず話を振る。
「正直少し疲れたけど、なんだかんだ楽しかったな」
こういう所が苦手そうなイメージがあったので、イブキくんが楽しんでくれていて嬉しい。
「俺もだ。あまりこういう施設には訪れたことはなかったのだが、意外と自分が楽しめることに気が付いたよ。ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ2人を連れ回しちゃってごめんね!楽しんで貰えたのならよかった!
ーーせっかくだし、観覧車の中で写真でも撮る?」
「いいね」 「もちろんだ」
観覧車はもう間もなく、1番上まで到達する。写真を撮るには良いタイミングだ。
私はどこで写真撮ろうかと悩む。
シュウヤくんが手を挙げて提案する。
「俺たちの間に入って撮るしかないな」
「そうだな」
「いや、そこより狭くなるよね?」
「大丈夫だ」
「俺も問題ない」
「いやいや、私が問題あります」
「何の問題だ?」
「流石に近すぎるというか、恥ずかしいというか」
「今までの行動とのギャップが凄いな。ここまで来たら座ろう?」
「そうだ。安心してくれ」
2人にそう言われて私は折れて、2人の間に挟まれる。
思った通り狭いし、どうしても密着してしまう距離でドキドキする。私の鼓動は早くなる。
私は腕を伸ばすが画角に2人が入らない。
「シュウヤくん写真撮るのお願い出来る?」
「わかった」
腕の長いシュウヤくんに頼むとみんな入る画角で写真が撮れそうだ。
「それじゃあ、撮るぞ?3、2、1」
カシャ カシャ
写真が撮り終わり、急いで2人の間から出ようとするが、足元が不安定で転びそうになる。2人が私の腕を掴んでくれて転ばずに済んだ。
「ごめん、ありがとう」
「ホントにそそっかしいな」
「気を付けてくれ」
「はい」
こうしてドキドキな観覧車は終了する。
先に降りていた2人の元へ行く。
「チアキくん写真撮れた??」
「もちろん」
そういってスマホの画面を見せてくれる。
「おお!めっちゃ映りよく撮れてるね!!夕日の感じでよくて映えてるよ」
「ありがとう」
時計を見ると18時手前になっている。
「そろそろ帰ろうか?」
チアキくんがそういうとみんな頷き、退園する。
チアキくんが人気のない壁を見つけ、唱える。
「元の世界へ戻れ」
そういうと一瞬でみんなで校長室に戻ってきた。
「おかえり」
おじさんが出迎えてくれる。
「ただいま帰りました」
「どうだったかい?デートは?」
「はい。非常に楽しめました」
「ヒマリちゃんも楽しかったかい?」
「はい!もちろんです!本当にありがとうございます!」
「いやいや、こちらこそ提案してくれてありがとう」
「ユアさんも楽しめたかな?」
「もちろんですわ。人間界に行く機会を与えていただき、本当に感謝いたします」
「いえいえ。また人間界に行きたくなったら言ってね」
「はい」
そこで解散となる。
まだ19時前なので、寮に戻ってからご飯食べてこよう。
チアキくんはユアさんを学園の外に停めてある車まで送り、私はまたイブキくんとシュウヤの間に入って歩く。
空を見上げると星が輝いていて、綺麗だった。
「ヒマリ?」
「空を見てよ、凄く綺麗だよ」
2人も私と同じように顔を上げる。
「本当だ」 「綺麗だな」
「今日本当に楽しかった!!
今度はヒナタくんとタクトくんも呼んで6人でも行きたいね」
「そうだな」 「ああ」
高揚した気分で歩くとあっという間に女子寮前に着く。
「今日はありがとね!!またね」
「またな」 「ああ」
そういって私は2人に手を振り、女子寮に帰る。
部屋に戻ると、先程遊園地で撮った写真を見返す。
観覧車でのスリーショットはやっぱり距離感が近すぎて心臓に悪い。プリクラの写真の時もそうだが、2人の距離感が異常に近くて困る。
他の写真はメリーゴーランドのユアさんとチアキくんの写真や私の水を買ってくるのをベンチで待っているイブキくんとシュウヤくんの写真など、盗み撮りした写真だった。
ユアさんとチアキくんの写真はおじさんに送っておこう。
私が見守りしていた証拠にもなるし、とてもよく撮れているので、おじさんに共有しておく。
今日も夢みたいな時間だったな。目を瞑り、振り返ってみても思わず楽しくてニヤニヤしてしまう。
また楽しいことが出来るように頑張ろうと心に誓う。




