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帝の探偵  作者: 五十嵐 日陰
8/20

準備

 式典まで残り数週間。

 ユイもその準備でひっきりなしに働かされていた。

(ここの部屋広い……)そう呆然としながら、掃除を始める。

(この部屋使うのか?)そう思いながら床を掃いていた。

 ここ最近掃除している部屋は殆どがそういう部屋だ。まあ、式典で人がたくさん来るから万が一という訳だが――

(本当に使うのかここ……)と呆れていた。

 

 「ふぅー何とか終わったな、後は報告に行くだけか……」

 そう言って廊下を歩いていた。

 日もだいぶ短くなり秋が近づいているのを感じる。

 「サンマ食べたくなるな……」

 家出する前は食事も豪華だったためたまに恋しくなってしまう。

 ボーっとしていたら。

 「きゃぁああ」と耳がキーンとするぐらい大きな叫び声がした。

(ここから近い、何があったのか――)そう急いで声の方へ向かった。

 「大丈夫ですか!」付いた途端に叫んだ。

 「!!」見ると衝撃な光景が広がっていた。

 なんと額に弓が刺さりそのまま息絶えている官僚が目の前にいた。叫んでいた給仕係は腰を抜かし声が出なくなっていた。

 首元を触ってみたが脈がない、状態からして先程亡くなったようだ。血が少ししか出ていない。

(硬直もあまりしていない……)腕を動かしながら考えていた。

 「これは……」よく見ると弓には文が結んであった。

 ユイはその文を弓から外し、開いた。

 書いていた内容にユイは驚愕した。

 ―― ――

 (これは――)明らかな殺害予告だ。

 (早く伝えなければ。)そして、報告も忘れ真っ先に文のことを帝へ伝えに行った。

 そこを草陰かな覗くものは誰も気づかなかった。

 

 「なるほど、伝えてくれてありがとうな。」

 ユイは帝の部屋に行き話をした。最初は護衛に止められたが事情を話したらすぐに許可をくれた。

 「一応文の内容はこんな感じです。」と帝に向けて見せた。

 ――帝 お前もいつかこうなる――

 「かなり堂々としているな。ところでそいつは俺をいつ狙うと思う?」

 「はい、恐らく式典の時を狙うでしょう。」

 「ふむ、なぜそう思う?」

 「帝様はあまり表には出ませんし、この御所で何か起きればすぐに誰がやったか分かるからでしょう。」

 「ですが、式典を中止するわけにもいきません、どうされますか?」

 これを決めるのは帝だろう。

 帝は少し考えていた。少し時間が経ち顔を上げて言った。

 「では、このことに関してはユリお主に任せる。」

 解決しろということだ。帝の探偵になった以上こうなることは予想していたが、予想より早くその時が来てしまったようだ。

 「御意。」ユイは静かに言った。


 翌日は官僚が亡くなったことで話は持ちきりだった。

 「怖いよねー」リンが怖がりながら言う。

 「はい、心配です。」アミは落ち着いているようだ。

 「弓で一撃だったみたいだよ。」ユイはそんなことを気にせず黙々と昼食を食べていた。

 「うんうん聞いたよーそれに亡くなった人、帝様の補佐をしていたみたいだし。」

 「!それって本当?」それは初めて聞いた話だ。

 「そう、何か心配だよねー」

 「そんなに心配ですか?」世間知らずのアミが言う。

 「まあね、補佐が亡くなると帝がいざとなったときに守れなくなるから――」段々と声が小さくなり遂には呟き声になった。

 「?どうしたの」

 「もしかしてこれって」

 「何かわかったのか?ユイ殿」またもや後ろから史郎が声を掛けて来た。

(もうお決まりだな。)心の中で思っていた。

 「そうですね。まず単独犯の可能性があります。そして狙われるときは護衛が薄くなる時、弓で殺すでしょう。」

 「ほう、なぜ?」

 「まず弓で亡くなった人は帝の護衛らしいです。そうだよねリン。」

 「う、うん」驚きながらも答える。

 「そして文にはお前もいつかこうなる。と書かれていました。ということは官僚と同じ額に弓で撃たれるという犯行声明。よっぽど弓に自信があるのでしょう。」

 「最後に官僚の遺体が廊下にあったことだ、私なら帝に直接遺体を送り付けます。」

 「ヒェッ」と誰かが言ったのが聞こえた。

 「そ、そうか報告してくる。」そう言って逃げるようにその場を離れた。

 「すごい、探偵みたい!」リンが言う。

 「あ、」しまったツイ癖で喋りすぎてしまった。

 「ホントですね。流石です。」アミも笑顔だ。

 「でも、これはただ事ではなさそうだ……」そう呟いて食事を終えたユイはまた部屋の掃除へ取り掛かった。

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