表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帝の探偵  作者: 五十嵐 日陰
7/20

解決

数日後

 「お呼びでしょうか。」ここは湯湯原家邸宅の客間そこにユイと史郎が来た。目の前にはシュラがいる。

 「ええ、先日の壺を盗んだ犯人が分かりましたのでご報告させていただきます。」

 「盗まれた?」シュラは険しい顔をする。まるで睨むかのように。

 「はい、ではお呼びいたしましょう。」

 「お入りください。」叶が言い、扉を開けた。

 「急に呼び出されたが何の用ですか?」

 「!倉久さま、あなたが。」シュラが驚きながら言う。

 「なんだ、俺が何をやったって。」なんか聞いたことがある台詞(セリフ)だなと思いながらもユイは続ける。

 「そんなの自分が一番わかっているのでは?」視線を倉久に向ける。

 倉久はその目線に怯えるように一歩後ずさる。

 「あなたが壺を盗んだのでしょう。」冷たく低い声が部屋中に響く。

 「な、なにを言っているんだ。俺は彼女にお茶を誘っただけだ。」声を荒げる。

 「ええ、そうですよね。ですがそれはシュラ様に会った時でしょう。」目を見開きたじろいだ。

 「そしてあなたには矛盾している点がいくつかあります。」

 倉久は冷や汗を掻いていた。

 「まず、指の包帯これは猫に引っかかれたものだと言っていましたよね。」

 「ああ、そうだがそれが?」

 「猫に引っかかれるとすごい傷ができますよね。しかも広範囲に。」

 「!そうか、あなたは指にしか包帯がない。」史郎が言う。

 「ええ、きっと何か隠しているのでしょう。壺に関係していることを。そして本来あなたは壺を()()()()事を知らないはずです。」

 「壺が無くなったとしか言っていないからな。」

 「ええ、ですがあなたは盗まれたと言っていました。」

 「そこまで言うなら、俺がどうやって盗んだんだ。」

 「それは……」史郎の言葉が詰まる。

 「それを解決するのはこれです。」そして服の中から取り出した。

 「これは……」

 「ええ、そうです。欠片です。」

 「それが何の関係で?」シュラが言う。

 「きっとあなたは壺を割ったのでしょう。割ってしまえば小さくなって運べますから、破片は割って飛び散った時のでしょう。」

 「酷い……なんてことを……」

 「それは彼の口から聞いてみましょう。まだ何か言う事はありますか?」

 「すまない。本当はわざとでは」

 「どうゆうことです?」シュラが聞いた。

 「私は忘れ物をシュラ様の部屋にしてしまい、取りに行ったのです。そして入り口でつまずいてしまい……」その時に肘か何かで割ってしまったのだろう。

 「そうだったのですか」シュラの目はひどく冷たかった。

 「代わりの壺を頼みましたのでどうか許してください。」

 「情報によるととても高い壺を買っていたようで。」定輝様が言っていた壺のことはそのことなのだろう。一体いくらしたのか。

 「……今回は除名にしませんが次に問題を起こしたら首はないと思ってください。」シュラ様は終始厳しい表情を崩さなかった。これも彼女の性格なのだろう。

 

 「ありがとうございました。」シュラ様は頭を下げた。

 「そ、そんなことされる立場ではありません。」焦ってしまった。自分がユリだということが分かってしまえば恨むだろう。

 「いえ、こうやって解決してくれたのはあなたのおかげです。」先ほどの姿勢とは打って変わってとても嬉しそうな顔をしている。

 「それに、壺も貰えたので。一石二鳥です。」とニッコリしていた。

 「それは良かったです。」若干顔を引きつっていたのかもと思った。

 「そういえば、どうやって壺を割ったのでしょう?」と傾げていた。

 「ああ、それは簡単です。」

 「先ず、布を壺に包みます。その中で壺を割ると破片が飛び散らず、そのまま持ち運ぶことができるのです。」

 「なるほど、よくわかりましたね。」

 「ええ、聞いたんです。目撃者に、シュラ様の部屋へ入った人がいると。」

 「!!そうだったのですか。気付かなかったです。」

 「ええ、その後に皿が割れた音が聞こえたと言っていたので、恐らくそうかと。」

 「へ~賢いのですね。破片の事も壺と関連していると?」

 「ああ、それは木の破片です。」

 「へ?」シュラ様はポカーンとした。

 「そうすれば焦って自分だと言ってくれるかなと思いまして。」とユイはニコッとした。

 「すごい……」そう呆然とした。

 

 「あの、今度の式典あなたは出席するの?」そう突然言われた。

 「いや、その予定はないですが……」

 「なら、私が招待してあげますね。」

 「え、え、け、結構です。」青ざめ手をブンブンと振る。

 「そんなに遠慮しなくても。大丈夫よー」やる気満々らしい、どうにかしてこの話から抜けなければ。

 「あ。そういえば、」史郎が思い出したように言ってきた。

 「帝からの伝令だ。」嫌な予感が――

 「今度の式典、君は帝の護衛として出席しろとのことだ。」

 「ゑ。」今まで出したこののない声を出した。

(ということは――)嫌な予感が的中してしまった。

 「じゃあ、参加できるのね、良かったわ、早速お洋服選びましょ。」こっちもこっちでノリノリである。

(私に味方はいないのか……)もう半ば諦めた。

 「さあさあ早く、」先ほどと全くキャラが違う。

 「け、結構ですから~!」とユイは心の底から叫んだ。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ