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帝の探偵  作者: 五十嵐 日陰
4/20

シュラ

 湯湯原シュラ

 湯湯原家の次女であり、ユリと同じ帝の妃候補だ。

 彼女の武器は何より“顔”だ。

 王宮の中でも随一といっても過言でもない。

 

 「それ!詳しく聞かせて!」

 そう叫んだのはユイだった。勢いよく立ち上がってしまった。

 また食堂に居る人たちがこちらを見る。

 「うわ、びっくりした。」

 「あ、ごめん、つい。」

 正直、こういう類の話は気になってしまって首を突っ込んでしまう。悪い癖でもある。

 そしてユイは座りなおした。

 「それで、壺が盗まれたってどういうこと?」

 「うんとね、シュラ様の部屋の入り口にでかい花瓶があるらしいの、そこの花瓶がごっそり無くなっていたらしいの。」

 確かに、それは大変だ。

 「でかいってどのくらいの?」

 「聞いた話によるとこのくらいらしいけど……」

 手で表してくれた。リンの首より少し下だろうか、無くなったら流石にすぐ気づくが。

 「無くなるときは誰も見ていないの?」

 「うん、そこが不思議なところなんだよね。」

 なるほど、ということは、撤去されたのではなく。

 「盗まれたのか……」と呟き、独自に結論に至った。

 「これは気になるな。」ニヤリと笑った。

 (見たことない顔してる)リンとアミはユイを見ながら驚き思った。


(気になるけどどうやって調べるか……)

 昼食休憩が終わり壺の話について考えていると。

 「気になりますか?」後ろから史郎の声がした。

 「え、」声の聞こえている方を向く。

 「分かりますよ。食堂で言ってたじゃないですか。」

 どこで聞いていたのか、おそらく教えてくれなさそうなので気にしない様にした。

 「まあ、はい」

 「なら、調査しません?」

 「え、いいのですか!」

 「実は、もう帝に許可は取っているので」

 仕事が早い、感心してしまった。

 目立ってしまうので別の場所で話をすることにした。

 「これだけの情報では足りないでしょう。」

 敬語になってると思いながら答えた。

 「うん、実際に見てみないとどう盗まれたのか分からない。」

 考えながら答えた。

 「では、明日ご案内しますので。」

 「分かった。」

 部屋を退出してやり残した仕事を急いでやることにした。


 ――翌日

 下働きの服では流石に格好がつかないので、役人の服装に着替えた。

 正直こういう感じの服装は以前、着ていたので慣れているのだが動きずらいからあまり好きではない。

 湯湯原家の住居へ史郎と向かう。

 シュラ様の住居は王宮から少し離れた離れで過ごしている。

 王宮と比べると小さいがそれでもかなりの大きさだ。

 「失礼いたします。」

 一礼して一歩入ると内装の豪華さに圧倒された。

(すごいな……)思わずつぶやいてしまった。

 ユリが住んでいた所も豪華ではあったがそれでも驚いてしまう。

 「あの、あなた方が……」恐らく、シュラ様の女中だろう。

 「ええ、公家の史郎と申します。そしてこちらが――」

 「調査をさせていただくユイと申します。」

 「はあ、」目を丸くしている。私みたいな少女がやるとは思ってなかったのだろう。

(そりゃそうだろう。)静かに同意した。

 「ではご案内いたします。」

 二人は女中に付いていった。

 ユイは付いていきながら住居の周りを見渡した。

 金、銀、にあしらった装飾品が至る所にあり、それに目を引いてしまう。

 「ここです。」

 住居の中でも奥の方に部屋があった。

 スーと障子を開ける音がする。

 「ここに無くなった壺がありました。」

 部屋の入口のすぐそばだった。確かにここは目立つし無くなったらすぐに気が付く。

 「ありがとうございます。」

 「そこで何をしている。」部屋の奥から声がした。

 凛々しい女性の声だ。

 「昨日言っておられました探偵の方をお連れいたしました。」

 ユイ達の方へ近づく、堂々とした態度だ。こちらをじっと見て口を開けた。

 「そうか、この者がな。」

 ピリッとしたような視線をこちらへ向けてくる。美しい顔立ちだ。

 (間違いない――)彼女こそが湯湯原シュラ最も権力が高い者の一人である。

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