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帝の探偵  作者: 五十嵐 日陰
20/20

 翌日、ユイは医務室へ掃除の名目で来ていた。

 「失礼します。」

 「こいつがお前の言っていた、探偵ってやつか?」不服そうに史郎を見る。

 「ああ、こんな見た目だが切れ者だ。」

 余計なお世話だ、と思いながらユイは史郎を睨む。

 「申しおくれました。私、下働きのユイと申します。」

 「なるべく手短にな。」

 「かしこまりました。」

 「倒れた以前の記憶は覚えていますか?」

 「まあ、あの時は占いを受けていたな。」

 (やっぱりそうか……)

 「その当時の様子を詳しく言えますか?」

 「ああ、――あの時、自分は今の地位に満足していなくて出世運を占おうと、部下にいい占い師は居ないか?と聞いたんだ。そうしたら、腕のいい占い師がいると聞いてな、相談をしたんだ。」

 「占いをしていたら、急に占い師が居なくなってその後、眠くなったな。」

 「何か違和感とかありましたか?」

 「あ、そういえば、香を焚いていていい匂いがしたな。」

 「‼それ、本当ですか?」

 「ああ、そうだが。」その言葉を聞くなりユイは顎に手を当て考えた。

 「ありがとうございました。あと、占い師は何時現れますか?」

 「五つ時、確か、上弦だな。」

 「上弦……確か今日!」

 「まさか、あの占い師は今日現れると言う事か!」

 「恐らく、すみません占いを受けた場所はどこですか?」

 「昔使われていた茶室だな、今は誰も管理されてなくて埃だらけだった。」

 「色々とありがとうございました。」とユイは頭を下げ、部屋を出て行った。

 「分かったのか?」

 「はい、やはり元凶は占い師でしょう。」その言葉を聞くなり史郎は息を飲んだ。

 「今夜、奴を仕留めましょう。」ユイは覚悟に満ちていた。

 

 薄暗い茶室、そこに本憲と顔を隠した女性が向き合っていた。外には本憲の護衛が待機していた。

 「ご指名を頂きありがとうございます。本憲様。」

 「どうしても占って欲しいことがあってな。急ですまなかった。」

 「いえいえ、ではいかがいたしましょうか。」

 「恋愛運を占っておくれ。」

 「畏まりました。」そう言って女は香を焚き始めた。

 「なぜ香を焚くのか?」その言葉に女は一瞬動きを止めた。

 「それは香の煙で運勢を見るからです。」

 「ほう、それは面白い。どういう仕組みなんだ?」

 「仕組みはありませんよ、修行を重ねていく内に分かるようになっていくんです。」そう言って香を増やしていく。

 「誰か好きな方でもいるのですか?」

 「はい、私の元許嫁です。今は別の許嫁になっていて取り戻したいと思っておりましてね。」

 「そうですか、」そういってさらに香を増やす。

 「香多くないですか?」違和感を感じたのか本憲はそう聞いた。

 「いえ、多いほど結果が当たりやすいので、」

 「そうですか、それはすごい。」

(なんだか眠たい、視界がぼやけてきた……)本憲の意識が遠のきそうになった時、女はにやりと笑った。

 その瞬間――

 ドン、と勢いよく襖が開けられた。立っていたのは護衛の服を着たユイと史郎だった。

 「ユリ!どうしてここに。」いきなり現れたユイに驚き本憲は声を上げる。女は舌打ちをしたように見えた。

 「最近、役人が気を失ってたり、無くなったりしている事案が発生していまして、その原因がこの占い師なんです。」

 「何!本当か!」

 「これは、香を多く焚いたことによって、煙が発生し、めまいなどを引き起こすようにしていたのです。」

 「どういう事ですか?私はただ頼まれたから。」

 「貴方と繋がりのある役人に噂を流したのでしょう?そして、その噂を聞いた役人たちが貴方の占いに興味を持った。」

 「先程、本憲様の部下に問いただしたところ口を割ってくれましたよ。」女は俯いた。

 「そうよ……()()私がやったのよ。」そして、顔を上げた。

 「私は、あなた達みたいな権力を振りかざす役人が大っ嫌いなのよ。だからこの手で殺してやろうとしたのよ!」

 「なんてことだ……」本憲は絶句する。

 「おかしいですね、どうやって下働きのあなたがこんな部屋を確保できたのでしょう――もしかして、協力者がいるのでしょうか?」

 「ふふ、どうかしら?私みたいに権力者が嫌いな人なんてごまんといるわよ。特に、帝とかね。」そう言って微笑んだ。

 「お前を拘束する。」と史郎は言った。彼女は抵抗もせず、拘束された。

 

 茶室には史郎とユイだけが残った。

 「彼女の言葉、もしかしたら、何か起きるのかもしれません。」とユイが呟く。

 「特に帝様、だな。」と史郎が続ける。

 「帝が次に公の場に現すのは――茶会」

 「史郎様、私参加します。」彼女の目に覚悟があった。

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