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帝の探偵  作者: 五十嵐 日陰
10/20

前日

投稿遅くなり申し訳ございません。

 式典まで残り3日 シュラ様にお呼ばれされた。

 「来てくれて、ありがとう。」

 「いえいえ、お呼びしてくれてありがとうございます。」そう言って深く頭を下げた。

 「では、お入りください。」

 入った時、気になったことがあった。入り口に壺が無かった。

 「あの……壺は?」

 「ああ、それね、貰ったんだけど……ちょっと色合いが気に入らなくて、売り飛ばしたわ!」とニッコニコになりながら話した。

 「そ、そうですか……」それを聞いたユイは可哀想にと思いながら顔を引きつった。

 「それで、呼び出したのは……」ユイは話題を変えるように聞いた。

 「うふふ……それはね……」なんだか嫌な予感がして顔を強張らせた――

 華やかな着物、きらびやかな髪飾り、ユイは言われるがままに着替えさせられた。

 「これは……」

 「見ての通り、式典での服を決めているの!」随分と楽しそうな顔をしている。あまりこういった機会はないのだろう。

 「そうなんですか……でも私、身分は下働きです。こんな服装になる立場ではないと思いますが……」

 「いいのよ、そんなこと誰も気にしないわ。それに、私のお気に入りだから……」そう言ってうとっりとこちらを見てくる。

 お気に入りと言われ素直に喜んでいいのか少し困り、目を逸らした。

「うふふ、顔赤いじゃない嬉しかった?」自分でも気づいていなかったが顔が赤くなっていたようだ。

 「さあ、さあ、もっと服があるから、着替えましょ!」

 「えぇ……」もうこの事に関しては諦めてしまった。なぜなら彼女は()()の家系であるから下働きの立場としては逆らってはいけないのだ。

 「もう少し小さいほうがいいかしら?」いやそれは、自分が()()()からだ齢16だが、同じ年代の者と比べ身長が小さいのだ。

 「自分で寸法を合わせるので問題ないです。」

 「そうかしら?」少し不満そうだ。

 「ん_?」話しているうちにとある物に目がいった。

 「どうしたの?」それに気づいたシュラの女中は聞いてきた。

 「あの、これは?」指をさした先には一際目立つ着物があった。

 「それは、踊り子の衣装よ、昔は帝様のために踊りをしていたけれど、私より上手な方がいたからやらなくなったんだけどね。」とシュラは少し悲しそうな顔をし説明した。確かにシュラ様は帝に振り向いてもらうため誰よりもプライドが高い、常に一番を考えているのだろう。

 (にしても……)この踊り子の服に関わらず、今着ている服、目の前に積み重ねられている服どれも見た感じ高価だ。流石、シュラ様だなと思いながら顔を引きつる。

 だが、何か思いついたようにユイは話しかけた。

 「あの……お願いしたいことがあるのですが……」それを聞いてシュラとその女中は目を丸くした。


 式典前日――

 「お久しぶりです。史郎様」やっと史郎と話す機会ができたが、短い時間だった。

 「悪いな、まだ仕事が溜まっているんだ。」それでも時間をくれたんだ。感謝のほかない。

 「問題ないです。犯人は大体見当がつきましたから。」

 「本当か、それで犯人は……」驚いた顔をし問い詰める。

 「はい、犯人は――」

 「本当か!」ガタッと机の音を立てる。

 「……これは私の推理です。確証はありません。ですが、恐らくは――」あまり推理を信用してはいけないと釘を刺した。

 「なるほどな、で、どうこれからどうするんだ。」

 「ええ、策は立ててあります。内容は――」

 「!!おいそれはいくらなんでも危険が大きい。」

 「そうです、この策は最悪私の命にかかわるものです。ですが、私の命で帝様の命が守られるのなら私は喜んでそうします。」

 「それが探偵としての役目ですから。」その言葉は覚悟を決めていた。

 「分かった。だが無茶だけはするな。お前も一応は権力者だからな。」

 その言葉にユイは面食らった。まさかこんなことを言われるとは、優しいんだなと内心思った。

 「ええ、そうですね……」ユイは微笑んで答えた。

 そうして二人は持ち場に戻った。

(明日は式典か……これは楽しくなりそうだ。)その時の顔は悪人よりも悪人顔だった。

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