表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ふわっとした短編集

【問】断罪予定の悪役令嬢に転生してしまった私にできることは? 【答】なし

作者: 蟹蔵部

 馬車を降り、目の前に広がる学園の光景を目にした瞬間、前世を思い出した。

 どうも、卒業パーティで断罪予定の悪役令嬢です。


 うわーまじかー……。王立の学園で、しかも衆人環視の卒業パーティで断罪って。それもう国の意志ってことじゃん。

 あーどうすっかなー。前世を思い出した瞬間死亡確定って、やる気無くすわぁ。


 え? 断罪回避しろって? いやいや、無理無理無理無理カタツムリ。たかが小娘に何ができるっていうのよ。


 冤罪の証拠を集める? はい無理ー。そもそも頼める人材がいない。使用人に侍女? あいつらは当主に雇われているのよ、私にじゃない。そんな人を使ってみなさい。翌日には……、いや当日中に私は病気(意味深)になるでしょうね。


 自分で証拠集め? はい無謀ー。あのね、ここは王立学園なのよ。ここで起きることは王が認めたことなの、わかる? それを覆す証拠集めって、ギロチンに首を差し出すようなものだわ。


 家から逃げ出す? 頭の中がお花畑なの? ほんとに脳みそ入ってる? そんなに言うなら、無一文で、知らない国に、その身一つで行ってみなさいな。無事に生活できるわけないじゃない。

 まあそもそも貴族街どころか屋敷の中、もっと言えば部屋から出た時点でばれるけどね。当たり前じゃない監視がついてるなんて。


 いい、令息令嬢なんてね、当主のスペアでしかないのよ。当主じゃないから代わりなんていくらでもいるの。変な動きをするならポイすればいいの。わかる?


 はあ〜、ほんと嫌になるわ。何事もなく(笑)卒業パーティ当日をむかえたわ。

 前世の記憶とはちょっと違って、陛下は外遊先の隣国から戻って来れなかったみたい。


「婚約を破棄する!!」


 はい。断罪は予定通りです。王子がやらかすってのはすでに公然の秘密状態だったので、周りの皆さんも落ち着いている。私も、もうどうにもならないとわかっているので落ち着いている。ただ死ぬにしても苦しまずに死にたい。


「承知致しました。毒杯を賜る慈悲をお願い申し上げます」


 取り巻きその1である宰相の息子が変な顔をしている。あっ、ふーん。そういうことね。全てわかったわ。


 陛下の外遊は宰相のプランだった。不在の間に王子が問題を起こして私が死ぬと。我が家には隣国からの血が入っているから、隣国が口と手を出す口実としてはうってつけだ。これは足止めされている陛下も生きてないんじゃないかな?


 はあ〜、宰相が国を隣国に売るか〜。当然我が家の当主も仲間だろう。いや〜、やっぱり私にできることなんて何もなかったな。うんうん。


 それじゃ皆様さようなら! ごっくん!

顔に出てしまった宰相の息子君はこの先生き残れるだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ほんとに「なし」でしたね。どこまでもドライな主人公、ニヒルでカッコいいです。
[一言] 早い早いW 何か展開早すぎてワロタW
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ