表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

伊瀬…お前… 2

『いやあの、今更言うのもなんだけどさ。急に恥ずかしくなったっていうか』


携帯にはそんなピュアなメッセージが送られていた。


「それだけでかよ…」


彼らしくは無いものの、やはり緊張はするものだ。


つまりは、ここに来て急にヒヨり出したわけだ。


確かに今日俺ん家に来ると決まったのはさっきの通話内でだ。心の準備が出来ていないのも頷ける。


むしろ気持ち的には嬉しいくらいだった。何故なら俺自身も相手がどんなやつなのかを少なからず考えていたからだ。気持ちは同じというわけだ。唯一違う点があるとすれば俺が気になるのは相手の姿形。伊勢が気になるのは自身の姿形による相手の反応。いや後者は俺の推測でしかないが。


とりあえずここで送るべきメッセージは決まった。



『安心しろ。お前がデブだろうとハゲだろうとおっさんだろうと少年だろうと俺は快く引き受けるぜ!』とな。



しかし既読は着くも返信は。

『お、おぅ』と控えめな返信だった。


「いや、いくら何でもチキンすぎんか」


だが俺はあとひと押しで伊瀬の奴も決意するだろうと踏んだ為、最後のチャットを送信した。



『とりあえず、もっかいインターホン押してくれよ。大丈夫だ。俺はどんなお前でも受け入れるぜ!!』と。



さっきよりもビックリマークが1つ多いのも俺なりの気遣いだ。


送ったチャットの既読が着いた2分後。遂に伊瀬からの返信が来た。

『わ、わかった。とりあえず、行くわ。お前の台詞信じるぜ』と。


よし。奴は決心できたらしい。あとは俺が迎え入れるのみ。大丈夫だ。如何なる時も平然を取り繕ってきた俺なら成し遂げる事が出来る。



ピンポーン



響くインターホン。俺は再び玄関まで足を運び、そのドアに手をかける。さっき1回目の時に施錠は外してあった為あとは扉を開くのみ。


「よしっ。開けるぞ?」


そう一言だけ言い、俺は玄関のドアを開けた。


「…ぇ?」


視線の先、僅かに顔が下を向いた。


「あは…は。よ、よう」



え?



俺はここで自身の失態に気づいた。それは先程のメッセージに加えるべき項目が足りなかったこと。何故なら伊瀬は、デブでもハゲでもおっさんでも少年でもなかったからだ。


「…よう」


「は、はっ」


そのまさか。伊瀬は─────女だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ