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ゾンパニ  作者: クロネコ
3/3

吉川、冨田の場合

ゾンパニ第2話です。

研究所が爆発した事により俺はハーフゾンビになってしまいました。

一時期混乱して経済の回りが止まってましたが今では夜美月零が全てを取り纏め権力を持つようになり全てがいいように回るようになり今では人間の生活は爆発が起こる前の状況にほぼ戻りました。

そう、人間は。

俺はハーフゾンビにだから全然関係ないけど...

ハーフゾンビは人間の食べ物は食えないし、半分腐ってるから臭いし、人間としての権利も無いしロクなことがない。

疲れることも、体調崩すことも、眠ることもない。

その事に目を着けた汚い人間がハーフゾンビ22時間労働法を作った。

1日22時間働いても給料も無く貰えるのはその日1日分の動物の生肉や血だ。

ハーフゾンビは人間に飼われてると言っても可笑しくない扱いを受けているのだ。人間側は共存と言うがこちらからしてみたら侮辱に過ぎない。だから女のハーフゾンビは隠れて生活してる人の方が多いらしい。

休憩時間は終わりだ。これからまた仕事に戻るか。

「お疲れ様。」

「お疲れ様です。」

話しかけてきたのは同じハーフゾンビ仲間で同僚の冨田さんだ。冨田さんは定年退職の歳を迎えているらしいがウイルスの影響でまた働くことになった人だ。

(冨田さん何時も穏やかでいて凄いな。)

人間が出社してくるまでに終わらせないといけない資料ばかりで嫌になる。

現在24時、人間が出社するまで後7時間30分はある。

手を動かさないといけないと分かっていながらも心は疲れているので中々やる気が出ない。

「吉川君、あれならもう少し休んでたらどうだい?」

「お気遣いありがとうございます。大丈夫ですよ。冨田さんこそ休んだらどうですか?そろそろ警備班の鹿島たちも交代にやってくるでしょし。」

「そうだね。じゃあ少しだけ休んでこようかな。」

「はい。その間に俺がしっかり資料やっておきますので。」

「ありがとう。じゃあちょっと行ってくるね。」

「はい。お疲れ様です。」

冨田さんは休憩室に入って行った。

「さて、頑張りますか。」

警備班と言ったが俺達ハーフゾンビの仕事は普通の仕事とゾンビが会社のなかに入らないようにする警備の2つの仕事を交代しながらやっている。

何故か分からないがゾンビの数がどんどん増えていってるから困っているんだ。

最初は人口の2割だったのにどんどん増えていく。

それに対して夜美月は何も言わなかった。ただある日からハーフゾンビは1日1回よく分からないままある注射を打たれるようになった。その薬のせいで増えているのではないか自分は疑心暗鬼になっていた。


ビー、ビー


緊急事態を報せるブザーの音が社内に鳴り響いた。

鹿島たちに何かあったのだろう。急いで向かわなくては。

「鹿島。」

「吉川、大変だ。今日は何故か何時もよりゾンビが多くて片付けられないんだ。」

そういう鹿島の言葉を聞いて外を見てみると50体以上のゾンビが社内入り口を囲って扉を怖そうとしている。

「他の2人は?」

「三宅と足立さんは念のため非常口を見に行って何もなかったらシャッターを降ろして戻ってくる。」

「分かった。一応のために他の社員にこっちと非常口に行くのを半々にしろって伝えとく。」

「おう。さて、どうすっかね~。この量」

「倒すしかないでしょ。それが俺達の仕事なんだから。」

「「「「「お待たせしました。」」」」

伝えてすぐに他の社員が駆けつけてきた。

それでも外のゾンビに比べれば人数が圧倒的に少ない。

(勝てるかな。殺るしかないのか...)

「いいか、俺が扉を開けたら戦いスタートだ。いくぞ!!」


ガチャッ


扉が開きゾンビも中に入ろうと押し寄せてくる絶対に中には入れてはいけない。

「...やりますか。」

目の前のゾンビを倒していく。どんどんゾンビの血を浴びながら。真っ赤に染まっていく。楽しい。

倒しても、倒してもゾンビは減らず逆に増えているのは気のせいだと思いたいとこだ。

ふと入り口に目を向ければ足立さんたち非常口にいた人たちが駆けつけていた。

「お前たち、待たせたな」

これで少しは戦況状況が変わるそう思った。そう思ってまた目の前のゾンビを倒していく。


変わると思ったけど変わらなかった。やはり力はあっても数には勝てない。倒しても倒しても減らないゾンビに心が折れる。

「ごめんね。待たせたかな?準備に遅くなっちゃって。」

優しい声色が聴こえそちらの方を向くと全身から血を流してる冨田さんが立っていた。

ゾンビは冨田さんの血の匂いに引き寄せられるように一直線に向かっていこうとしている。

「皆。個々は私に任せてくれないかい?大丈夫。年の功と言うように君たちより体力は無いけれど知恵は沢山あるからね。私が全てのゾンビを引き付けるから君たちは社内に入ってシャッターを降ろして戸締まりをしっかりするだよ。じゃあちょっと行ってくるね。」

そう言うと冨田さんは何時も通り優しくこちらを見て笑い軽く会釈して何処かに走り出した。

ゾンビもそれにつられて冨田さんを追いかけて行った。

「...お前たち、冨田さんが言ってくれたように俺達は仕事をこなす。お前たち全員中に入れ。そしてシャッターを降ろすぞ。」

足立さんの一言に皆また仕事に戻った。

(冨田さん大丈夫かな?不安だ...7時30迄には戻ってくるかな...)


7時30分になった。なってしまった。

冨田さんは帰ってこない。人間が出社してきだす。

社長の谷亀が様子を見に来た。

「おはよう。中途半端のハーフゾンビ君たち。君たちゾンビと戦うのは良いが会社の前の血をどうにかしなさい。今日は朝から会社前の血の掃除。それが終わったら何時も通りしっかり人間よりも働きなさい。君たちは得意だろ?君たちはそれしか出来ないんだからしっかり真面目に働くんだよ。君たちの存在意義は人間様の役に立ってこそあるんだからね。おや、あのじじぃがいないじゃないか。遂に老いぼれて死んだのかな~?全く使えると思ったから働かせてやったのに脱走か。これだから人間じゃなくなった君たちは駄目だな。人間にかかる迷惑を考えながら行動してほしいものだよ。あぁ君たちは脳も半分以上腐ってるから無理か。まぁいいや、代わりなんていくらでもいるからね。さぁ今日も頑張って働こう。さぁ掃除しに行っておいで。」

(...クソッ何なんだよ。偉そうに言いやがって何もしらないくせに、俺達だって好きでなったわけじゃないし俺達は心は人間なのに見た目がゾンビ側に近いからって何で...)

社長の言葉にイライラしてやれない。いっそコイツを殺してしまおうかと思えるほどに。

「お前たち掃除しに行くぞ!」

三宅が皆に声をかける。三宅の何ともいえない表情を見て一気に怒りが静まる。皆同じ思いなんだと改めて思う。

(人間を殺したらそれこそ化け物に人間じゃ無くなってしまう。心はいつまでも人間でいたい。)

「よしっ頑張って掃除するぞ。」

「吉川張り切ってるな。」

「まぁ実際俺達にはこういう生活しか無いし。意外と楽しいしな。」

(冨田さんの行方なぜゾンビが冨田さんの血に反応したかなど色々気にはなるがまた冨田さんが帰ってきた時に聞こう。)

そう思い俺達は仕事に励む。人間であり続けたいその願いを胸に。







その後の冨田side

(格好着けて若い子たちに任せろと言ったもののオジジには少しきついな。でも良かった。若い子たちを守れて。実験に付き合ってて良かったよ。実験のお陰でゾンビが私の血に反応してくれて。ただ逃げ切れてもこれだけ実験薬の効果が効いてるなら私は死んでしまうかな。否、逃げてるだけじゃ駄目じゃないか。私としたことが年でボケてきだしてしまったのかな。少しでもゾンビの数を減らさないと人間が困ってしまうからね。なるべく人が来ないとこに誘導するとしますかね。)

「皆さん体力凄いですね。私は年なものでそろそろ限界かもしれませんね。それに私はちゃんと疲れられるんですよ。普通の人と比べてまだ鈍いですがね。貴方たちも、私も元は人間、否今も人間なのに哀しいですね。オジジは長生きしたので何時死んでも良いと思っていたのですがどうせ死ぬのなら未来ある人たちの役にたたないといけませんからね。」

私は後ろの人たちを連れて人が立ち寄らない廃校に入った。

「皆さん、申し訳ありません。同じ人間を手にかけるのは嫌なのですが未来ある者達のために貴方たちの命を消すことを謝ります。本当にすみません。私も貴方たちを終わらせた後直ぐに行きます。その時にはまた改めてあの世で謝罪及び色々話をしましょう。」

私はそう言って沢山の同じ命を消しました。

気がつけば残り10体もう朝日が登っています。

私の体もあちこちに噛み跡がありボロボロです。

「貴方たちが最後のようです。もう体力がありません。それに意識が朦朧としてきてます。それでも私は大量の命に手を掛けてしまったなので最後まで責任を持って終らせていただきます。」

私は最後の力を出して全て終らせました。

(良かった。日が出てくれて、日が出てる間は弱体化してくれるので終らせやすかったです。)

「今日が私の命日ですね。最後にどうせなら家に...」

私は残り少ない体力を出して家を目指しました。

(ばあ様はどうしてるかな。ばあ様は私が置いてったこと怒ってるかな。最後にばあ様に会いたい。)

ばあ様は爆発が起こってゾンビになって私はハーフゾンビになってしまいました。ばあ様はゾンビになったのに動くことも何することもなく私をじっと見つめて何か言ってるだけなのです。ゾンビは呻き声しか出せないので何を言ってるのか伝わりません。

「あっ...」


ドサッ


(あともう少し、もう少しで家に着く。目の前が真っ赤だ。視界が霞む。それでも最後にばあ様に会いたい。待ってくれてるであろうばあ様に。)


ズルッズルッ


私は這いつくばりながらも家を目指しました。

「ば...あ...様。」

少し目が重くなってきました。そのまま私は電池が切れたように動けなくなりました。すると急に全身が何故か熱くなっていきました。動いてないはずの心臓がドクドク脈打つような感覚を覚えました。

するとあれだけ動かなかった身体がスムーズに動くのです。

(これならばあ様の元へ帰れる)

私はまた歩き出しました。


ガラッ


「ばあ様、オジジが帰りましたよ。」

「お帰りなさいませ。私はずっと待っておりましたよ。」

「...分かる。ばあ様の言葉が分かる。ばあ様待たせてすまなかった。」

「全然いんですよ。これからは夫婦2人一緒にいられますか?」

「あぁ。もちろん。ばあ様の方こそ人では無くなった私を隣に座らせてくれますか?」

「もちろんですよ。私の隣はじい様でないと務まりませんからね。」

「ばあ様。」

「じい様。」

「それじゃあ一緒に行こうか。あの世で何かあっても今度はずっと離れずばあ様を、芙美枝さんを守ると誓うよ。」

「ありがとう。じい様。私も何があっても今度はじい様の正義さんの隣を離れないと約束します。」

「最後にちゃんと話せて良かった。これから先も愛してる。」

「私もこれから先もずっと愛してますよ。」


ガブッ





「報告致します。実験対象No.001が薬の効果で人間に近い状態になりました。その後はゾンビとの戦いでゾンビに噛まれた際にゾンビになりました。しかしゾンビになったのにも関わらず人を襲うことも暴れることも無く自分の家に帰り実験対象の妻であろうゾンビと呻きあいながらお互いの首を噛みちぎって自害しました。報告は以上になります。」

「本当に死んだか確認後......をして...に持ってきてその後は何時も通りの事をこなせばいい。」

「了解しました。直ちに行動に移します。」

「...うん。あと...も回収忘れないでね。」

「かしこまりました。全ては...様のために」

閲覧いただきありがとうございます。

まだまだ続きます。

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