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イバーラク空戦録  作者: 南雲司
6/12

神樹の娘

[湖水軍]

 港のぬくみがあってか、岸に近いと言うのにこの辺りは氷結していない。そこに一隻のイェードゥ湖水軍の母艦が停泊している。

 水戦の置水準備をしている辺りには濛濛もうもうと湯気が立ち込めている。エンジンが暖まる前に凍結するのを防ぐために、タンクに給湯しているのだ。準備の終わった水戦から湖面に降ろしていく。

 降ろされた水戦は直ちにペラを回し、次機のために場所を開ける。三機揃ったところで位置を調整し、一斉に滑水を始める。

 ありふれた編隊離水の訓練ではあるが、二つの事がわかる。十分な練度を持っている事、勇者軍とは違い三機一個小隊である事。そして条件の良いとは言いきれない時期の訓練に、推測できる事がひとつ、司令官が有能である事。

 港上空を旋回して母艦の側に着水し、再び加速して離水する。何度もの繰り返し、命を握る鍵とも言える技量を手にいれるための唯一の方法、パイロット達と共にそれを熟知している。


[サルー]

 太子はここの処ご機嫌だ。贔屓ひいきの空軍司令の活躍で、いや大活躍、大々々活躍で精強な隣国軍を打ち破ったのだ。のみならず、敵指揮官である勇者を捕らえたのだ。

 訪れる貴婦人達も太子の知古である司令に興味津々であるらしく、まるで視て来たかの様に太子が語る、単機で敵を翻弄する空軍司令の武勇伝に嬌声を上げる。それがまた、心地よい。


 なにかと剣呑けんのんであった王弟を掣肘せいちゅうしたのも恐らく司令だろう。あの日、危険である筈の王都に前触れもなく出立し、次の日には全て終わった、帰ってこいと王城から連絡が来た。

 ただの関与ではない主要な役割を果たした筈だ。王太子の勘がそう言っている。

「では王弟殿下がお引き隠りになられたのにも司令閣下のご活躍が?」唇に人差し指を当てて太子は応える。

「誰にも言ってはいけないよ」噂は一晩で広まることだろう。


 長官は呻吟しんぎんしていた。司令の昇進は確定としても、ここ一連の功績をかんがみるとまるで足りない。

「二階級上げるわけにゃいかんし…」佐官以下なら、十日程の間を置いて二つ上げるのも有りだが、将官ともなると流石に厳しい。

「陛下にお願いするかなあ」

 嫌がるだろうな、と溜め息をいた。


[水軍]

 イバーラク水軍の新型の艦だろうか、奇妙な形の船だ。二層になった甲板の上層は後ろの方が大分短い。

 と、躯体から翼を折り畳んだ飛空艇が引き出されてきた。空軍のものとは違い三個の車輪が付いている。


 ふわりと翼を閉じたまま浮かび上がると上層に移動する。上層には整備兵が待機していて、すぐさま翼の展張を始める。下層からは次々と飛空艇が上がってくる。

 掌帆長の差配でタイミングの調整をしているのか、滞ることはない。

 展張を終えた飛空艇から静かに空に浮かびペラを回して場所を開ける。見事な流れ作業と言うべきか。

 水軍航空隊も形になったようだ。


[パンツァークリーク]

 陸軍工厰長は、満足げに車列を見回した。勇者が馬力が足りなくて断念したと言う無限軌道を滷獲ろかく戦車に組み込む事に成功したのだ。

 空軍から提供を受けた三連タンデム発動機のお陰でもある。嵩張るので居住性は大分悪くなったが、数名の兵を跨乗こじょうさせて馬よりは大分早く移動できる。なにより疲れ知らずだ。

 兵員輸送車両も同じく無限軌道に換装した。

 春にあるだろう侵攻作戦に間に合った。


[シャオ]

 ここの処シャオは研究室と神樹との往復を続けている。シャオに依れば神樹はアカシックレコードとの接点で、巧く扱えば世界のあらゆる場所と接触することが出来る。

 シャオの目論んでいる事はそれと関連していて湯石の湧くポイントを同定し、そこにあるだろう術式を書き換える事だ。

 書き換えるのもお願いすれば?と冗談で言ったら、ポンと手を叩いて駆け出した。


[マリーのウサギ]

 普段は犬小屋に閉じ籠っているくせに、ボールを持っていくと何故分かるのか飛び出した来てまとわりつく。

 おーしおし、とってこーい。この日は、ボールでなくなんだかふわふわした白いものを咥えて帰ってきた。なんか、ジタバタしてないか?て、角ウサギの子供じゃん。

 角ウサギは冬眠する。春が近づいて日が長くなると出てくると言うから、たぶんそれだろう。

 可愛そうだから離してやりなさい。

 角ウサギは犬に突っ掛かる。犬は新しい遊びと思ったらしく、交わしては前足で転がす。その内、ウサギの動きが鈍くなりコロンと転がった。冬眠の続きか?

 マリーは暫く鼻面でつついた後咥えて犬小屋に連行した。飼うのか?エサどうすんだ?


[昇進と旧交]

 王都は、なんか久し振りって感じ。新型艦や二番艦の改装の設計に付き合ったり、元勇者軍のうち空軍に配属になった連中の訓練みたりしてて、気が付いたらもう春だし。で、取り合えず属国になっている元勇者軍兵士達の故郷を取り戻そうじゃないか大作戦の打ち合わせ、作戦会議とも言う、に来た。

「少将に任ず」はい?

 長官に挨拶にいったら、任命書らしき紙切れと階級章を渡された。

「今後は将官自身、自らでの戦闘行為は慎むように」

 いや、長官に強硬偵察行ってこいって追い出された時、既に准将だったよね?

「あれには、色々と事情が」目を逸らす長官。

 会議室に入ると立ち上がって敬礼してくる水軍さんがいた。

「ご無沙汰しております」

 誰かと思ったら、弁務官さんじゃないか、元気してた?星ひとつ増えてる、昇進おめでとう。

 旧交?を暖めていると、ガタイの良いおっさんが来た。

「ごわすごわす」

 騎士団長さんじゃないか、今回呼ばれたんだ。

 陸軍が出払う事になるんでその調整らしい。

「騎士団にも気球船譲って欲しいでごわす」だから、船じゃないから。

 連絡艇が欲しいらしい。騎士団全国に散らばってるもんね。訊けばそう高性能なのは要らないというから、今ある連絡艇をアレンジして何機か作ることにした。毎度有り。

 勿論ただじゃないさ。


 騎士団長がいなくなると、水軍弁務官が用件を切り出した。

「噴進型発動機の開発が」難航してる?

 で、なに?技官を何名か鍛えて欲しいの?


[お開き]

 作戦の発動は「四月一日とする」長官の締めで会議はお開きとなった。


[勇者の窮屈]

 不満と言う程ではないが、少し窮屈な気がする。つい先日まで砲火を交えた敵同士であってみれば、監禁される事もなく、制限はあるものの自由に出歩けると言うのは、破格で文句を言う筋合いは勿論ない。

「工廠の見学はやっぱり駄目ですか」

 勇者は窮屈の原因に分かりきった事を訊いた。情報の収集というより、無口な監視役から滲み出てくる窮屈さを醸し出す何かを少しでも和らげようと思っての事である。

「本官は会話を禁じられております。これは独白であります」

 程なくして、勇者は北の森に移された。


[外人部隊]

 訓練は通訳を通じて行われた。陸軍も同様らしく語学に堪能な情報局の人材は貸して貰えなかったので、義塾から学生のバイトを雇った。

「彼らも隣国に国を強奪された被害者なんだよね」

 なかよくしてね、との司令の指示は空軍では絶対である。ポケット版の隣国語の辞書を片手に、世間話を試みる兵達の姿があちこちで観られるようになった。その所以せいで元勇者軍の兵達は、祖国奪還の作戦が進行しているらしい事を知る。

 訓練の成果が上がり始めた。彼等は陸戦隊に配属され、激しい空挺訓練をこなした。


[神樹の娘]

 巧く神樹と交信出来る時と出来ない時がある。幸い今回は交信出来る番のようだ。シャオは魔法言語の元である古代エルフ語で祝詞を唱える。

「ウンジュヨーナガメチャイビーン」

 程はなくして(よく来てくれました。我が娘よ)神樹かららえがあった。

 この応信の存在が森人=エルフをして神樹を崇拝せしめている物だが、シャオにとってはただの応答信号に過ぎない。

 折に触れ叡知を示す神樹ではあるが情報の集合体でしかないレコードの結節点のひとつに過ぎないのだ。人格が存在すると視為すのには無理がある。

「湯石に関し重大な不都合が進行中である。解決策のひとつを提示したい」

 交信を終えウロから出ると森人達が平伏していた。

「なに?」小首を傾げるシャオ。

 長が代表して語る。勿論森人語であるが魔術師であるシャオには概ね理解出来た。

 突然神樹からの波動が満ち、ウロに閉じ籠るシャオを「愛しい娘」と呼んだと言う。シャオの解釈では重要な情報源と位置付けられただけの事だが、森人は大したことだと感じた様だ。

「エルフをエルフと呼ぶことを許す」

 名誉森人にして貰えたらしい。それから、巫女の証とか言うアミュレットを貰った。


[慣熟飛行]

 数艦同時に修理ないし改装が可能なように造られたドックは、きれいさっぱり空けられていた。巨大飛空艦建造のためである。

 これから、建艦式の準備が始まるが、だだっ広いなあ。小声で喋ってもわんわん響くし。

 隣のドックには二番艦が据わっていて、空挺隊旗艦として改装中だ、てかもう最終艤装始まってるから、[作戦]にはなんとか間に合いそうだ。百名強二個小隊を運用出来る。バルジの大改造で随分ズングリしたね。同じ艦には見えないや。

 外に出たら鷲型が二機低空でかっ飛んで来た。俺の乗機じゃないよ、俺ここに居るし。ロールアウトしたばかりの二機で、慣熟をやってるんだろう、たぶん。

 でも、なんで慣熟始めたばかりで全速低空やってるんだろう。


[森の空軍]

 森人に真空圧縮教えて良いかと、シャオに訊かれ、簡単やつならと許可を出した。実際、二連気球じゃ性能不足が目立ってきてたし。

 森人の気球を眼にすることは滅多にない。空用の隠蔽魔法を開発したみたいで、見付けたとしても良く外形が分からないのだよね。これって、ある意味無敵じゃね? 


 森人達はいとも容易く真空圧縮を使いこなせるようになった。のみならず、進化すらさせた。魔石との紐付けを強化して気嚢や気室を撤廃したのだ。丸太に魔石を仕込み、打ち跨がって空を飛ぶ森人がそこかしこに出現したが、人族には気付かれない。隠蔽魔法が掛かっているからである。

 もしかしたら、森人空軍こそ最強なのかもしれない。


[水軍機]

 長官には戦闘を慎めと言われたのであって戦闘をするなとは言われてない。なので偵察くらいなら問題ない。

 仮に迎撃されて戦闘になったとしても、慎んだけれどなっちゃった戦闘なので問題ないのだ、ないったらない。

 てかさ、空も飛べずに空軍司令名乗れないし。

 そこ、違うとか言うな。

「司令、2時、特殊艦、ありゃ水軍の母艦だな」

 操舵手君、君、もう敬語使う気ないでしょ。

「水軍の新型、揚がってきます!」

 前部射手君、何装填してるの、友軍なんだから撃っちゃ駄目だよ。

 ペラ式なのに速い、タンデム発動機を二器繋げてるのか。そいや翼折り畳むって言ってたな。主翼に載っけると邪魔になるのか。で後尾に配置、一個じゃ出力足りないから二個繋げたと、やるな、水軍。

 操舵手は前席、射手は遠隔で後席から機首の銃器を操作するのか。前視難いだろうに、操舵手が照準付けて合図するのかな?連携大変そうだ。

 てかさ、敵水戦一人で操舵手と射手やってんだよな、気室の操作しないで良い分余裕があるからなんだけど、そっちの方が当たるよな。

 水軍機は側に寄って来て翼を振って離れていった。確認と挨拶だったらしい。


[偵察]

 今回は大分遠距離になる。敵湖水軍軍港の防空練度の把握が目的。近寄っていってどれ位で反応するかを見る。なので高度は高からず低からず、見付け易い高度。空に浮いてる機体はない。お、滑水始めた。油断してたな、反応鈍め、減点1。

 離水したら此方には向かって来ず、むしろ離れながら高度を取っている。数は三機。

「取り舵、帰投するよー」射手君鼻を鳴らさないの、空戦は無しって言ったでしょ。


[勇者]

 「それ以上の接近は禁止」

 シャオは恩寵の短剣に手を掛ける。任官の折り、司令がぽんと放って寄越した物で、普段は果物ナイフ代わりに使っている。少し大きいので使いづらくはある。

「嫌わなくても良いじゃないか。君も召喚者なんだろ?」

 王国にジェット機その他の現代技術を持ち込んだのが、司令ではなくシャオであると勇者は知った。故に、召喚者はシャオであると。

 司令が居れば「[現代]の使い方間違ってるから」と指摘が入っただろうが此処には居ない、そして勿論「召喚者」の使い方も。

「召喚魔法は専門外」

 シャオは自分が何を召喚したと思われてるのだろうかと訝しむ。さらに近付く勇者。

「ユグドラシルに案内して欲しいだけだよ、僕一人じゃ結界で入れない」

「エルフ以外の接近は死罪」

「お前は毎日通ってるじゃないか」

「私はエルフ!」

 勇者の喉元目掛け短剣を突き出す。元より脅しのつもりのそれは、哀しいかな武芸の心得の無い事もあって、簡単に腕を取られてしまう。

「耳の丸いエルフが居るかよ!」

 しかし、乱れた髪から覗いた耳は尖っていた。思わず手を離す勇者。この女は召喚者じゃないのか?では転生者?そうだ、きっとそうに違いない。

 足を縺れさせながら勇者から離れるシャオ。気を取り直し追い縋ろうとする勇者。

「ヌーシチョガネーネカイウティリヨ!!」(何をして居る巫女様から離れろ!!)

 矢を番えた若い森人が唐突に現れた。

「NPCは引っ込んでろ!」

 世界観が混乱してしまった勇者の言葉は、自動翻訳の機能により、森人にはこう聴こえた。

[エルフごときが!控えろ!]


[アルバイト通訳]

 司令は、集められた元勇者軍の兵士を前にため息を吐いた。なんでこうなるかなぁ。

 あー元勇者軍の諸君、君達の元上司である勇者が森人の設けた禁止エリアに潜入を試み、見咎めた森人を殺害し、逃走しました。

 え?早い?もっとゆっくり喋れって?ごめんね、通訳君。

 んでだ、君達には選択をして貰います。勇者に義理立てして、拘禁されるか、祖国奪還の戦いに参戦するか。

 手で、ちょっと待て信号を送信する通訳君。仕方がないのでコップの水を飲もうとして空なのに気付き水差しをこっそり要求する司令。

 え?もういいの?みんな続き待ってる?なんだか本当に喉が乾いてきた気がするが、仕方なく話の続きをする司令。

 どこまでいったっけ、あー、んでだ勇者の行動は隣国の意を汲んでの物だと思われる。つまりはだ、こほん、祖国奪還に参戦するなら勇者と戦うこともある。以上。

 あ、一晩ゆっくり考えてから決めてね、兵曹長に言えば良いから。


[出奔]

 勇者が出奔したと聴いたのは昨晩の事である。取り急ぎ、森に急行しシャオから仔細を訊いた。

 森の案内を頼まれた。

 神樹の許へ行けと言うから断ったら乱暴されそうになった。

 そこへ駆けつけた森人が返り討ちに会い、

 神樹の力を頼って蔦や草木での拘束をしたら、かき消えた。

「おそらく、転移石」あれってダンジョン専用じゃ?

「エルフの森はダンジョン」まじかよ、って森人って言おうな。

「エルフはエルフの事エルフとしか呼ばない」

 髪を掻き上げて耳を見せる。

 いつからエル…森人耳になった!てか、本物?神樹に認められた証だそうだ。そいや、そんな事言ってたな。


 思った通り、転移石は有効だった。石の紐付けを森の近くの拠点にして置いたのも運が良かった。ユグドラシル攻略作戦の名残の転移石。

「勇者様!」

 残しておいた配下だ。今度こそユグドラシルを確保しなければ、地球に、日本に帰れないなんて信じない、帰る方法があるなら、あの樹こそ手掛かりの筈。


[鏡返し]

 ほぼ全軍を動員しての勇者捜索は空振りに終わった。というより進攻作戦の期日が迫り打ち切らざるを得なかった。

 四月一日、発動の大号令が掛かった。六機の鷲型、十二機のペラ飛空艇の援護を受け、勇者軍の電撃作戦をそのまま鏡返しにしたように、陸軍は奔った。

 いやそれはただの先陣に過ぎず、脆弱な正面を騎士団と水軍航空隊に任せ、ほぼ陸軍全軍が先陣のこじ開けた穴から雪崩れ込んだ。


 隣国もこの作戦の事を感知していたにも関わらず、あまりの荒唐無稽さに、また、電撃戦を経験した事が無かったがゆえに、軽視し、騎士団の守る正面こそが本命の進攻ルートだと判断していた。

 わずか10日程でツァロータは陥ちた。そこから、イェードゥへと尚も進軍する。

 柔らかな下腹を食い破られる形となった。

 目的地は敵首都。


[降下猟兵団]

 我が空軍の活躍も記せねばなるまい。最後の拠点であった属国首都には二番艦、改修され、強襲艦と艦種名を変えた空挺母艦から、祖国奪還の旗印を掲げた空挺隊が舞い降りた。市民の蜂起を促し、程なくして陥落せしめた。

 彼等は奪還した国の国軍に編入される事になっている。が、勝利して初めて担保出来る約束だ。隣国首都まで付き合って貰うことになる。


[壊滅]

 森から王国軍の気配が消えた。侵攻作戦に参加したのだ、と勇者は確信する。今ならオーニソプターだけでも、森を制圧できる。幸い各所に散っていた勇者軍の集結もほぼ終わった。

 「制空隊発進してください」

 テイコクには王国のような落下傘がない、何度試作を繰り返しても失敗するので発案者である勇者が諦めたせいだ。だから、勇者は空を飛んだことがない。

 約一千名の陸上部隊も森に分け入って行った。その表情には緊張の中にも余裕がある。以前成功した作戦だ、王国の介入がなければ完璧だったんだ。彼等はそう思っていた。


 結論から言う。勇者の第二次北の森侵攻は失敗し、勇者軍は壊滅した。勇者は再び転移石で逃げた。

 空には王国空軍でさえ恐れを為す見えない丸太が無数に舞い、森には勇者軍虎の子の[致死]投射機を無効化した戦装束の[エルフ]達が待ち構えていたからだ。

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