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イバーラク空戦録  作者: 南雲司
3/12

召喚勇者

[プランするC]

 出立を明日に控え、その夜は慰労会と言うか軽いお別れパーティーの様なものをしていた。騎士団長があちこちで呟いてから去ったお陰で、副団長のクーデターはうっすら視えていたし色々考える暇もあった。

 だがしかし、

「え?こっちに来たの?」 いきなりは心臓に悪いです。

「プランC!」

 緊急時には一応武官である俺に指揮権があるから早速行使する。敵の狙いはおそらく気球だ。長官と会に参加していた水軍の弁務官、それとついでに兵長も中庭に引っ張っていく。

「お前はどうする」

 そう訊いてきた長官を飛空艇に押し込め、応える。

「俺、司令っすから」指揮取らないとね。


 衛兵達には気球四機が離脱する迄の時間稼ぎを指示していた。離脱を確認したら直ぐに降伏しろと。

「死ぬなよ」

 最後の一言は余計だったかもしれない。三人の兵が死んだ。

「あなたが猛将の空軍司令ですね」

 副団長は脱いだら凄いんですタイプのスマートな男だった。

「空軍は腰抜け揃いか!」

 比較的速やかに突入したのに気球に逃げられた、その事が不満で騎士達は荒れていた。

「雑な作戦だな」

 それでも澄ました顔をしている副団長に嫌みを言ってやる。

 兵力が最小となっているとは言え王城の守備は固い、気球を確保出来なかった時点で失敗だろう。なのにこの冷静さは何だ。


[経緯いきさつ]

 旧上級貴族達の粛正があったのは数年前で、俺がまだ義塾生をしていた頃だ。その頃にはすでに水車駆動の紡績機と機織機が実用化されていて、王室の資本で綿花の産地である旧公爵領内に工場が建てられた。金が回り、好景気になった。物価は上がる。

 ところが公爵家の税収はむしろ落ち込んだ。

 手作業で織っていた布が売れなくなった。商家の納税は間口の大きさに依るため好景気分の税の増収はない。税制を変えれば商家の領離れを招くだけである。

 斯くして禁じ手をはなたざるを得なくなった。領内ユンカーへの課税である。

 これは王家への挑戦と受け取られた。


「公爵は王たらんとするか」

 騎士団が編成され公の居城が包囲された。ユンカーは直参でさらには納税を免除されている。つまり、貴族だ。

 貴族に課税出来るのは王のみ。反逆罪が成立した。

「そんな単純な話じゃないんですけどね」

 副団長といくらかのやり取りをして引き出せたのはその台詞だった。


 その事件が皮切りとなって南部一帯の上級貴族が粛清された。それ以外の貴族についても軍権を放棄する事で所領を安堵されている。

 単純じゃない話が裏にあるのだろうよ。

「それより同道願いますね、将軍閣下」人質か?ピンと来ないな。

「部下の生命は保証して貰う」


[羽気球]

 副団長は旧公爵家に連なるものだ。いくら司直から赦されたと言っても疑う者はいる。当時から付き従っている団員達にも同様の眼が向けられた。

 それが強い結束を産み短期間で功績を積むことを可能にした。

 副団長に昇進した。疑う眼は現団長を中心としてさらに強くなった。

 暴挙に出た背景にはそんな事があるんじゃなかろか、馬車に揺られながらそんなことを考えた。クーデター起こすような人物に見えんのよ、実際。

「降りて頂けますか」目的地についたようだ。

 副団長は箱を取り出して何事か話し掛けている。程無くよく知っている音が聴こえてきた。

 羽気球の羽ばたき音だ。


「内通とは見損なったぞ」

「裏切ったのは、王家の方ですよ」まあ、解らんでもないが立場上非難しない訳にはいかんのよ。

 羽気球はむちゃくちゃ揺れた。渡されたゲロ袋はもうパンパンだ。ちなみに副団長は乗っていない。騎馬で隣国まで抜けると言う。

 でもなあ、羽気球使えるなら王城空襲出来たんじゃないか?

 もしかして、目的は初めから俺?

 まさかな。

 闇に紛れて王国軍の陣地を飛び抜けた羽気球は隣国軍の砦に降り立った。着陸位置を示すカンテラを並べた図形が合理的で、感心させられた。

「さすが航空では一日の長が・・・」

 操舵手に言ったのだが、言葉が通じなかった。


「テイコクつよい トブ仕掛つよい」

 片言の通訳を伴って砦守護らしき者が来た。テイコクとは隣国人が自国を指すときに使う単語で、大きな国とかそんな意味だろう。トブ仕掛てなんだ?気球の事かな?

「お前シヌ キコクトブ仕掛 ヨワイなった。お前イキル ツヨイなった」なんだ?いきなり死刑宣告か?

 それから小一時間やり取りが続き、互いにハテナマークを多数頭上に浮かべて尋問らしきものは終了した。

「ウチより立派じゃね?」

 軟禁された部屋は高級士官用の居室と思われた。敵の方が待遇良いとはこれ如何に、てやることが多すぎて空軍府の居住性にまで手が回らないだけなんだけどね。


[召喚勇者]

 またもや羽気球。身振り手振りでゲロ袋は三枚確保した。湖に向かって飛んでいる。何かあるのか?

 揺れに会わせて体を揺するといくらかましな気がする。ついでに日頃の運動不足を解消するか。

「ほい、ほい、ほいほい」つい声が出る。

 振り返った操舵手に睨み付けられた。はい、静かにします。

 湖は大きい。イバーラクとイェードゥ、足してもすっぽり入ってしまうくらい大きい。

 岸辺に大船と数隻の小舟って、ありぁイェードゥの飛空艇じゃないか。形状の謎が解けたな、水上を滑走して揚力を得る算段か。底面がV字型なのも発動機の位置が高いのも、納得だわ。

 羽気球は大船の上に降りた。


「あなたは●◎▼ですよね」のっぺりとした顔付きの少年期から脱したばかりに見える青年に流暢な王国語で訊かれた。一部聞き取れない、それより口と声が合っていない。翻訳魔法とか言うやつかな?

「すまん、聞き取れなかった」わんもあぷりーず。

「……いや、いいです」

 しばらく口ごもっていた彼はやがて意を決したように顎を挙げて語り出した。

「実は俺、召還者なんです」

 正しくは被召還者な、召還者だと召還をした者になってしまうぞ。

「そうなんですか?」

 いきなり召還されて帰る方策を探していたらしい。俺の噂を聞きてっきり同じ「被」召還者だと以下略。


「帰るのは無理だぞ」

 言おうか迷ったが、この際はっきりしておいた方が良い。

「質量とエネルギーは相互に置換できるって知ってるか?」

 これは魔法の大原則だ。イーイコールエムシージジョウの呪文は魔法学の初等科の最初に教えられる。凡そコップ一杯の水を呼び出す為には、大都市を灰塵にするだけのエネルギーが必要になる。

 五十キロ以上はあるだろう青年を呼び出すのに必要なエネルギーをどこから調達したのか。それは、青年の元居た近傍でなければ召還した辺りになるが、叶わない。

 諸々を考え合わせれば五十キロの数百倍の質量を擂り潰してエネルギーに変えなければならないのだ。

「ぶっちゃけ、この星が滅ぶね」

 この星が無事である以上、エネルギーの捻出先は青年の故郷であり、既に存在していない。


[帰還]

 死ぬかと思った。いや、まじで。

 相手は[召還されし者]鼻息で王国吹き飛ばすような、チートな勇者様だし。

 荒れ狂って部屋の中ひっくり返して飛び出ていった。俺は壁に張り付いて難を逃れたと思いきや衛兵が入ってきて逮捕された。

 俺なんもしてないっす。あ、言葉通じないや。

 三日程放置されてから釈放された。今度は少し、格の落ちる部屋が軟禁場所だった。

「お帰しします」

 [被]召還者改め勇者様は取り乱した事を謝りに来てそう言った。

 へ?急にまたなんで?俺空軍司令、偉いさんだよ?一応。捕虜にしておいた方がお得じゃないの?

「戦争する意味無くなったんで」

 和平の申し入れだった。


 勇者は隣国軍の中で結構な位置にいるらしく、この作戦も彼の立案だったようだ。目的は神樹の確保と森人=エルフの懐柔。動機は、恐らく帰還方法の模索だろう。首脳陣の動機は当然別だろうが。

「エルフとは呼ばないほうがいいぞ」

 あれは、自分達を卑下して言う謙譲語と言う奴で、小さいとか下らないとかの意味があった筈だ。本人目の前にして「エルフ」と呼んだ日にゃ百年は憎まれる。寿命長いからね。もとい。

 羽気球が大被害を受けて事情が変わった。

 まさか現地人が

「ジェット機を開発するなんて思わないじゃないですか」

 噴進機の事かな。

 イバーラク王国に[被]召還者がいる。勇者はそう考えた。森の確保が困難になった事もあり、開発者と思しき[被]召還者を捕らえる事にしたらしい。


「でも、もう良いんで」紙をぴらぴらさせてサインしろと言う。

 和平の予備交渉をした事にするのか。こいつぁやべーな。

 親の仇どころか、自分の存在意義、拠り所、であった筈の故郷世界をイェードゥ=テイコクに破壊されただろうと言うのに、離反の気配もない。壊れちまったか?それとも……。

 とまれ、今回の事で勇者の立場は大分弱くなるだろう。もし予想通りなら逆に補強しなければならない。その為に必要なのは戦場だ。十分な武功をあげられるとしたら、王国しかないんじゃないか?

 多分、空軍の再編をすませ次第、和平破棄、今度は本格的に攻めてくる。

 十日程経って、軍府に帰還した。


[かつる]

「疑われている?」

 そりゃそうだろうさ、あっさり捕まった挙げ句これまたあっさり紙切れ一枚持って帰ってきたんだからな。これで誰も間諜を疑わないとしたら、国を預かる集団としてどうなのってなる。

 だがそんなこた、どうでも良い。今は大車輪で空軍を整備しないといかんのよ。まじで。だからそこんとこよろしこ to 長官。

 後顧の憂いは手紙一枚で振り払う。俺まじ有能。ちなみに、手紙本文は普通に丁寧語です。


「だから、これは変」

「こっちはこうじゃねえのか」

 シャオと工廠長が俺の描いた下手くそなラフを持って質問に来た。てより、ダメ出し?

 水車噴進発動機の説明でシャオが固まった。

「かつる!!」

 意味不明に叫ぶとシャオは突然飛び出していった。

「魚と鳥の合成魔獣がなんだって」

「揚げ物の類いじゃねえか?司令」

 気が抜けたので建艦の進捗状況やら、飛空艦用の投射機がどうなってるか、雑談した。雑談と違う?図面も無しなら雑談だろ?空軍じゃそうだぞ。

「ありゃ一から作りなおさにゃ使えねえな」

 とは投射機の事、蒸気圧が足りないと。

「長官が面白い物持ってきた」有望な武器らしい。

 後で見せてくれると言う。艦については、圧縮真空式に順次改装中、五番艦以降は図面を起こしてまるで別物になるようだ。真空圧縮型気球=飛空艇はもうすぐ組上がるらしい。

 射手が足りないなエルフうちにこないかな。


 そう思ってると本当に来た。エル……じゃなくて森人。若い女冒険者の付き添いがあって流暢な森人語を話す。まともな会話出来るってまじ最高。

「気球を分けてくれと言っている」

 いま、二分近く喋ってたよね?ほんとにそれだけ?

「要約した」

 言葉を節約するタイプの通訳だった。

 双気嚢の噴進付きでないとだめ?あれ高いんだよな…。じゃさ、射手頂戴よ。代わりに二機……少ない?三機?もっと欲しい?四機!これ以上は負からないよ、もってけどろぼー。

 森人の射手を二個小隊分確保出来た。誉めても良いんだよ。森に派遣してるのをそのまま譲る積もりでいたら、

「新品にかぎる」

 森人は商売も上手だった。


[遭難]

 助手が来た。シャオが研究室に籠って出てこない?昨日から飯も食ってないって?トイレどうしてんだ?中に付いてる?いつの間に作ったんだ。まあ、いいや、飯持ってってやれ。

「それが、持ってくと廊下に置いてけって言うんすけど」

 食べるの忘れて置きっぱなし?だめだこりゃ、踏み込むぞ二三人呼んでこい。

 こうして我が空軍の花、主任研究員兼筆頭魔術師は無事救助された。なんで研究室で遭難するかな。シャオには鍵掛け禁止、助手にはシャオに必ず誰か付けるように申し渡した。

 ついでにシャオのこさえてる物を見たが、一見まともにみえて相変わらず訳の分からない物だった。なんで筒の中に歯車が並んでるんだ?


[対流する何か]

 工廠長が来た。

「いつまでも来ないから、迎えに来たぜ」

 そう言えば何か見せてくれるって言っていたな。なんだっけ?襟首をひっ掴まれて引き摺られた。司令の扱い雑じゃね?

 一見して銃器と分かる物だった。

「弾の代わりにこれを撃ち出す」

 渡されたのは極端に短いボルトで長さは男性の中指ぐらい、鏃がほぼ半分を占めていて円筒の先を尖らせた形になっている。矢羽根がバレルと干渉しないようにする工夫だろうか。

 矢羽根はほんの少し斜めに着いていて仮に狂いがあったとしても、螺旋状に飛ぶことで最低限の命中率を担保する工夫がみられる。

「だが、当たんないんだよなあ」

 工廠長が言うには期待値ほどの命中率が出ないのだと。


 そこにシャオが来た。

「呼ばれて飛び出てジャ……以下略」

「おう、待ってたぜ、調整頼むわ」

 実験室の真ん中にテーブルが置いてある、上にはドラム缶を縦に切って天板と底を抜いた様な物が横倒しに置いてある。その回りに設置してある魔石に順繰りに触れながらシャオは呪文らしき物を呟いた。

「オーケーだよ」

 その声と共に回りにいた数人の研究員が物陰に身を隠す。なにごと?調整が上手くいかないと

「どこ飛んでくか分かんないのよね」え?弾が?

 鋭い発射音と共に撃ち出されたボルトは、しかし、どこへも飛んでいかず……。

「なんで止まってんの?」

 縦切りにされたドラム缶の中程で、緩やかに回っていた。


 そして、神が降り立った。

「真空を対流させた」

 いや、しないから、それもう真空じゃなくて別の何かだから。

 シャオとギャンギャンモードに入った処でゴン、カポンと音がした。俺とシャオの頭が叩かれた音だった。

 シャオがゴン、俺カポン、中身空ですんません。

「どうでも良い事で」実験を止めるんじゃねえ。

 と凄む工廠長。どうでも良い事なの?問題はドラム缶の上で回っているボルト?

 軸ブレがあるのか先端が円を描いて回っている。

「味噌擦り運動ってやつだ」

 味噌擦り運動自体は回転するように調整されたどんな矢、ボルトにも発生する。むしろ発生してくれなければ個々の矢羽根の癖に拠り一定方向に逸れ続け、的に当たらない。

 味噌擦りが大き過ぎ、回転も緩すぎた。

「鏃の形とバレルの内径」シャオが一目で原因を看破した。

 看破出来たのは容易に飛翔状態のボルトを観察できる真空対流ドラム缶のお陰だろう。

 GJシャオ、今度昇進させて挙げよう。


[逃げるぞ]

 雪が降り始める少し前くらいから凍結によるトラブルが出始めた。小さな湯石を放り込んで置けば水タンクが凍りつく事は無い。

 問題は配管で、きちんと水抜をしないと、早朝の始動時に思わぬ事故を起こす。いや起こした。起こしまくった。

 だって初めての冬だし……。

 凍結の配慮がまるっと抜け落ちた設計というより、そんなノウハウが皆無だったのだ。

 湯石を使うことを思い付く前には、食塩を添加して凍結を遅らせる実験なんかもした。塩素が発生して偉い目に遭った。高濃度高温でないと発生しない筈なんだけどね。

 ちょっとしょっぱいが飲め無い事もないレベルで発生するのは流石に怪訝おかしい。シャオは内部での情報書き換えの余波ではないかと予測。

 調べる余裕が無いので魔法学の専門家に放り投げた。


 塩素騒動で俺も含め研究員が何人か喉をやられた。丁度医療スタッフが演習場に出払ってて、焦った。

 シャオが魔術治療の資格を持ってたので大事には至らなかったが、医療関係を拡充する事にしよう。心当たりは……義塾しかないや、コネとかないし。参謀長に行って貰うか、俺が王都に行くと捕まっちゃうし。参謀長が演習から帰って来たら打診してみるか。

 王都に気が向いたら忘れていた事を思い出した。

「そいやシャオ」

「なに」

「クーデターさ、兵部省以外の被害ってどうだったの?」

「今更?」

「うん、今更」

「ゼロ」

「ん?」

「襲われたの兵部省だけ」

「まじ?」

「ん、まじ」

「じゃ、クーデターじゃなくて、ただのテロ?」

「ただのテロ」なんかヤバい気がしてきた。


 君側の奸を討つ、動員されて来た騎士団員たちはそう教えられたそうだ。罪なしとされ、すぐに釈放されたと言う。君側の奸は長官の事を指し、副団長は一部で未だに英雄視されているらしい。

「気球は?明らかに気球を逃がしたのを悔しがってた……」

 そこで勘違いしていた事に気がついた。

 長官を取り逃がしたのを悔しがってたのか。

「俺が拉致されたのは?」

「失敗した以上確とした証拠が必要、司令を手土産に隣国に潜入すると」

 なんとシャオ十文字以上喋れたのか、じゃなくて長官間諜と疑われていたのか。いやまて、その流れで俺がすんなり帰って来たら、俺も長官も状況真っ黒じゃね?最悪気球研究所出は全員拷問室送りだ。

「逃げるぞ!」

 もういつ憲兵が来てもおかしくない。


[用意万端]

「森にいくんだろ?俺も行くぜ」どこから聞いていた工廠長。

「春からの敵の侵攻を考えれば、今のうちに作戦司令部を森に移すのは良い考えですな」

 参謀長まで

「手続きは此方で済ませますので先のりをお願いします。」

 参謀長はそう言って立ち去ったが「何処から出てきたんだ?」

 今すぐ動かせるのは飛空艇一隻くらいならあるだろう、三人のりだから間に合うな。ドアを開けるとヤーモット少尉が直立不動で敬礼していた。

「自分もお供するであります!」

 君はいまから中尉だ。権限のあるうちに階級上げてやらんとな。

「中尉、動かせる船はいくつある」

「此処にあるのは全部動かせるぜ」工廠長が話を横取りして答えた。

 こんな事もあろうかと、俺が帰ってきてから参謀長と諮って準備していたのだそうだ。


 ドックに入ると、部隊が整列していた。えと、これって、前々から空軍がヤバいって知ってたって事だよね。

 しかも付いてくる気満々だし。知らなかったの俺だけ?教えてくれても良いじゃないか

「知ってて準備してるのかと」

 肩を竦めてシャオ。皆ウンウン頷いてるし。

 飛空艦三艦飛空艇四機噴進二連気球三機、空軍主力丸ごとのなし崩し夜逃げ大作戦が今発動した。俺たちの冒険はこれからだ。


怪しげな相対性理論が開陳されましたがこの世界では魔法学の基礎理論と言う事になってます。

もっともシャオの言うには、物質の基幹構造を書き換えれば「そんな無駄なエネルギーは要らない」そうです。

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