恋愛
「えっ?」
私は耳を疑った。
「だから、なんでお前のお父さんと会わなくちゃならない?」
彼はイライラしているのに感情を押し込めながら根気よく私に言い聞かせるように言った。
「俺たちはつきあっていた。たしかに。でも、だから俺がお前のお父さんに会わなくちゃいけないとは決まってないだろう?」
「でも…」
消え入りそうな声で反論を試みる。
「いずれ結婚しようって言ったじゃない」
「あの時はそう思っていたよ。でも今はそう思っていない」
拒絶の言葉に足ががくがくする。
「もうこれきりだ。もう、会わない」
「待って!」
振り向きもせず、彼は泣きじゃくる私を一人置いて部屋を出ていった。
☆
僕は2個年上の姉さんに恋をしていた。
血がつながっているから、近親相姦だと友人は言う。
姉さんは陰陽師の系統の血を色濃く受け継いでいて、なんの取り柄もない僕は姉さんの足手まといにだけはなりたくなかった。
姉さんが危ないときは、僕の全身全霊をかけて護ろうと心に誓っていた。
たった一度だけ使えるウツシミノジュツ。
僕を身代わりにできる。
アイシテル。だからこれは魂の契約だ。
いつだって覚悟はできている。
胸のざわめきが、わかるかい?
生きているって今感じてる。
姉さん!
☆
春の宵、船遊びをした。
川面に映る二人の姿は限られた時だけの幻。
桃の花咲く小枝を手折ったあなたは、私の髪にそっとさしてくれた。
未来はわからない。ここにあるのは今という時だけ。
あなたは明日、奥さんと子どもたちの元へ帰ってしまうのね。
見上げた夜空に朧月。涙がにじむ。
☆
ジェットコースターみたいな恋ね。
目まぐるしく変わる景色。スリルを味わうごとに胸が高鳴る。
激しい抱擁。
私たちは紺色の夜空に愛を叫ぶ。
世界中に響けこの幸福感の鐘の音。
生命という名のもとに私達は無限の恋愛を手に入れることができる。
そう。あなたと一緒ならば、必ず!




