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ネット小説は一期一会が魅力

作者: 瀬依

 ネット小説を読み続けて何年もたつ。PCやガラケーからスマフォと端末は変わったが、飽きずにずっと読んでいる。それほど何年も惹きつけられるのはどうしてなのか考察してみる。


 結論は、タイトル通り、一期一会の一言に集約される。


 一期一会が魅力なのはなぜか、説明する前に、ネット小説の特徴のうち私にとって重要な点を説明したい。ネット小説の特徴のうち、私にとって重要な点は2点ある。一つ目は、無料なところで、二つ目は、多様な人の視点から多様な物語があるところだ。


 一つ目は無料な点である。これは、お金のない身にとっては非常に重要なところである。お金がないため、本を買う時は、覚悟をする。この本を読もう!と思って買う。一冊は1000円以内程度で大したことない額ではあるが、気軽に出そうと思う額でもない。そのため、本が自分にはまらなかったときのがっかり感は、大きく自分の中に残る。途中で、合わないな…と思っても、せっかく買ったんだし!と思って読み続けるのは苦痛であり、今日も読み終わらなかった…と本を見つめることが多くなる。そのたびに、買った後悔が募り、読めない自分にもちょっと呆れる。

 しかし、合わない本は合わないのである。その本が、残酷な内容、感動的な内容、一般的に見て評価が高いなど、本の質とは関係ない。また、その本の傾向が嫌い、好き、という自分の感情とも関係ない。ただ、自分に合わない書き方、内容だったというだけで、ただ読めずに終わる本というのが私には一定数存在する。そのため、本を買うことはギャンブルと同じ感覚がある。

 その点、ネット小説は、無料のためその感覚を抱かずにいられる。あらすじに惹かれて読んでみる。そして、合わないと感じたらその時点で、読まないという選択ができる。読まなくても、お金を払った後悔を抱かなくてすむ。そのため、後悔なくいろんな小説を試せ、合わない小説が存在する私にとって非常に重要な点だ。


 次に、多様な人の視点から多様な物語があることである。これは、本当に面白いと思う。多様な人が投稿しているため、多種多様な物語がある。テンプレや流行などもあるが、それをどのように書くかには個人の視点が反映されている。そのため、自分と違った視点を読むたびに感じてこういう考え方もあるんだな、テンプレもこういう視点から見れば違う面白さがあるのだなと感じられて、本当に面白い。

 登場人物に関しても、同じ出来事に関してその発想はなかったという行動に至ることが多々ある。登場人物の行動ではあるが、その大本には作者さんのなんらかの視点があるため、その違いを感じることが本当に楽しいと感じる。

 ネット小説は、その気軽さから、膨大な量の投稿がされている。そのため、いろんな人の視点からの物語を大量に読むことができる。そのため、飽きが来ない。日々楽しい発見をしながら、興味を惹かれ続ける。


 以上より、無料で大量の作品を読めることがネット小説の特徴で私にとって重要なことであった。それゆえ、飽きずに読み続けることができ、何年も惹きつける魅力である。しかし、この二点だけでは、毎日のように更新をチェックしたりする行動には結びつかない。この魅力を前提に、ネット小説のトラップともいえる特徴が、さらに、ネット小説から離れることを抑止する。それは、完結するかわからない、いつ消えるかわからないという点である。


 これは一見デメリットのようにも見える。しかし、この二点があるから、ネット小説から足を洗うことができない。この二点は、「完結するかわからないけれど、もしかしたら完結するかもしれないから、読もう」「いつ消えるのかわからないけれど、消えないうちのもう一回読んでおこう」と二つの思いを呼び、サイトにアクセスする行動へと向かわせる。

 例えば、この主人公はその後どうなるんだろう…と思いながら、更新は停止されていることがある。しかし、作者さんは「いずれ完結予定」とのこと、では、更新されるその日まで待ってみようと待つことを選択する。あるいは、「昔読んたこの話が読みたい」と突然思い立って昔読んだ物語を検索することがある。そこで、見る「この小説は削除された可能性があります」あるいは「Not Found」の文字。この文字に、はかなさを感じ、もう二度と読めないんだなと思うこともある。この思いによって、消えないうちに読んでおこうという意思は強くなる。また、無料であることから、「完結させてください」「消さないでください」という権利はこちらにない。そのために、今読んでおこうという気分になるのだ。


 そのため、ネット小説との出会いは一期一会なのだ。


 無料であり、多数の小説を好きなだけ読める。そして、お気に入りの物語もできる。しかし、その物語が完結するか、いつ削除されるのかわからない、そのリスクが私をネット小説へと私を急き立てる。

 もちろん、PDFに保存という選択もある。しかし、PDFに保存した段階で、いつでも読めるという安心から読まなくなる。これは、実証済みの私の行動なので、間違いない。また、書籍化されたものを買うという選択もある。しかし、それは、私にとって重要な前提を覆すことのため、私は好まない。


 そのため、私の結論としては、ネット小説の魅力は一期一会だ。

 一期一会だからこそ、その出会いを大事にし、新たな出会いを求めて、日々アクセスする。そのため、抜け出せずに日々アクセスするという循環になっていると考えられる。

 以上、ネット小説に何年も惹きつけられる理由についての、私の考察だ。



 追伸 男友達が、エロ動画の出会いを一期一会と称していた。その時は、そんなものかと思っていたけれど、この考察を通して彼の気持ちがよくわかった。

 人が惹かれる点は同じだということなのか、なんなのか…オチがこんなことになって申し訳ないが、付け加えておく。

 自分の考えを綴っただけの文章を、ここまで読んでくださってありがとうございます。

 もう少し読み手を意識したかったのですが、私が親しみのある文章が論文等のため、書きやすい形の文章で投稿させていただきました。これを、読まれた方にとっての、ネット小説の魅力もお聞きできたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ふと自分がネット小説を好きなのは何故だろうか、と考えたときにこのエッセイにたどり着きました。 私は元々漫画が好きだったのですが、漫画は1.2時間程度で読み終わってしまうのが物足りなくな…
[一言] このような感想を読むのも面白いものですね。 一期一会だからおもしろい、という点には非常に共感できます。 ただ、どちらかというと「一期一会」性が増すのはデメリットに強く要因があるようですね。 …
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