第四話「若頭」
これまでのあらすじ
買出しに出かけた飛鳥とウニは、ひょんなことからチンピラに絡まれてしまった。
必死で逃げるも追い詰められてしまう!
そこに現れたのは、ウニの親友、ホロだった。
第四話「若頭」
ホロ「ウニ君を傷つける奴は、僕が許さない!この場でしめる!」
サブ「うわあああああ!!!兄貴!!」
ハチ「た、助けてくれぇ!」
飛鳥(俺達は買出しの帰りに、チンピラとぶつかってしまい、彼らに追いかけられていた。そこを助けてくれたのが、亀貝先輩だった。先輩はクリオネとウーパールーパーのキメラで、髪の毛を触手のように伸ばし捕まえることが出来る。さらに・・・。)
ケンスケ「何?頭にもう一つの口だと!?」
飛鳥(捕まえた物を、頭にある第2の口に持っていき、食べることが出来る。普段はおとなしいけど、ひとたび怒ると恐ろしい先輩だ、亀貝先輩は。)
サブ、ハチ「く、食われる!!!!」
ケンスケ「ひるむな!お前ら、その腕の鎌とハサミで、触手を切れ!」
サブ、ハチ「へ、ヘイ!兄貴。」
飛鳥(俺達は丸まった状態から元に戻り、様子を見ていた。子分たちは一度第2の口に近づいたけれど、)
スパッ!ズパッ!
ホロ「あ!」
飛鳥(腕がハサミと鎌なので、いとも簡単に触手から開放されてしまった。着地のときもポーズを決めてるし。)
ケンスケ「ははははっは、残念だったな兄ちゃん。って、いねぇ!?」
飛鳥「消えた!」
ウニ「いや、奴らの後ろに回った!」
ケンスケ「何ぃ?後ろだと?」
飛鳥(真城先輩の言うとおり、亀貝先輩は後ろに回って、触手を伸ばした!!!)
ホロ「言ったよね、しめるって。僕は最後までやらないと、気がすまないんだよね。」
飛鳥(でもチンピラたちは学習していたらしく、2度目は食らわなかった。子分たちが、先輩の髪の毛を切りまくったのだ。)
ホロ「やりにくくなったなぁ。」
飛鳥(でも、先輩の髪はすぐに伸びるので、坊主になるという心配はなかった。それに、何回も切らせてるので、さすがに疲れてきたみたいだった。)
ケンスケ「これじゃきりがねぇ、さっさと片付けるぞ!うおおおおおおおおおおおおお・・・・・!」
飛鳥(そういうとチンピラは体を震わせてうめき声を上げ始めた。)
飛鳥「何だ!?何か始まりそうだ!!!!!」
ウニ「嫌な予感がする・・・・。」
ホロ「・・・、何する気?」
飛鳥(そのとき俺は、とんでもない物を目撃した!)
飛鳥「ななななな?!何だこのキメラは!!!!」
ケンスケ「俺は天下の兎影組オジキの一人、イグアナとヒトデのキメラであるケンスケ様だ!俺を本気にさせたことを後悔させてやるぜ!」
飛鳥(チンピラの体はイグアナになっていたが、顔が・・・ヒトデの裏返したような感じになっていた。一言で言えば気持ち悪い顔だ!)
ケンスケ「いいか、触手っていうのは、こうつかうんだあああああああああああ!!!!!」
ホロ「顔のでっぱりが、のびてきた!!!何これ気もい!」
ウニ「こっちにも何気にのびてきてるし、こっちもやばい状況だ!」
飛鳥「ああああああああ、今度こそ俺は最後なのか?」
ウニ「神谷君は俺が守る!」
ホロ「ウニ君は僕が守る!」
飛鳥「先輩達、ありがとう!って・・・、つかまったし!」
飛鳥(俺をかばった、先輩達はチンピラにまんまと捕まってしまったわけで。)
ケンスケ「ははははは、どうした?キメラ能力はどうした?力が出ないから、使えないとか?」
ウニ「う・・・。」
ホロ「どうしよう・・・?」
ケンスケ「さっきの反撃を何倍に返してやろうか?あ?」
飛鳥「先輩!先輩!」
サブ、ハチ「やっちまえ、兄貴!」
ケンスケ「おうよ!」
飛鳥(チンピラは先輩達をたたきつけようとした・・・そのとき!)
「やめろ!ケンスケ!」
飛鳥(どこかで聞いたような声がした。)
ケンスケ「そ、その声は・・・。」
サブ、ハチ「若頭!」
飛鳥「え?」
飛鳥(声のするほうを向いた俺が見たのは、兎影の姿だった。いつもの人間の姿じゃない。耳は兎の耳、そしてトカゲの尻尾が生えている。そういえば、このチンピラは兎影組のオジキだって言ってたな。)
ケンスケ「若頭、なぜ止めるのです。こいつは俺を攻撃してきて。」
キョウカ「その人たちを許してあげて!僕の先輩と、大切な友達なんだ!」
ケンスケ「そいつは人間です!キメラが人間の味方をするなど、聞いたことがない!下等な人間は、キメラによって倒されるべきなんです!」
ウニ「それは違う!俺は人間が好きだ!倒すなんて出来ない!」
ホロ「人間は調べれば調べるほど、深い生き物なんだ!人間を馬鹿にするキメラなんて、信じられない!」
ケンスケ「まだ言うかこの腐れキメラ野郎!」
ウニ、ホロ「うわぁ!」
キョウカ「!」
飛鳥(次の瞬間!兎影はすごい速さで動き、先輩達を助け出し、俺の前で両手を広げた。)
ケンスケ「邪魔をする気ですか?若。」
キョウカ「若頭として命ずる。僕の大切な人たちを、これ以上傷つけないでくれ!もし傷つけたら、僕が許さない。」
ケンスケ「・・・サブ、ハチ、ずらかるぞ。」
サブ、ハチ「ヘイ、兄貴。」
飛鳥(そういってチンピラたちは、元の姿に戻り、帰っていった。今回の騒ぎで、俺は何度心臓が止まりそうになったか・・・。そのたびに先輩や、兎影の世話になったし、どれだけ俺がこの世界で非力なのか分かった気がする。この世界で生きるためには、俺ももっと強くならなきゃな。)
キョウカ「神谷君、うちの組のものが、君を危険な目にあわせてしまって、ごめん。」
飛鳥「お前のところって、こういうやつらばかりなのか?」
キョウカ「派閥があるんだ。人間保守派とアンチ人間の二つ。保守派が大半だけど、あいつらは少数派閥なんだ。うちの組は普段、人間は守る方針だから、安心してほしい。」
飛鳥(帰り際、兎影は実家の事情を話してくれた。極道の世界も大変なんだなぁ。)
飛鳥「へがあああああああああああああ!辛い、辛い、辛!!!!!!!!!!!い!」
カオル「あら、人間ってハバネロ食べたくらいでリアクションが大きくなるのね。」
飛鳥(そのあと、俺は買出しの帰り以上に怖い思いを味わった。俺は、絶対強くなってやる!)
←続く
今回もオリジナル版にはない加筆が終盤に存在します。
派閥についての説明になっています。
本編では、あまり関係ないかな?
次回は、久しぶりに生徒会長が登場します!