第三話「事件」
これまでのあらすじ。
ひょんなことから飛鳥はカオルから買い物を頼まれてしまった。
そして成り行きで、ウニと買い物へ行くことに。そして怪しい影も・・・。
第三話「事件」
飛鳥(金印部長の無茶振りな指令で、俺は真城先輩と一緒に、お使いに行くことになってしまった。で、ここは学園の近くのスーパー「カタツムリチェーン」。俺の世界でもあるスーパーで、後で聞いた話だが、実はキメラの世界が発祥のちなんだそうだ。知らなかった・・・。夕方なので、たくさんの女性が買い物に来ている。)
飛鳥「なんだ、キメラだっていっても、買っている風景は人間とあまり変わらない・・・!?え?」
ウニ「そんなことはない。みてみろ。」
飛鳥「あああ、足!足がタコの足に!そして商品を片っ端から入れてる!で、首が後ろ向いた!うわあっ!あっちは舌で舐め採ってかごに入れてるし!って、お尻からなんか糸が出てるし!」
ウニ「これがキメラ流の買い物の仕方だ。見るのも嫌になる。」
飛鳥「相当嫌いなんだな、キメラのこと。あの、先輩はどうしてキメラのこと・・・」
ウニ「訊かないでくれ!迷惑なんだよ。俺は、それを訊かれるのが大嫌いなんだ。例えそれが、神谷君であっても。」
飛鳥「先輩・・・。」
飛鳥(そして何とか言われた物を買った俺達は、スーパーを後にした。そして、その帰り道・・・。)
ウニ「すまないね。会計やらせてしまって。」
飛鳥「いいんすよ、先輩の頼みですから。後輩の俺が先輩を助けてやらないと。」
ウニ「ありがとう。一つ借りが出来てしまったな。」
飛鳥「そうですね。あっ!」
ケンスケ「あいってぇ!」
飛鳥(不意に俺は、誰かとぶつかってしまった。)
飛鳥「すみません・・・!?」
ケンスケ「何がすみませんだあ?痛かったじゃねーか!」
飛鳥(なんか見るからにチンピラな男キターーーーー!!リーゼントにアロハシャツ、グラサンにタバコなんて、典型的チンピラじゃないかーーーーー!!!)
飛鳥「ひいいいいいいいいいい!!!!!ごめんなさいごめんなさい!」
ケンスケ「ごめんなさいじゃ済まさねーんだよ!どう落とし前つけてやろうか、ああ?ん?よく見たらお前・・・人間だな?じゃあなおさらゆるさねぇ!」
飛鳥「あばばばばばばばばばばばばば!!!!!」
ウニ「神谷君、こっちへ。」
飛鳥「先輩?」
飛鳥(すると先輩が俺を抱きしめて後ろを向いた。次の瞬間、先輩はくるっと団子虫みたいに丸まった。先輩の体は、硬い甲羅みたいな物に包まれてしまっている。正面は除いて。俺は正面で抱きしめられているので、ごつごつした感触はしなかった。つまり・・・。)
ケンスケ「ん?キメラの能力を使ったな。かめかアルマジロだな、甲羅で身を守るのは。馬鹿にするんじゃねぇ、このケンスケ様のパンチは甲羅よりも固いんだぜ!」
飛鳥「わあああああああ!」
飛鳥(ケンスケと名乗ったチンピラのパンチが来る!と!?)
グサッ!!!
飛鳥(何かが刺さる音がした。)
ケンスケ「ぐああああああああっ!!甲羅からとげが生えた!もう一つの能力だな。おもしれぇ、サブ、ハチ、こいつのとげを全部切り落とせ!」
サブ・ハチ「へい、兄貴!」
ウニ「いけない!神谷君、逃げるよ!」
飛鳥「逃げるっていってもどうやって?」
飛鳥(そういっているうち、ケンスケの子分はキメラ能力を発動したらしく、一人はカマキリの腕とイグアナの尻尾、もう一人はカニの腕とイグアナの尻尾が生えた。明らかに真城先輩を狙っている。)
ウニ「この状態だから、転がって逃げるに決まってるじゃないか!」
飛鳥「ええええ!!?俺はどうなるんすか!?」
ウニ「耐えてくれ。できれば吐かないでほしい。」
飛鳥「無茶言わないでくださいよ!ってわっ!」
飛鳥(俺が言ってる最中に、先輩は転がり始めた。)
ケンスケ「あ、こいつら逃げやがった!追いかけるぞ!」
サブ・ハチ「へい、兄貴!」
飛鳥(チンピラたちは執拗に俺達を追いかけてくる。しかし、先輩が転がって逃げているので、こちらのほうが断然早い。)
飛鳥「ちょっと眼が回りますけど、余裕で逃げられるじゃないですか?このまま学園まで逃げましょう!」
ウニ「・・・そうしたいんだけどなあ、実はこの方法、あまりよくないんだ。」
飛鳥「なぜっすか?」
ウニ「まっすぐしか進めない。」
飛鳥「マジで!?」
ドカッ!!!
飛鳥(その後、俺達はT字路にぶつかってしまい、チンピラたちに追いつかれてしまった。)
ケンスケ「はぁ、はぁ。やっと追いついたぜ、坊ちゃんよぉ。落とし前の続きやろうや。この俺に抵抗するんならなあ、ただじゃ返さねぇぞ。やっちまえ!」
サブ・ハチ「へい、兄貴!」
飛鳥(そういって、ケンスケの子分は、キメラ能力を発動したまま、俺達に襲い掛かってきた!)
飛鳥「今度こそもうだめだ!」
ウニ「・・・・!」
飛鳥(と、そのとき・・・)
サブ・ハチ「うわああああああああああ!!!」
飛鳥(子分たちがなんか触手のような物に巻かれて、宙に浮いてしまった!)
ケンスケ「ど、どうしたんだお前ら!?」
サブ「あ、兄貴ぃ、助けてくれぇ!」
ハチ「なんか触手のような物がああああああ!!!」
ケンスケ「くそったれぇ、何者だ!?」
飛鳥「あ・・・。」
ウニ「ホロ君!」
飛鳥(その先輩は、何もないところからスーッと現れた。いつも縛ってある銀色のロングヘアはほどけて、触手のように伸びて、その子分たちを捕まえてくれていたのだ。先輩のキメラ能力だ。)
ホロ「何者って・・・ただの高校生だけど。キメラの。」
飛鳥(亀貝ホロ先輩。2年生で、真城先輩のルームメイト。同じ人間研究部で、かなり影が薄く、出席しているのかしていないのか、よく分からない。ただ怒らせると、かなり怖い。俺でも殺されそうになったくらいだから。)
ホロ「ウニ君を傷つけるようなやつは、僕が許さない!この場でシメる!」
飛鳥(その顔は、普段から想像が付かないくらいの形相だった。って、俺は?俺はこれからどうなるんだぁ?)
←続く。
いかがでしたか?
今回の内容は、オリジナル版をちょっとだけ改変したバージョンになっています。
いろいろ後で加えましたので、追加設定なども兼ねています。
内容は変化していませんがね。
どう変化したのかは、オリジナル版を合わせてみれば分かります。