第十四.五話「俺の妹と親友と見つけた恋」 文美紗 編集せお
キメラサンクチュアリの美紗さん文の番外編です。
ヒヨリ「兄さん、遊びに来ましたよ」
ツキヒ「こんにちはーフウちゃん!」
フウリ「帰ってください」
今日は面倒見がよすぎる妹とその友人が寮の部屋に遊びに来る日、だった
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ヒヨリ「なんですか、帰ってくださいって。せっかく遊びに来てあげたのに帰れって失礼ですね」
フウリ「遊びになんか来なくていいって言ってるんだ。帰ってください」
ヒヨリ「可愛い妹が遊びに来たんですよ。もうちょっと歓迎しても良いのではないのですか?」
フウリ「歓迎するもなにも、あれはなんなんだ?」
俺が指差した方向には俺の部屋にある漫画をあさり読みふけるツキヒがいた
ツキヒ「フウちゃん、この巻の続きないのー?」
フウリ「居座ってくつろぐ気満々じゃないですか!!」
ツキヒ「だって寮だとこうやって漫画広げて読んで笑ったりできないんだもん。いいじゃん、いいじゃん」
フウリ「うちにも生徒会長という恐い存在いますよ?」
ツキヒ「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
フウリ「……鏑木さんはこんな横暴なんてしない綺麗な人なのに」
ヒヨリ「何か言いました、兄さん?」
フウリ「いえ。人の部屋を別荘みたいにしないでください…」
ヒヨリ「ツキヒ、あまり散らかさないでくださいよ。ヒロ君の部屋でもあるんですし」
ツキヒ「わかってるよー。だからヒロちゃんがいない日を狙って来たんだし…ほら13巻は?」
フウリ「もう…はいはい」
俺はツキヒに漫画を手渡したのだった
そして……
ツキヒ「うぅ…いい話だなぁ…友達を助けるなんて、コウタロウはいい奴だよ。あ、フウちゃんティッシュもうないよー!」
ヒヨリ「もう、ツキヒは…。はい、新しいティッシュ箱ですよ」
フウリ「なんで二人とも馴染んでるんです…。ヒヨリもノートを広げて勉強しようとしない!帰れっ!!」
ヒヨリ「だから遊びに来たと言ったじゃないですか」
フウリ「これは遊びに来たとは言わない!思い切り自分の部屋風になってる!!」
ツキヒ「フウちゃん、敬語忘れてるよー」
フウリ「誰のせいだよっ!!」
あれから2時間ほど経過しても帰ろうとしないこの二人に俺は我慢の限界がきていた
フウリ「しかもそろそろヒロオが帰ってくる、ヒロオとは鉢合わせしたくないんだろ」
ツキヒ「あーヒロちゃんは色々うるさいからね。ギャーギャー言われたくないから帰るかなー。ヒヨちゃん用事すんだ?」
ヒヨリ「はい。兄さんとヒロ君の部屋の掃除もしましたし…もうする事はすみました」
フウリ「じゃあ帰れ!」
ヒヨリ「はいはい。…では兄さん。これ」
そう言ってヒヨリが手渡したのはタッパーだった
一気に俺に冷や汗が湧き上がる
フウリ「ヒヨリさん…これまさか…手作り?」
ヒヨリ「はい。大好きな兄さんのために愛を込めて作りました、お弁当です。夕飯にでもヒロ君と一緒に召し上がってください」
フウリ「……」
ツキヒ「お?フウちゃん嬉しくて言葉も出ないってか?」
フウリ「ツキヒ…お前はヒヨリの手料理の酷さは知ってるだろ?」
ツキヒ「うん」
フウリ「俺を見殺しにする気?」
ツキヒ「面白いかなー?って」
フウリ「面白さで人を遊ばないでください!?」
ヒヨリ「何コソコソ言ってるんです?兄さんとツキヒ。じゃあ帰りますよ」
ツキヒ「じゃあね!今度はフウちゃんが女子寮に忍び込んできてね!!」
フウリ「それは遠回しに俺に警備員さんに見つかり殺されろと!?」
騒がしい二人は俺の部屋から出て行った
俺は手渡されたタッパーを見て立ち尽くす
フウリ「これ…どうしよう…」
ヒロオ「今戻ったぞ!!……どうした、フウリ?」
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兄さんに会った後男子寮を出て女子寮に向かう
ツキヒ「久々にフウちゃんに会ったけど相変わらず楽しいね、からかって遊ぶのにぴったりだ」
ヒヨリ「もう、あまりからかっては兄さん困りますよ?」
そう話なから帰る途中、男子寮の方に向かう男子4人とすれ違った
ヒヨリ「……!!」
ツキヒ「ん?どした?」
すれ違った中の1人のとある人物の眼差しに私は何かの衝撃を、受けた
強くもあり、優しさもあるそんな眼差し
何かが全身にまわり、体温が上がる
胸がドキドキしている
ヒヨリ「これは…何?」
ツキヒ「? ヒヨちゃーん?」
私はツキヒの言葉は入ってこなくて立ち止まり先ほどすれ違った人を見つめる
ミオ「……ヒヨリ、ツキヒ。どうしたの?」
ツキヒ「あ、ミオちゃん。ねぇみて、このヒヨちゃん。真っ赤になって…どうしたんだろう?」
ミオ「これは…真っ赤になり固まる…目線の先には樹芽羅学園の生徒…ヒヨリ、恋した?」
ヒヨリ「恋っ!?」
ツキヒ「ははーん、一目惚れか!」
ヒヨリ「んなわけないでしょ!帰るよ、ツキヒとミオ!!」
ミオ「……ヒヨリ、敬語忘れてるわ」
ツキヒ「ツキヒを置いてかないでよー!」
それから私はその次の日から登下校時毎日、その人物を見つけてはみつめるようになるなんて今の自分には想像もつかなかった
私が彼を見つけて、恋に落ちた瞬間だったーーーー
完
いかがでしたか?
次回はスタメン発表です。