第十二.五話「嵐のちLove Rainbow」 文ベアトリーチェ 編集せお
番外編その2です。
マリアとメリルのその後を描きます。
新たな恋愛フラグも?
第十二.五話「嵐のちLove Rainbow」
~キメラ学園~
ルキア「というわけで・・・放課後は、巡回警備をお願いします」
シハク「キメラフィーネには、警備員シスターがいたはずでは?」
ルキア「それが・・・過労で倒れてしまって、3週間は絶対安静との事なので・・・そうですよね、シスター峰岸」
峰岸「ええ・・・それで、キメラ学園の方にお願いしようと思っているのですが」
シハク「なるほど・・・何人くらい必要ですか?」
峰岸「2人いれば十分です・・・」
シハク「では、私と五木くんで警戒にあたります」
フウチ「わしもか・・・礼拝堂あたりか?」
シハク「そうですね」
フウチ「やれやれ・・・他にもいるじゃろ、警備できそうなヤツは」
シハク「文句を言ってるヒマがあったら、さっさと礼拝堂へ行きなさい」
フウチ「わかっとる・・・」
峰岸「では、よろしくお願い致します」
~礼拝堂~
フウチ「やれやれ・・・面倒じゃな・・・」
ぶつくさ言いつつも、フウチは警備をしていた
神聖な礼拝堂なので、祈りを捧げようと思い立ったフウチは瞳を閉じ長い祈りを捧げた
その様子を、掃除用具を持って入口から眺めている生徒がいた・・・
E組のクラス委員長・埜城メリルである
彼女は、たびたびマリアに掃除当番を押し付けた罰として、シスター峰岸から罰当番を言い渡されたのである
メリル「・・・?(あの制服は隣のキメラ学園の・・・もしかして、祈りを捧げているのかしら?)」
足音を立てぬよう、そっと礼拝堂の中に入ったメリル
ちらりと顔を見たメリルは、心臓を打ち抜かれたような感覚を覚えた
メリル「(小声で)まぁ・・・何て素敵な方・・・っといけない、掃除をしないとシスターに叱られてしまうわ!」
メリルは気を取り直して掃除を始めた
が、途中でブーツの紐を踏んで転倒してしまった
メリル「きゃあ!」
フウチ「・・・ん?誰じゃ?」
メリル「!! も・・・申し訳ございません・・・祈りを捧げているところを邪魔してしまって」
フウチ「謝らんでもええ・・・大丈夫か?」
メリル「は・・・はい」
フウチ「お前さん・・・何で掃除しとる?」
メリル「・・・鏑木さんに掃除当番押し付けてるのがシスター峰岸にバレてしまって・・・あ、鏑木さんって言ってもご存知ないですよね?」
フウチ「知っとる・・・キメラフィーネの生徒会副会長で、鼓舞像のライバルじゃろ?ちなみに鼓舞像は、うちの生徒会長じゃけぇ」
メリル「まあ・・・」
フウチ「罰当番になったのは、お前さんの自業自得じゃけぇ」
メリル「い・・・いきなり何を!」
反論しようとしたメリルの口を、フウチさんは素早くふさぎ耳元で囁いた
フウチ「もう少し、静かにするじゃけぇ」
メリル「・・・っ!!」
フウチ「お前さん1人では終わらん・・・わしも手伝ってやる」
メリル「け・・・結構でしてよ!」
フウチ「遠慮するな・・・」
結局、メリルはフウチの好意に甘える事にしたのであった・・・
掃除を終えた後、メリルはフウチに疑問をぶつけた
メリル「何故・・・あなたがここにいらっしゃるの?」
フウチ「警備を依頼された・・・それだけじゃけぇ」
メリル「なるほど・・・あの・・・掃除手伝って下さった事、感謝しますわ」
フウチ「ああ・・・っと、自己紹介が遅れたな・・・キメラ学園3年で、生徒会書記の五木フウチじゃけぇ・・・お前さんは?」
メリル「1年E組クラス委員長の埜城メリルと申します・・・よろしくお願い致します」
フウチ「2つ下か・・・埜城、ヒマなら話相手になってくれるか?」
メリル「えぇ・・・」
~キメラフィーネ女学院温室~
マリア「シハク様、ごきげんよう」
シハク「マリアさん、こんにちは」
マリア「シスター峰岸からうかがいました・・・警備をなさってるそうですね」
シハク「えぇ・・・マリアさんは1人でティータイムですか?」
マリア「えぇ、ルキアお姉様が急用で来れなくなってしまって・・・もしよろしければ・・・紅茶とフォンダンショコラはいかが?」
シハク「お気持ちはありがたいのですが・・・今はその余裕がありません」
マリア「では、また機会があったらいらして下さいね・・・ちゅふふ☆」
シハク「了解致しました・・・(不覚にも、かわいいと思ってしまいました・・・いえいえいけません。)」
~家庭科室~
メリル「ただいま、チカ」
チカ「メリル様、ちょうどいいタイミングでお戻りになられましたね~♪今スコーンが焼き上がったとこ・・・ってどうしたんですか?顔真っ赤ですよ!」
メリル「・・・私、運命の殿方に出逢ってしまったの・・・」
チカ「何と!メリル様が恋?コレは嵐の予感がしますねぇ♪」
メリル「うるさい!」
チカ「うぎゃ!蹴り飛ばさないで下さいよ~!!それで、その方とはどこで出逢ったのですか?」
メリル「さっき・・・罰当番で礼拝堂に来たら、いらっしゃったの・・・何でもシスターセシリアに代わって警備をしているらしいの」
チカ「ほうほう・・・」
メリル「五木フウチ様・・・素敵な方ですわ・・・」
チカ「こりゃ重症ですなぁ・・・では占いましょう」
チカはタロットカードを広げて混ぜた
そして山にして1枚引いた
チカ「当たるも八卦、当たらぬも八卦・・・メリル様の恋の行方やいかに?きえぇぇーい!出ました・・・私が引いたカードは「世界」の正位置!」
メリル「・・・それで?」
チカ「このカードは・・・タロットでは最高のカードなんですよ!いつかメリル様は、五木様と結ばれる運命なのです!!」
メリル「ほ・・・本当に?」
チカ「チカは嘘を言いませんよ・・・占い師の誇りにかけて!」
~C組教室~
オリエ「・・・というわけなのです」
シャナ「それでいいんじゃないの?あなたはずっと埜城さんにパシリにされてたんですし・・・」
オリエ「でも・・・確固たる証拠がなければ、停学に追い込む事は難しいと思います」
シャナ「そうね・・・今キメラ学園の方が警備にあたっているから、その方達に頼んでみたら?」
オリエ「そうですね・・・私はマリアさんとお友達になりたいから、メリル様の元から去りたい・・・だから頼んでみます!」
シャナ「その意気よ・・・頑張りなさい」
~夕方~
オリエ「・・・という事で、よろしくお願い致します・・・その時は、私も責任をとって停学処分受けますので」
フウチ「どうじゃ?鼓舞像・・・」
シハク「了解しました・・・では礼拝堂あたりの警戒にあたりましょう」
オリエ「あ・・・ありがとうございます!」
シハク「ところで・・・南里さんは何故、マリアさんの事を気にしておられるのでしょうか?」
オリエ「マリアさんと・・・お友達になりたいのです・・・ですが・・・」
フウチ「埜城がいるから、それが叶わない・・・という事じゃろ?」
オリエ「はい・・・」
フウチ「まかしとき・・・わしが埜城の味方になってやるじゃけぇ」
シハク「いきなり大風呂敷を広げましたね」
フウチ「本気なのに・・・えらい言われようじゃな」
3人がそんなやりとりをしている時、ルキアが血相変えて走ってきた
ルキア「鼓舞像さん達!ちょうどよかったわ・・・ちょっと礼拝堂まで来てほしいのよ・・・」
オリエ「な・・・何があったのですか?」
ルキア「マリアさんが・・・埜城さんに暴行されたの!」
オリエ「!! あぁ・・・」
フウチ「ほーう・・・埜城の化けの皮が剥がれたか」
シハク「のんきな事言ってる場合ではありませんよ・・・早く礼拝堂に行きましょう!」
フウチ「・・・わかっとるからそう怒るな」
ルキア「南里さんは、シスター峰岸を呼んで」
オリエ「はい!」
~礼拝堂~
ルキアの案内で、礼拝堂に到達したシハクさんとフウチさんが見たのは・・・意識を失い倒れているマリアと、その場に立ち尽くしているメリルであった・・・
ルキア「埜城さん、あなたは何て事を・・・」
メリル「白蠍会長・・・これは・・・その・・・」
言い逃れをしようとしたメリルに、ルキアはしっぽビンタをくらわせた
ルキア「言い訳は無用よ!よくも私の妹分を傷つけたわね!!」
メリル「うぅ・・・」
シハク「マリアさんは・・・気を失っているようですね」
フウチ「鼓舞像・・・」
シハク「何ですか?」
フウチ「あとはわしに任せて、鏑木さんを部屋まで搬送してこい」
ルキア「それが・・・マリアさんの部屋は、壁が壊れたので工事中なのです・・・他にマリアさんと付き合いがあるのは黒麻さん・蛍岸さん・熊鈴さんなのですが・・・傷ついたマリアさんを運び込んだら、驚いてしまうわ・・・」
フウチ「なら・・・鼓舞像の部屋に連れてくしかないじゃろう」
シハク「あらぬウワサが立ったら、どうするつもりですか?」
フウチ「わしが何とかするから、早く運び込みんしゃい」
シハク「了解致しました・・・マリアさんは私が介抱します」
シハクさんは、マリアを抱き上げて学園へと戻って行った
そして、フウチさんはメリルの肩に手を置きたずねた
フウチ「お前さん・・・ひょっとして、根に持ってる事あるじゃろ?」
メリル「生徒会総選挙で・・・鏑木さんに負けたのが悔しかった・・・だから憎かったの」
フウチ「わしがお前さんの味方じゃけぇ・・・何でも話しんしゃい」
メリル「それは、本気・・・ですの?」
フウチ「本気じゃけぇ」
メリル「っ・・・ありがとうございます・・・五木様」
峰岸「埜城さん・・・あなたの行いに関して、匿名で通達があったという事はお話しましたね」
メリル「え、えぇ・・・」
峰岸「この際ですから・・・密告した方をお呼びしますわ・・・こちらに」
シスター峰岸にうながされ現れたのは、オリエであった・・・
メリルは戸惑いを隠せなかった
メリル「オリエ・・・あなた裏切ったの!?」
オリエ「私は・・・もうメリル様にはついていけません!今までガマンしてきましたが・・・限界です」
メリル「なっ・・・!」
フウチ「少し静かにするじゃけぇ・・・お前さんは、友人を失うという事がどういう事かを学んだ方がいい。おおかた甘やかされて育ったから・・・散々ワガママで他のヤツらを振り回したんじゃろう?」
メリル「っ・・・」
峰岸「埜城さん・・・あなたには停学処分を言い渡します・・・あと濱那須さんも停学処分です」
メリル「なぜチカも?」
峰岸「礼拝サボリですよ」
オリエ「私は・・・止められなかった責任をとって停学処分を受けます」
峰岸「では、3人共5週間の停学とします」
ルキア「南里さん・・・マリアさんは今、キメラ学園にいます・・・言いたい事があるなら、キメラ学園に行きなさい」
オリエ「はい・・・ちょうど作り過ぎたアップルパイがあるので、マリアさんの様子を見るついでに人間さんに会ってきます」
オリエはアップルパイを入れたカゴを持ってキメラ学園へ向かって走り出した・・・
~キメラ学園校舎内~
オリエ「・・・とはいったものの、迷ってしまいました・・・どなたかいらっしゃらないかしら?」
???「何やってるの?」
オリエ「!! えっと・・・キメラ学園の生徒会長様の部屋に運ばれたマリアさんに用がありまして」
???「そういえば・・・生徒会長がキメラフィーネの生徒会の女の子を運んできたけど・・・その子?」
オリエ「はい・・・」
???「残念だけど・・・面会はできないよ」
オリエ「そんな・・・」
???「鼓舞像会長からの通達で、面会は明日以降なんだ・・・あと彼女は寮部屋の修復完了まで、鼓舞像会長の部屋に居候する事になったから」
オリエ「そうですか・・・では、また来ます」
???「待って・・・そのカゴは何?」
オリエ「え・・・えっと・・・作り過ぎたアップルパイです・・・夢中になると我を忘れてしまうのです」
???「・・・それ、僕も食べたい」
オリエ「えぇっ!?今ですか?」
???「うん・・・僕の部屋においで」
オリエ「ルームメイトさんが迷惑しませんか?キメラフィーネは1人部屋ですが、キメラ学園は2人部屋でしょう?」
???「大丈夫・・・ウニくんは今、金印先輩のパシリで神谷くんとおつかい行ってるから」
オリエ「神谷さんが・・・うわさに聞きましたが、人間さんですか?」
???「そうだよ・・・さあ早くおいで」
オリエ「はい・・・(神谷さんにお会いできなかったのは残念ですが・・・仕方ありませんね)」
~通称・開かずの間~
ホロ「そういえば、自己紹介がまだだったね・・・僕は亀貝ホロ・・・君は?」
オリエ「南里オリエと申します・・・」
ホロ「額当てをしてるという事は・・・くの一クラス?」
オリエ「はい・・・本当はA組に入る予定だったのですが・・・歴史が好きなのでC組に入りました」
ホロ「ふーん・・・あ、結構おいしいね・・・南里さんのアップルパイ」
オリエ「あ・・・ありがとうございます・・・」
ホロ「後でウニくんにあげていい?」
オリエ「はい・・・」
ホロ「・・・何か悩んでいるでしょ?」
オリエ「!!」
オリエはその場から逃げようとした
それを察知したホロさんが、キメラ能力の触手でオリエをとらえた
オリエ「きゃあん!!」
ホロ「僕でよければ聞いてあげるから・・・ね?」
オリエ「・・・・・・」
オリエは観念し、先ほどの一部始終と本音を吐き出した
ホロ「・・・なるほど。つまり君は、その埜城ってヤツに逆らえなかったんだね(そいつ・・・シメようかな?)」
オリエ「はい・・・マリアさんなら無茶な要求しない方なので、お友達になりたいと思ってたんです・・・ですが、メリル様に逆らったらお叱りを受ける上に、メリル様はマリアさんの事を憎んでいたので・・・」
ホロ「それは・・・何故?」
オリエ「生徒会総選挙でマリアさんに負けたからです・・・」
ホロ「そう・・・」
オリエ「私は・・・メリル様を止められなかった責任をとって停学処分を受け、そして縁を切りました・・・だから・・・マリアさんに謝りたくて・・・っ!」
ホロ「・・・泣いてるの?」
オリエ「え?あ・・・あの・・・申し訳ございません」
次の瞬間、オリエは暖かさを感じた・・・
オリエ「亀貝・・・様?」
ホロ「ずっと・・・苦しんでいたんだ・・・つらかったでしょ?何かあったら僕が相談に乗るから・・・抱え込まないで」
オリエ「っ・・・はい・・・!」
オリエはスイッチが入ったのか、突然ノートに数式を書き出した!
ホロさんは、ポカーンとしてた
その後、オリエは眠ってしまった
しばらくして帰ってきたウニさんがひっくり返ったのは言うまでもない・・・
~シハクさんの部屋~
マリア「・・・ん・・・ここは・・・どこ?」
シハク「気がつきましたか・・・ここは私の部屋です」
マリア「左様でございますか・・・」
シハク「何故あんな事になったのですか?」
マリア「埜城さんから・・・礼拝堂で話しましょうと言われて・・・それで来たら埜城さんはいきなり私を突き飛ばして、その後背中を踏まれて・・・あまりの痛みに、意識が飛んだのです」
シハク「なるほど・・・しかし、目を覚ましたので安心しました・・・あなたに潰れられては困るので・・・また勝負控えてますし」
マリア「はい・・・また神谷さんを1位にして見せますわ、ちゅふふふ♪」
シハク「さて・・・そう上手くいくでしょうか?私も獅音くん達に教える立場ですから・・・負けるわけにはいきません!」
マリア「ちゅふふ♪私が勝ったら、新撰組のコスプレして下さい♪」
シハク「コスプレ・・・コレは負けられませんね」
マリア「・・・背中、アザになってませんか?」
シハク「小さいのがひとつですから、問題ないです・・・痛いですか?」
マリア「少し・・・」
シハク「さすってあげます」
シハクさんは、そっとマリアの背中をさすった
時々イジワルして、背中をくすぐった
マリア「ひぁん!背中は弱いのです。もう・・・シハク様のイジワル!」
シハク「申し訳ございません・・・つい、からかいたくなるのです」
マリア「シハク様、このたびはご迷惑おかけしました・・・」
シハク「気にしてませんよ・・・しかし、何故寮部屋の壁が壊れたのですか?」
マリア「私が留守の間に、濱那須さんが壁を破壊しました」
シハク「やれやれ・・・部屋が修復されるまでの間、私がそばにいてあげますよ」
マリア「シハク様・・・」
次の勝負に思いを馳せつつも、束の間の幸せを噛み締めるマリアであった
←続く
いかがでしたか?期末テストのその後に、険悪な生徒とマリアとのいざこざがあったと、ベアト様が説明してくださった番外編でした。
次こそ本編です。