第十二話「結果(前編)」
みなさん、お待たせしました。生存報告です。生きています。
連載を再開しますので、よろしくお願いします。
前回までのあらすじ
飛鳥の勉強を教えることになったキメラフィーネのマリアは、シハクについに告白する。
が、シハクは彼女に期末テストの勉強を教えた生徒の成績で勝負を申し込むのだった。
第十二話「結果(前編)」
飛鳥(テスト当日。俺は万全の体制で、テストに臨んだ。俺ばかりじゃない。兎影も、獅音も、森勝もみんな、同じだと思う。というか、それは当然だ。生半可な態度で、テストに臨むやつなんて、いやしない。みんな必死で受けようとしている。テストは俺たちにとって、戦場なのだ。ある意味。)
飛鳥(鏑木さんの指導もあったせいか、テストは人一倍落ち着いて出来たと思う。以前の俺は、焦りまくってわかるところもわからなくなっていた。心を落ち着かせる。それが最善の策だ。それが功を奏したのか、今回のテストは意外と分かるところが多かった。スムーズに問題が解ける。以前の俺には無い、新鮮さが俺の体に入っていった。)
飛鳥(そして、ついに・・・。)
キーンコーンカーンコーン
飛鳥「終わった・・・。」
飛鳥(その帰り道、俺達はテストから解放された喜びを、それぞれかみ締めていた。)
トロ「はぁー終わった終わった。ようやく肩の荷が落ちたぜ。今まで会長に、勉強詰めにされていたから、久々に羽を伸ばしてーな。」
オトワ「同感。俺もちょうど神谷をすりすりしたかったとこだ!という訳で・・・。」
飛鳥「うわあああああああああ!何すんだよ!」
飛鳥(いきなり獅音が俺をつかんだかと思うと、頬ずりをはじめた。)
オトワ「今まで出来なかった分、俺に付き合え!」
飛鳥「頼むからやめてくれ!」
キョウカ「それで、これからどうするの?」
トロ「そりゃ決まってるぜ、これから部屋に帰って、ゲームするんだ。」
オトワ「賛成!ぱーっとゲームして、勉強の疲れを吹っ飛ばそうぜ!」
飛鳥「おお!!いいな、それ。」
キョウカ「僕も付き合うよ。」
トロ「よーっしそれじゃ、カバンを置いて俺たちの部屋に集合だ!」
全員「おーーーーーーーーーっ!」
シハク「そうは行きません。」
全員「か、会長!」
シハク「ゲームはさせません、私の部屋で、すぐに答え合わせです。いいですか?答え合わせをして、間違いを正す。そこまでがテストです。テストが終わったからといって、すぐに気を抜いてはなりません。分かりましたね?」
キョウカ「確かにそうですが・・・。」
オトワ「こりゃ、そう簡単にゲームさせてくれる空気じゃないぜ。」
トロ「だな。ココは会長を怒らせないためにも、素直に従おう。」
シハク「判ればいいんです。それでは今すぐ参りましょう。あ、神谷君はさようなら。」
飛鳥「やっぱり俺は連れて行かないんだな、会長。」
シハク「当然です。」
飛鳥(そういって、会長は兎影達を自分の部屋へ連れて行ってしまった。答え合わせか。一応俺もやっておくか。)
飛鳥(その翌日、答案が返され、と同時に学年トップ10も張り出された。)
キョウカ「すごいよ神谷君、僕の成績、たくさん上がったよ!全部90点台!」
飛鳥「おお、よかったな。でも俺の場合・・・信じられないことになったんだ、聞いてくれるか?」
キョウカ「うん。」
飛鳥「・・・実は。」
オトワ、トロ「おい二人とも、学年トップ10がすごいことになってるぞ!」
飛鳥、キョウカ「えええええええええ!!!」
飛鳥(まさか、まさか・・・・。俺はそう思って、張り出された掲示板の前へ向かった!そこで見たのは・・・。)
キョウカ「す、すごいよ神谷君!学年1位の成績なんて!」
第1位 神谷飛鳥(1年E組)
第2位 瀬鳩クリ(1年A組)
第3位 兎影キョウカ(1年E組)
第4位 尼公タムシ(1年D組)
第5位 七鰐カレハ(1年B組)
第6位 八面セイゾウ(1年C組)
第7位 法華サクラ(1年H組)
第8位 羊錦リン(1年F組)
第9位 鈴菫ダイキ(1年E組)
第10位 山門ライノ(1年G組)
飛鳥「確かに俺が1位だ・・・・。信じられない・・・。」
飛鳥(俺の答案は全部、100点だった。いや、一つを残してというのが妥当かもしれない。それは俺のケアレスミスで、1点マイナスになって99点になってしまった現代国語だった。それにしても、エリートだらけが軒を連ねる1年A組の委員長を差し置いて、トップに躍り出てしまうとは・・・。どうしよう?)
キョウカ「まさか、信じられないことってこれ?」
飛鳥「あ、ああ。まさかほぼ全部100点って、俺でも取れると思ってなかったから・・・。」
マリア「これであなたは、更なる敵を作ってしまいましたね。」
飛鳥、キョウカ、オトワ、トロ「鏑木さん!」
飛鳥(振り返ると鏑木さんが立っていた。)
飛鳥「あの、まさか学年1位取るなんて思っていなかったので、本当にうれしい。でもお前の言うとおり、更なる敵・・・他のクラスの委員長達を増やしてしまった。でも俺は後悔なんてしてない。1位の座は譲ってやらないつもりだ。」
マリア「次のテストも、気合を入れないといけませんね、私も応援します。」
飛鳥「ありがとう。お前のおかげだ。」
シハク「やれやれ、今回は完敗でしたね。最高で兎影さんの第3位とは・・・。」
飛鳥(そこへ会長がやってきた。)
マリア「鼓舞象様、聞くところによれば、あなたはずいぶん人間がお嫌いなようで。」
シハク「それはどうも。」
マリア「今回神谷さんは私のおかげで、学年1位の成績でした。彼はあなたを見返してやろうと思って、必死で学習したんです。これを気に、少しは人間を見直したらいかがですか!?」
飛鳥「鏑木さん、お前は無関係じゃないか!俺たちの話に突っ込まないでくれ!」
マリア「いいえ、これは重要な話です!人間は、あなたが思っている以上に、すばらしい生き物なんですよ!」
飛鳥(しばしの間・・・そして会長は口を開いた。)
シハク「認めたくありません、一回学年1位を取ったからといって、私が人間を認めたと思ったら大間違いです。私に人間を認めさせるのなら、毎回1位を取ることです。当然そうはさせませんから。」
マリア「勝負ということですね。」
シハク「はい、お互い負けたならば、勝者のいうことに従うという条件で、勝負をつけましょう。」
キョウカ「いいの?それで。鏑木さん。好きな人と戦うことになるんだよ。覚悟は出来てるの?」
マリア「・・・それで構いません。あなたがそれを望むならば、私も勝負を受けます。」
シハク「判りました。それでは・・・。」
飛鳥(そういって、会長は上着を脱いで、首の付け根をあらわにした。)
マリア「鼓舞象様?」
シハク「今回は私の負けなので、潔くあなたに従います。どうぞ、好きなだけ吸ってください、鏑木さん。」
マリア「マリアとお呼びください。鼓舞象様。」
シハク「私のことも、シハクでいいです。」
飛鳥(鏑木さんは、喜んで会長の血を吸った。でも、素直に言うことを聞く会長を見たのは、生まれて初めてだな。というか信じられない。鏑木さんというライバルが出来たから、彼の心が変わったのかもしれない。ともかく俺は、学年1位になったと言うわけで、後に学級委員長達の目の敵になってしまう羽目になるとは、思ってもなかったし、実感もわかなかった。そして、これがきっかけで、兎影の心も動かしてしまうとは・・・。)
瀬鳩クリ(1年A組クラス委員長。シェパードと鳩のキメラ)「エリートの僕を差し置いて、1位になるとは・・・。」
七鰐カレハ(1年B組クラス委員長。ナナフシとナイルワニのキメラ)「以前は赤点だったくせに、あのお嬢様のおかげであれだけ伸びるなんて、データに無かったです。」
八面セイゾウ(1年C組クラス委員長。アメンボとヤモリのキメラ)「あやつ、何者でござる?」
尼公タムシ(1年D組クラス委員長。アマガエルとジャンガリアンハムスターのキメラ)「ただの人間の癖にどうすればあんな化学変化が?」
鈴菫ダイキ(1年E組クラス委員長。すずめとチンパンジーのキメラ)「委員長が誰か、忘れたわけじゃないだろうな!この俺様・・・。」
羊錦リン(1年F組クラス委員長。羊とニシキヘビのキメラ)「あいつ、非常に邪魔だね。」
山門ライノ(1年G組クラス委員長。シロサイとマウンテンゴリラのキメラ)「次は確実につんでおかねばな。」
法華サクラ(1年H組クラス委員長。鶯と桜のキメラ)「でも、次のテストまでまだ間があるよぉ。夏休みも挟んじゃうし。」
クリ「球技大会・・・そこであいつをつぶす!頭脳戦の次は、体力戦だ!」
←続く
後編に続きます。